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特殊ルールについて、そしてゲームものが流行っているわけ

 ミステリ、推理小説のジャンルで、最近そこそこ目に入るのが、いわゆるゲームものです。映画のSAWとかが一番分かり易いですかね? 映画じゃなくて小説でも、閉じ込められた登場人物が特殊なルールのゲーム巻き込まれてしまう(また、大抵デスゲーム)というのが増えている気がします。

 一昔前の状況と比較すれば、最近になってそんな作品が流行っていると言ってもいいと思います。


 どうしてか?


 これは、「暗黙のルールが破られてきた」という推理小説の歴史と密接な関係があると思います。要するに、ヴァンダインやノックスが明文化したような「前提となるルール」を、先人達が破ってきたんですね。

 前も言いましたが、先人達はそれがアンフェアだとか推理小説じゃないと言われるのを覚悟で、それでも論理や技術や演出、展開、その他もろもろを工夫して、その掟破りの一撃を繰り出したわけです。

 当然、破られるはずのないルールが破られたわけですから、読者にとっては「ショック」であり、またそれゆえ後の世で大傑作と呼ばれたりします。


 さて、それはいいとして、一度それをやってしまうと、読者に耐性ができる、というのはいわずもがなです。もう探偵が犯人、くらいちょっと近代のミステリ読んでる人なら読みながら頭のどこかに入れておきます。

 じゃあ、もう前提のルールをひっくり返すような、読者に大ショックを与えるミステリは作れないのか?


 そういうわけでもなくて、一つは色々と演出や展開を工夫して、基本は一緒だけどフレッシュな方法でルール破りをしてショックを与える方法があります。

 純粋に構成力、アイデア、筆力で勝負という、プロで推理小説の最前線で戦っている人達の何人かは確実にここを目指して書いてるわけです。


 もう一つは、それでもまだ掘られていない金脈を見つけて、そこを掘る方法。

 要するに、全く新しいルールを根底から覆すパターンを見つけるってことですね。

 これは、非常に難しいんじゃないでしょうか。

 近年で、作者が知る限り「新しいルール破りだ」と感動したのは「星降り山荘の殺人」くらいでしょうか。ひょっとしたら、前例がある方法なのかもしれませんが、勉強不足の作者は知りません。


 そして、残る三つ目の方法が、「新しくルールを作る」という方法です。新しく作っておいて、そのルールの裏をかくようにすれば、新しいルール破りができあがるという方法ですね。


 んで、ここまできたらお分かりでしょうが、ゲームものが近年になって増えてきたのはこれが原因のひとつだと思います。


 がしかし、最後の方法は結構なデメリットもあって、それは元々存在していた暗黙のルールを破るわけではないので、あらかじめ「しっかりとルールを説明しないといけない」という点です。

 これは、かなり物語としてのテンポを損なう可能性があります。


 ゲームものじゃなくて、時々存在するSFミステリやファンタジーミステリも同じです。一般の人が知ることがない、特殊なルールが下敷きになっている以上、物語上できちんとルールを説明しておかなくてはいけません。

 どこかの作者はファンタジーミステリを書く際、筆力がないのに調子にのった挙句、ルール説明や背景説明が膨大になってなかなか事件が起きなかったり単なる説明回があったりしたらしいです。哀れですね。

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