令嬢が追放された、らしい
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続編です。
固有名詞は出てこないので、読んでも読まなくても。
姫の御友人の侯爵令嬢が、アホな婚約者に捨てられたらしい。
そのアホは隣国の、それこそ我が王国からしたら吹いて飛ぶような国の王子様で、そちらからしたら王子を婿にやるから、我が国をよろしくお願いしますってなもんだった。
その生贄の羊が逃げ出した。
教会から派遣された聖女だかなんだか知らない売女に唆されて、真実の愛を見つけちゃったんだって。
口が悪いって?
荘厳なる性の煌びやかな輝きの性女様。
とにかくそいつが真実の愛の化身らしく、あちらの国が威信を賭けた結婚政策は水泡に帰したって訳。
護衛騎士団の副団長である俺は、ある日、長期休暇に旅立とうとしていたその日に王から呼び出されて、その令嬢の保護にあたる任務を承った。
今頃は湖の見える別荘地でゆったりと釣りをしながら過ごしていたはずなのに。
個人的にもアホ王子をぶっ飛ばしたいところだが、それより何より、令嬢だ、令嬢。
彼女は才女で教養も深く、王家からの評判が宜しかった為に、任務とも言える婚姻に選ばれた背景がある。
しかしまぁ、その娘の実家も中々のアホ…いや、侯爵って王家筋だよな。
あぶねー、不敬だ不敬。
えー、あー、凡人たる私には遠く及ばない所に居られる侯爵様が、優秀な娘を何故か嫌っていたらしく、婚約破棄!即!実家排斥!なんてとんでもムーブをかましやがった。
王からしたら優秀で可愛い姪。
そんな事を許せるはずもないのだが、それらを巡って王が動けば内乱が起きる。
あのハゲ…えーと、眩いばかりの侯爵様は王家筋なので、排斥には準備が必要だと、そう言う訳なのだ。
よって王は動けない。
うちの団長も、先日新しく出来た国に文官と共に向かっており忙しい。
だーから、休暇直前の俺が呼び出されたってさ。
まぁ、良いさ、俺はお国の犬でございますワン。
方針を決めてまずは王に相談するんだワン。
方針1。
いく当てもなく困った令嬢をウチで働かないかと助けた商人が、偶然新店舗の店長を探しており、そこを令嬢に任せる事に。
すると偶然大当たり!
王から呼び出されて、褒められて、新しい家を興せる事に!
あら、なんとまぁ、偶然血筋も王家筋ではありませんか!
これは侯爵様にするしかあーりませんね!
初代は後継より権力が強し。
彼女の父はその高貴な血を眼から流す事になるでしょう。
これはそんなに難しい事じゃない。
こっちは国のバックアップのもと動けるんだから、人海戦術なんぞ簡単だ。
何ヶ月か大行列でも作れば良いだけの話だし、そんな事をしなくても、優秀なコンサルタントを付けられる。
姫と友達なら、姫がやって来て王室御用達にも出来る。
勝ち確、やったぜ。
問題はアホが妨害しそうなくらいか。
そっちを排除するのは正直めんどくさい。
俺たちより遥かに権力があるからなぁ。
方針その2…を考える前に、前提を整えなきゃな。
ちょっとそこの君、訓練中の兵士…そう、例のあいつ、呼んでくれない?
ごめんね仕事中に。