雨先ラプソディ
雨の中、カッパを身にまとう一人の高校生はスマホに釘付けになっていた。
じっとその言葉を見ている、見て...水滴がスマホに垂れた。
「くっはは」
スマホが指先から落ちる。
液晶版には文字が書いてあった。
落選。
「自信あったんだけどなぁ...まじで」
地区の小さな文芸大会。自分の作品は賞を取れず、認められなかった。
「なまじ、去年優秀賞だっただけに傷つくなぁ本当」
変なプライドがあった。変な自信があった。変な確信がった。
それだけに、予想外の結果はひどく心を震わせ、入賞した仲間であるはずの部員に嫉妬や妬みを沸々とわかせる理由となる。
「すごい傲慢だな」
そんな自分が嫌になる。才能があると傲慢に鼻を高くしていた自分に嫌気が差す。雨の中、自己嫌悪を抱え歩く。
でも、ふと思う。
書いた小説を提出した後、友人に見せ高評価があったのもまた事実だろうと。
自己嫌悪と向き合う。
評価と向き合う。
「そんな、悪く思わなくたっていいか」
うん、あぁそうだ。負けたなら、負けたんだったら悔しがって、なんで負けたんだって、評価されなかったんだって喚いたっていいじゃないか。
自分の傲慢さを批判しなくたっていいじゃないか。
否定されたんだから、もう肯定してやろう。
「次は、....もっと良いモノを書こう。もっと書きたかったものを伝えられるように努力しよう。それで良いじゃん。」
前を向こう。稚拙な表現だった。話が複雑だった。面白くなかった。
それを嘆くよりかは、だったらどうしようと悩んだほうがきっと面白い。
はずだから、はずならば。
「もう一度だ。」
雨は降り、視界は暗くどんよりとしている。それは変えられない。ならば、その後の虹を思いながら歩こうではないか。