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小松倫の妹・柴原凛が、突然の夏井陽葵の言葉に目を白黒させると、そこにスーツ姿の凛々しい男性が、どこからか現れて、言った、
「まあ、みんな、こんな校門の前で立ち止まっての話も何なので、近くのファミレスにでも場所を変えないか」
「あなたは誰ですか?」
声を出したのは、倫だ。倫が桐生と呼んだ男性も近づいて来た。それに答えたのは、足立塁だった。
「あ、みなさん、こちらは僕の監視員で、戸田大翔さん。怪しい人じゃないですよ。僕が以前に問題を起こしたので、毎日、学校にも付き添ってくれてるんです」
「塁君、いつも行ってますが、君は問題児じゃない。僕は君の未来に可能性を感じるから、一緒にいるんですよ」
塁の言葉に、すかさず戸田が答えると、
「あ、私、小松倫の監視員で、桐生碧と言います」
桐生が話に入って来た。そこに、もう1人の女性も加わり、名刺交換が始まった。
「あ、私は、柴原凛の監視員、江戸川詩です」
と大人同士が挨拶を続けていると、
「さあ、みんな、この人たちは放っといて、ファミレス、行こうぜ。凛ちゃんも付き合ってね」
塁が凛を促し、塁、倫、陽葵、凛の4人が歩き出した。すぐに、戸田、桐生、江戸川の3人も、それを追って歩き出した。
「しかし、妹の淋ちゃんまで超有名人なんて、ホントか?一体、陽葵の言う、有名人って、どんな人?」
歩きながら、塁が陽葵に話しかけると、陽葵は歩く速度を緩めたと思ったら、突如、立ち止まり、声を荒げた。
「じゃあ、ズバリ、言いましょう。何と、こちらの凛ちゃん、前世は卑弥呼なんですよ」
すると、全員の少しの沈黙の後、塁が叫んだ。
「俺がスサノヲで、凛ちゃんが卑弥呼?この2人って、何か関係あるの?まったく、訳が分からんよ」