昔
「疲れた。」千影は慎二に言った。
「しんどいわ、しんどくないん。どうするの?このまま不倫続けるの?」(千影)
「しんどい。このままいいわけないよな。何とかする、」(慎二)
「不倫やめるといいながら全然かわってない。何がかわったん?」(千影)
「お前はどうしたい?」(慎二)
「昔に戻して」(千影)
ふと千影は思い出した。そういえば祖父が昔変なことを言った。
お腹に子供ができた時、その子は本当に主人の子かといったたぐいのことである。
もちろん冗談で。
千影は不思議だった。なぜそんな冗談がでてくるのか。
考えもしなかったことなので覚えている。
そうなんだ、やっとわかった。由香里みたいな人間がいるから聞いたんだ。
平気で人を騙すんだ。
その時の千影はわかりようもなかった。
ただ世の中には由香里のように平気で嘘をつく人間と、
反対にまっすぐな人間がいるんだということもわかった。
そして見た目では全くわからない。ということも学んだ。
恐ろしく素直そうでいい人そうに見えるのに、自分の見た感じがこんなに違うなんて知らなかった。
今まで千影は幸せにくらしていたんだ。
よく苦労知らずって言われてたけれど意味がわからなかった。
きっと結婚詐欺ってこんな感じなんだろうなって、
初めて知った。
もし智明が由香里とじゃなくまっすぐな人間と結婚していたら
2人で素敵な家庭を作れただろうに。
物凄く由香里に腹が立って、智明に言いたくなるが
言えない・・
智明が私を信じてくれるまで何を言っても嘘に聞こえる。
智明がきずくしかない。
「智明、あなたは由香里に騙されてるのよ。気がついて」




