05
いつもより少し短いです。
ついに、ついに来たシュベラッツェ魔術学園―――…
「でかい…でかいなおい!!」
「なんで二回言ったノ?」
緑周りがより引き立てる真っ白な城壁、その城壁に無数に絡み付く蔦のある植物、お城と呼んでしまうような立派な風貌。歴史を感じる――最古の魔術学園が、ティア達の目の前に鎮座していた。
ティア達は着いてすぐ、学園の大きさにテンションがあがり興奮して騒いでいた。が、それも一時的なものでありすぐにその興奮もさめた。それもそうだ、子供の物事に対する興醒めの早さは尋常ではない。ただ、目の前に格好いいもの、可愛いもの、凄いものがあるだけで、子供はすごいすごい!!と言ってとりあえず興味が湧き、騒ぎ立てる。だが、その興味も長続きするものではない、慣れてくると「で?だから?なに?」と、もう、自分飽きましたよーアピールをしてくるときがある。―――今は、まさに、それだ。
「…何て言うか、飽きたっす!」
「右に同じく」
「妾も同じく」
「ぼ、僕も…同じく」
「何であなた達はこういう時だけ、息が合うのかしら。」
もう、ここまでくると呆れる以外にない。
だが、それも仕方がない。何せ、ティア達はかれこれ2時間はこのシュベラッツェ魔術学園の門の目の前にいるのだ。それは飽きても仕方のないことである。
現に、ルフェとアマイの方からいい加減扉ぶち壊しちゃう?など物騒な会話がちょくちょく聞こえてくる。
「ですが、流石にこれはおかしいですね。」
「そうよね、普通時間通りにくるはずよね…」
そう言ってレヴィア手紙の中に記されていた約束の時間を見た、――"9時にシュベラッツェ魔術学園正門前に集合だぞ☆"
……破りてぇ。
いや、もうこれはレヴィアじゃなくても100中100人が同じ文面を見たら思うだろう。二時間も待たされている、そんな状況でこの文を読むと、なんかもう、破りたくなる。
「正門ってここの事ですよね、…どうしましょうか。正門から学園まで距離もありますし、流石に声は通りませんよね。」
「そうね、そろそろどうにしないとあの子達…」
ドォオォオオォオォン――…
音が、した。とてつもなく、嫌な、音が、後ろからした。
振り替えったらいけない、いけないと思いながらもルゼとレヴィアは後ろを向いた。…まさか、まさかとは思うけど。
「「………。」」
「ごめン。やっちゃっタ。」
えへっと頭を掻きながら謝ってきた、きっと彼は他の五人に煽られたのだろう。煽られたのかもしれないけど…!
「な、な、なにやってるのよ?!」
―――ルフェが門を陥没させてた。
いや、これはまずい。流石に、まずい。おちびちゃん達は「いやっふぅうぅ!!よくやったルフェ!!」「あたしでもこれは無理さね!」とえらくルフェを褒めていたが、違うだろ。
「あはは、これはこれは、どうしましょうか。」
「あのばっ―「…何をやっているんだ。」
ルゼがあははと胡散臭い笑みを浮かべながら笑い、レヴィアが怒鳴ろうとしていたところに、低い重低音の声が響いた。その声は、決して大きくはないのだが全員がぴたっと動きを止め、声がした方―――陥没された門の隣にひっそりと隠れるように存在していた普通サイズの扉の前にいる男に視線を向けた。