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ミステリにおいては伏線=ヒント、そして時には=謎

 伏線ってありますね。

 どんなジャンルの小説だろうと、大切だとされてるやつです。


 簡単に言うと、その時は読み流していても、後になって「ああ、あの時のあれはああいうことだったのか!」と思うやつが伏線です。


 ただ、ミステリにおいては、それがヒントになっています。謎を解くヒントです。


 さて、この伏線=ヒントは、「謎が解かれた後になってみれば明らかにヒントだと分かるけど、読んでいる時はまったく分からなかった」という条件を満たしていれば優れていることになります。


 別に個人的な思いつきで言ってるわけじゃないですよ。これまでの話の流れ上、そうなるからです。


 謎が「読者にとってよく分からない過去に属すること」である以上、あからさまにヒントだと分かったら謎にならないので、一見分かりにくいことが求められます。


 そして読者にショックを与えるのがいいミステリであるなら、後になって「あれ、ヒントだったのか!」「そういう意味だったのか、気づかなかった」「くそーどうして気づかなかったかな」と読者に思ってもらうのが優れた伏線です。

 逆に後から見ても「いや、こんなの分かんねーよ」と思われたら読者にショックを与えられませんね。


 が、ここまで書いてきてなんですが、これを高いレベルで両立させるのは非常に難しいです。ぶっちゃけ、プロの作品でもここが凄い作品はそう多くはありません。

 別にここが完璧にうまくできていないと凄いミステリじゃないわけでもないですしね。


 個人的には、伏線=ヒントは、どちらかというと初見ですぐに見破られない方を重視しつつ、後で分かった時に「このヒント分かるわけねーだろ」と読者に思われない程度にしておく、というのが基本だと思っています。

 種がバレバレの手品ほど面白くないものはないですからね。優先すべきはそっちだと思います。


 さて、伏線=ヒントですが、ミステリにおいては、実は伏線=ヒント=(サブ)謎という形式が多いです。


 例1.男子禁制の館で殺人。犯人は男だと思われていた女だった。


 前も出した例ですが、この場合「誰が犯人か」という謎に対して、実は前提で「男子禁制だから犯人は女」となっているところへ、「犯人は実は男装していた女だった」というトリックで前提をひっくり返すわけです。


 で、メインの謎がそれだとして、一つのトリックから複数の謎が生み出せるということは前に言ってました。

この場合だと「主人公が見ず知らずの少女と出会う」とか「犯人の言動が変」とかね。

 もうお分かりだと思いますが、この生み出されたサブの謎の数々、これはメインの謎を解くための、つまりトリックを解明するためのヒントであり伏線でもあるのです。


 なので、謎とトリックを作っておいて「これに関するいい伏線=ヒントをちりばめないとなあ」とするのもいいですが、実はそのトリックから生み出せるサブの謎の数々を、謎であると同時に質のいい伏線=ヒントにするべく工夫したり磨いたりするだけで、結構いい感じになったりします。


 ただ、伏線=ヒント=謎の場合、それを目立たなくさせることが不可能です。だって謎ですから。だからその謎単体ですぐにトリックがばれないように演出や話の運びを工夫する必要があります。


 伏線=ヒントで謎ではない場合、目立たなく配置することが可能です。

 例えば単なる風景描写の中に紛れ込ませたり、登場人物の話の端にさらりと混ぜたり。

 でも、作者としては、それよりも別の意味合いを持たせて気づかせない方が好みですかね。

 例えばキャラクターの性格を表すためのワンエピソードと思いきやそれが伏線=ヒントとか、その時はごく普通の会話だと思っていたけど、真相が分かった後で読めば意味合いが全然変わっていて伏線=ヒントだったりとか。そういうの。


 どっちも一長一短というか、実際には両方あった方がいいでしょうね。

 ともかく、作者としては伏線=ヒント=謎を作っておいて、それでも足りなければ伏線=ヒントを作って配置しておく、くらいに考えています。

 その流れで作っていくのがちょうどいいんじゃないでしょうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ミステリーにおける伏線の張り方について、分かりやすく書いてあり、参考になります。 [気になる点]  例1.のところで、 「男子禁制だから犯人は女」 と書いてありますが、 「男子禁制だから…
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