記憶ー生後ー
思い出ー…
それは過去の自分に会う為のデータ。
そして、新たな自分を見つける為のヒント。
頭の中にインプットされたデータを元に再生される映像は、負であろうと正であろうと想いが強い程鮮明に残る。
貴方には、大切な思い出がありますか?
今から話すのは私、鏡 月華の記憶。
“あの日”に至るまでの、
忘れられない思い出ー…
私がまだ赤ちゃんだった頃、
一番大切な物がこの毛布だった
その当時は自分よりも大きい毛布を寝る時に掛けないと寝ない程、気に入っていた。
私が少しずつ大きくなっていくにつれて、毛布はどんどん小さく感じていくようになる。
それでもやっぱり手放すことが出来なくて、バンダナみたいにして遊んでたりした。
ある日、私はその毛布を“冷”と呼んだ。
いつでも少しひんやりとした毛布だったからだろう。
鳴き声も“ひぇ”とか“ひー”とか、自分で勝手に決めた。
祖母の家に遊びに行くときは、まるで探検に行くかのような大きなリュックに、玩具を詰め込む。
やはりそこにも、“冷”の存在があった。
友達が小さい頃から持っていた毛布やぬいぐるみから卒業する中、私には“卒業”のその字も無かった。
いつしか冷は、私のかけがえのない物になっていたのだ。
いつでも一緒に居てくれる冷は友達よりも安心でき、親よりも頼れる存在。
その親には、汚いから捨てなさいとかいつまでそんなもの持ってるのとか言われた。
でもそんなのどうでもいい。
だって、汚くなったなら綺麗にすればいい。
いつまで毛布を持っていようが私の勝手なのだから。




