選ばれし男を探す、らしい
つーわけでマイロード、良い男知りません?
「ふむ、姫の言うことも一理あるな。
それに、お前が危惧する通り、独りで大きくなるには危険が伴い過ぎる。
叔父上…侯爵は、愚かな事をしたとはいえ、支持者が多いからな。」
そうですね。
なんで王様、良い男、知りませんかね。
「ふむ…。
我が知る訳がなかろうが。」
oh…王様って孤独ですもんね。
クソ、このままだと俺の知り合いに当たるしか無くなって、令嬢の店に送り込むにしたって無理がある様な、ウホ!筋肉達の饗宴!になっちまう。
兵士ばっかりだからなぁ、もう!
どっかにイケメンで実績があって、人柄も…。
おるやん。
おるやんけ。
勇者が居る!
あー、どこに行ったんだけっかな。
「…勇者か?
お前、その様なものを押し付けようとするな。
確かに人柄は悪くないし、顔も悪くはない。
だが奴は王城に帯剣し、色々と物色しながら入ってくる田舎者だぞ。
洗練されたマナーを叩き込まれ、教養に溢れた令嬢がストレスで死んでしまうだろうが。」
…ぐぅ!
「お前がいくら策略を練ろうともだな、商売は確かに上手くいくだろうが、恋愛なんぞその時の様々で変わるものだぞ。」
ぼっちがなんか言ってら。
あんたどうせ初めから結婚相手決まってたろ、偉そうに。
あ、偉い人でした。
俺の給料はこの人から出ているんだワン!
でもそうっすね、一理あるか。
考えたって仕方ない部分を凝る必要はねーってな。
ったく、そう思うと勇者を誘導するのは楽勝だったな。
女心なんて一生わかる気しねーもん。
どっか行って考えをまとめようかな。
そういや、あいつら令嬢様を確保できたかね。
それが崩れると前提が崩れるぞ。
まぁ何をし始めたって大概どうにか出来るくらいの力が後ろで蠢いてはいるけども、死なれたらどーにもならんからなぁ。
…やめやめ。
報告書を持って茶店で茶をしばいたろ。
行きつけの店は奥まった場所にあるし、人もまばらだし、薄暗いわりにセキュリティも万全だ。
考え事をするには最適ってこった。
令嬢が働いて無ければね!
なんでだよ。
びっくりしたわ。
顔に出なかったよな…。
相手は俺を知っている可能性が高い。
だって姫様のやんごとない御友人だもの、ついでに護衛をしたこともあるし。
賢い娘さんだから俺の事も覚えてんだろうけど、私服だと兵士に見えないと評判の俺に気がついてない事を願うしかないね。
「奥のお席どうぞ。
コーヒーには砂糖一つ、ミルクは無し、ですよね。」
あー…ウト!
アウト!
バレバレ。
なんだよ、夜のお姉さんの言う事を間に受けちゃダメだな。
優しそー、兵士になんて見えなーい。
あれは嘘らしい。
それにしても、いつ好みを知ったのやら。
いやまだギリわからんよ。
マスターから今さっき聞いただけかもしれないし。
「…姫ちゃんは元気にしてますか?」
ダメでした。
「お久しぶりです。
…こんな所で何をしてるんすか?」
いや、もうさ、こう言うしかないじゃん。
だって、表立って守れないならさ、知らないフリするしかないじゃん。
「…色々、色々あったのです。
さ、コーヒーが冷めてしまいますよ。
どうぞ、お飲みになって下さい。」
あ、よく見たらマスターが不安そうにこっちを見てるわ。
そりゃこっちの事情を知ってんだろうからな。
ウチのヤツがここに預けた後に何故か俺が来たって訳ね。
どうしたんですか副団長さん、なんでそんな堂々と現れてんすか、隠すんじゃ無かったんすか、そんな顔をしてらぁ。
誰だよここを匿う店に選んだ奴。
奥まった場所にあるし、人もまばらだし、薄暗いわりにセキュリティも万全なだけの店を何故選んだ。
うっそ、完璧じゃん。
俺でもここを選ぶわ。
行きつけじゃなけりゃあね。
行き違ったぁ。
王と無駄な話してる場合じゃなかったぁ。




