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《32》リリィ、魔族の子作り事情を知る。





「ちょっと、リリィさんをお借りしていいかしら?」


 翌日、二人揃って魔王の寝所から出てきた所をたまたま見掛けた

 ラナンキュラスが、そう魔王に言った。


「あ、え? なんじゃ、どうしたのじゃ」


 なぜだか顔を赤らめている両名をじーっと見据えて、お嬢様は言う。


「いえ、少しお話をしたいなと思っただけですわ。

 それとも、魔王様以外が彼女とお話するのはよろしくないのかしら」


「そ、そんな事ないのじゃ。魔族と親睦を持てるのは願わしい事よの。

 リリィはいいかの? この子なんか嫌!!とかないかの?」


「いえ、そんな、嫌なんてことないです」


「良かったですわ。では魔王様のお部屋をお借りしましょう」


「え、余の? ま、まぁ構わぬけども……キューちゃん、くれぐれも

 リリィを苛めたりせんようにの」


「私を何だと思ってますの。淑女の鑑ラナンキュラスですわよ。

 ではリリィさん、こちらで」


「はい……じゃあ、またねナナ」


 リリィはまだ微かに顔を赤らめたまま、魔王に微笑んで部屋の中へ

 引き返していった。



 …………


 ……



「そんな同衾なんて……赤ちゃんが出来たらどうしますの!?」


 椅子から立ち上がり、激昂するお嬢様。

 びっくりして見上げるリリィ。


『一緒にお部屋を出てきましたけど、まさか貴女方一夜を共にしましたの?』

 とラナンキュラスが出し抜けに尋ねると、リリィは少し恥ずかしがりつつ

 一緒に寝てもらったと正直に答えた。


 すると、途端にお嬢様は顔を真っ赤にしてこのように叫んだのだった。

 リリィは一瞬面食らったがすぐに、


「え……えぇっ!? いえ、わ、私女で……ナナも……」


 と、慌てて当たり前の弁明をする。

 それに「はぁいぃ?」と眉を顰めて睨め付けるラナンキュラス。


「あ、貴女……まさかご存じありませんの? 人間同士ならともかく、

 魔族の子、子作り……は精神の交感によって成されるものですのよ」


「へ……っ?」


「女同士だろうと……む、むむ睦み合ってそういった事をすれば……

 普通に、孕、いえ宿りますわよ……赤ちゃん」


 口をぽかんと開いて、リリィは今言われた事を必死に理解しようとする。

 やがて、言葉の意味が頭の中に沁み込んでいくと、


「え、えぇぇぇえぇ?!!」


 リリィも立ち上がって大きな声を上げた。

 そしてハルニレを見る。

 メイド長は頷いた。


「そうですよリリィ様。まぁ境遇もありますし知らないのも無理はありません」


 なぜかニコニコしながら、ハルニレは肯定する。

 リリィは口をぱくぱくさせ、みるみる顔が赤くなっていく。


「えっ、というかいつの間に貴女ここに?」


 本当にいつの間にか居たハルニレに、ラナンキュラスが問う。


「ベッドメイクをさせて頂きに。どうぞどうぞ、私の事はお気になさらず」


「は、はぁ……」


 そんな二人のやりとりにも、リリィはそれどころではない。


 自分はもしかして、ナナにとんでもない事をしたのでは……?

 ナナはあの時、どんな気持ちで……


(ご、ごめんなさい、ナナ……怖、かったよね……)


 恥ずかしさと申し訳なさで、ぷるぷる震えるリリィ。

 しかしそこに、容赦無いハルニレからの問いが飛んだ。


「えっ……もしかして、やっちゃったんですか?

 やってしまわれたのですか、リリィ様……!!?」


「いっ!? いえいえいえいえ、やってしまってないです、何も!!

 ただ一緒にお布団に入っただけで、本当に何も……!!」


 全力で首を振って弁解する。

 ラナンキュラスはハルニレをキッと睨んで怒鳴る。


「お、おバカ!! やめなさいこんなお日様の時間からえっちな……

 はしたないお話を淑女がするんじゃありません!!

 貴女もほら“良い子の魔族保健体育”の教科書を後で貸して

 差し上げますからお一人で勉強なさいな……!!」


「は、はい……おねがい、します……」


 顔を真っ赤にした二人のやり取り。

 それを子供が見たら逃げ出しそうな不穏な笑顔で見守るハルニレ。


「まぁ、大丈夫ですよ。精神の交感だけでポンと出来るわけではないので。

 そもそも宿す側にその意思がなければいけませんし……

 あと、ちゃんとやることやらないと、さすがに抱き合った位じゃあ

 こさえられませんよぅ」


「だっ、だからやめなさい!! この色欲変態メイド!! めっですわ!!」


「やる……こと……ぁ、あわわ……」


 吠えるお嬢様、狼狽える少女。


(た、たまんないっすなぁ……じゅるりら)


 メイド長は顔を伏せて涎をぬぐうのであった。





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