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本当に思い切り不可解不可能な謎を考えていいのか問題

 とにかく不可解で不可能な謎をつくるところまず第一に考えて、そしてそれは世界設定、キャラクター、ストーリーと大きく関係するのでそれらといったりきたりしながら謎と大体のストーリーをつくっていく。

 安定してそれなりのレベルのミステリをつくっていくには、とりあえずここからスタートするべきなんじゃないかというのが以前までの話です。


 とは言っても、なかなか面白そうな謎を考えるのって難しいですけどね。

「こんなことがあったら超不思議だな」とか「こういう話になったら読者が凄いひきつけられるんじゃない?」と思う謎を、トリックで実現可能かどうかは無視してストックしていくのがいいのかなあ、と思います。


・衆人環視の中で首のない男が人を殺してまわる。

・ある日、朝起きたら町中の時計が全て1時間遅くなっていた。

・大金持ちが金貨を盗もうとして失敗して逮捕。理由については完全黙秘。


 今、適当に謎を作ってみました。

 これをまあ、更にキャラクターとか物語とかと絡めつつ更に捻っていけばそれなりのレベルのメインの謎ができるんじゃないですかね。


 あまりにも不可解かつ不可能な謎を作ってしまったら、トリックで実現が不可能になるんじゃないですか?

 そう思われるかもしれませんが、心配いらないかなあ、と思います。


 というのも、そもそも前述したようにミステリの作成にあたって、トリックは謎の焦点をずらすことによって作成すべきだ、というのが持論です。どこにずらすかというと、それは前です。前提をひっくり返す。これが肝だというのは今も変わっていません。


 で、そうすると、トリックがどうしても思いつかなかった場合、「焦点を更に前提にずらす」という方法でいつかはトリックが成立するんじゃあないだろうかと思っています。思考実験ですが。


例1 ・衆人環視の中で首のない男が人を殺してまわる

 これを例に考えていきます。以下、手順。



①謎の焦点を抽出する。


 この場合「首がない=死んでいるから動かないはずの男が動いている」というのが焦点です。人を殺すこと自体は不思議ではないので、そこは謎の焦点にはならないわけですね。死体が動いている、というのが焦点です。

(どうして首がないのか、も謎といえば謎ですが、メインの謎は上記のようになるはずです。より不可解、不可能なのは上記の方ですからね)



②前提をひっくり返す


「首がない=死んでいるから動かないはずの男が動いている」

 これをそのままひっくり返すと、

「死体を動かすトリック」となります。まあ、リモコン操作でもしてんじゃないですか。SFミステリならそんなんでいけませんかね?

 で、それがうまく行かないのであれば、第一段階の前提を考えます。。

 重要なのは「第一段階の」前提に行く、という点です。別に順番に行けよ、という意味ではなくて(どこからでもいいと思います)、重要なのは「前提の前提」とかもある、ということです。要するに、その前提がうまくひっくり返せなくても別によくて、次の前提に行けばいいってことですね。

 第一段階の前提を考えると、「首がない」という前提が違う、つまり首があるのが首がないように見せるトリックを使っていた形になります。(でもこのパターンよくありますよね、だから避けた方がいいかも。このパターンじゃないですよって描写を入れたりとか



③うまく行かなければ次の前提に行く


 「衆人環視の中」で首がない男が人を殺している、の衆人環視というのをひっくり返して、実はその衆人が全員関係者で口裏合わせの狂言、あるいは全員が幻覚を見ていた、というのもありですね。

 ここでこのトリックだけを見た皆さんは「ええー、超クソトリックじゃん」と思うかもしれません。なんでもありじゃん、とかね。

 が、しかしですね、これにうまく血を通わせてやれば以外と馬鹿にならないと思うんですよ。

 全員が幻覚を見ていたパターンであれば、全員が同じ幻覚を見ていた理由、幻覚だったという伏線(微妙に供述が違うとか)、幻覚をもたらす物質や幻覚症状というもの自体への詳しい説明(これを「じゃあ、あれ幻覚だったんだ」と読者に気付かれずに入れるのはかなりテクニックいると思いますけどね)等々をやってうまくやれば、結構いけると思うんですよ。

 以前に書いたように、やっぱりトリックのよしわるしって、トリック自体というよりもそのトリックをどういう切り口で見せるか、とか伏線とか謎の配置の仕方で決まると思いますよ。だから、トリック自体はこれくらいでもいいと思うんですよね。



④それでもうまく行かなければ世界設定レベルの前提をひっくり返す


 最終手段で、世界設定の前提をひっくり返す、という手があります。別に最終手段というか、結構ありますけどね、この手の作品。

 つまり「首がない=死んでいる」という世界設定自体をひっくり返して、「実は首がなくても生きていける奴がいる世界設定だった」という叙述トリックにしちゃうわけですね。

 描写の中で皆が不思議がっているのは、実は別のことで、首がない奴が動いていること自体は誰も不思議に思ってなかった、という、劇中の認識と読者の認識がずれてたわけですね。典型的な叙述トリックですな。

 ここまでくると、世界設定、ひいてはストーリー自体に超影響しますから、使いどころは難しいですね。例えば、同一の世界のシリーズものでは使えないわけです。いや、使う方法はあるでしょうが、多分ひと工夫もふた工夫もいるでしょうね。



 以上のように、④までいけば、さすがにトリックは成立すると思うんですよね。

 そこから、トリックをどのような切り口で隠していくか、とか、ストーリーとの絡み、とかで質は上がっていくんじゃないでしょうか。

 だから、何の心配もせず、とりあえず無茶苦茶な謎を考えちゃいましょう。なんとかなるさ精神で。

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