デストロイヤー爆誕
クワーマンの故郷、ホビットの村では強い地震が発生する。
木になっているリンゴが全部落ちホビットにの頭の上にガンガン落っこちる。
「痛たたたたた」
ギルドのカウンターで依頼の申請を出している
眼帯をしているシャロン推しのモヒカン男。
額の前で2本指の敬礼ポーズでグッバイの動作。
「このEランクの薬草採取の依頼を頼む」
ごつい見かけのくせに最低ランクの申請するモヒカン男。
装着している眼帯の紐が切れカウンターの上に落ちる。
眼帯の裏にはシャロンちゃんの顔が描かれている。
眼帯をしていたのにモヒカン男の目が問題なく存在することに
受付嬢は思わず声を出す。
「眼帯はただのファッションなんか~い!」
眼帯を拾い上げシャロンちゃんの絵を見ながらデレっとした表情で
「シャロンちゃん可愛ゆす」
5~6体のモンスターが赤い戦闘タイツの女性の周りに倒れている。
右手を高らかに上げ勝利のピースをしている赤い戦闘タイツの女性の後ろ姿。
●
静まりかえるライブ会場。そして、一人のファンの持っていた
チャーハンが入ったお皿が床に落ち、ガシャンと音を立てて割れた瞬間
「イヤーアアアアアアアー」
頭を抱えながらその場にしゃがみ込むファン達。
四つんばいになって目から鼻から水を流し嗚咽している者もいる。
白目を剥いて失神している者もいる。
先ほどまでの救世主が現れたような荘厳な雰囲気は一転、地獄と化している。
管理人室の88とイシカワ。
ライブ会場の様子を魔法のモニターで見ている。
「まさかシャロンちゃんに彼氏がいて更に妊娠していたとは・・・困りましたね」
魔蓄管にどんどん貯まっていく魔力を見ながら
「しかし、ファン達の阿鼻叫喚でどんどん魔蓄管に魔力が貯まりますね、88様」
「そうだね、イシカワ」
魔蓄管に魔力を貯めるという我々の目的のためには、これからも
シャロンちゃんは必要ですが・・・どうしたものか。
ファン達の記憶は後で書換えるとして・・・お腹の子供をどうするか。
シャロンちゃんの体のことを考え脱退させるしかないか・・・。
結構優しい魔族のイシカワだったりする。
シャロンちゃんの処遇を考えているイシカワに88が告げる。
「イシカワ、君にメルトの名を呼ぶことを許可しよう」
びっくりした表情のイシカワ。
「あ・・・ありがとうございます、しかしなぜ私が」
「君は他の魔族にはない何かを感じるよ」
「この私を88様の配下へ加えていただけるということでしょうか?
「そうではないよ。ただ、メルトの名を呼ぶことを許可しただけだよ」
イシカワは考える。メルトの名を呼ぶことを許された魔族は数少ない。
知っている限りでは4人。
魔族の名工 ドラロン。
魔王城管理者 恵比寿丸。
獅子王 リッキー。
破壊神 阿修羅子。
魔王軍ナンバー2のミッキー様でさえメルトの名を呼ぶことを許されていない。
そんな状況で私がメルトの名を呼ぶことを許されたとなると
嫉妬深いミッキー様から無用な嫌がらせを受ける可能性がある。
しかし、この名誉を捨てるのは余りにも惜しい。さて、どうしたものか。
「ありがたき幸せ!このイシカワ、
メルト様の名を呼ぶにふさわしい活躍をしてみせましょう」
88の前に膝まづき
「しかしながら、メルト様の名を呼ぶのは私とメルト様の二人だけの時だけに限り、
他の場合は今まで通り88様と呼ばせていただきたく」
「かまわないよ」
「ありがとうございます!」
「今後、もっと大きな会場で沢山の人を集めてライブをする必要がある。
会場の手配など色々と大変なことを君に手伝ってもらいたいのだよ」
「お任せ下さいメルト様」
イシカワは心の中で叫ぶ。よっしゃー!メルト様の名を呼ぶことが
できる5人目の魔族になったぞ!しかし、これは諸刃の剣。
メルト様の名を呼ぶことを許されたことが他の魔族に知れたら
私を倒して名を上げようとするやからが必ず出てくるに違いない。
万が一のことも考え対策を講じておかねばなるまい・・・。
ファン達の嗚咽やら叫び声やらで大混乱状態のライブ会場。
エルフの見た目はヒューマンや多種族に比べ若くて美しい。
ベルリンゲンの旅の途中で出会ったミランダという女性エルフも
250才、ヒューマンに換算すると50才であるが
美魔女どころかかなりいけるレベルだった。
「相手は誰なんだ!」
「チャーマネント・スートンデンよ」
何?チャーマネントといえば確か325才。ヒューマンに換算すると65才。
シャロンちゃんは確か90才。ってことは5で割ると18才になる。
年の差なんと47才差。
「チャーマネント・・・ゴールドフィンガー・・・あのスケコマシやろうか!」
今日日スケコマシなんて言葉を使う奴がまだいたとは。
「レニー、何でJBはあんなになっちゃってんの?」
スーザンに耳打ちする俺っち。
「マジ!47才差って、おじいちゃんと孫レベルじゃん!」
観客席ではある異変が起こっていた。
「何者かが体の自由を奪っているなり」
「ぐあ~・・・体が痺れる・・・ちゅうか~」
「体が痺れて力がでないようであるが、なにか」
どうした?何があった?その場にどんどん倒れていくファン達。
確かにシャロンちゃんの爆弾発言は卒倒ものではあるが。
横になって痙攣している者や座り込んで口から泡を吹いている者もいる。
異変を察知したジャスミンが観客席に降りてきて
「どうしたのみんな!」
回復魔法を掛けているが効き目がない。猫耳族のミャーコが
「あたし、イシカワさんを呼んでくるニャー」
「レニー、何が起こってるのかしら・・・」
不安な顔をして俺っちを見るマリンちゃん。
俺っちの脳裏にある光景が思い浮かぶ。
ドラロンの工房にある湖にプカプカと浮かんでくる魚達。
JB中華飯店で食事中に次々と椅子から崩れ落ちていく客達。
ゆっくりと彩姫の方を見る俺っち。
そう、あの顔だ。あの時も彩姫の口角がクイッと上がり嬉しそうにしていた。
「わらわの予想した時間とぴったりじゃ」
やりやがったな!何に毒を盛りやがった?
JBが作ったチャーハンに?しかしそんな素振りは見せなかった。
「今回は実験中の時限式の毒を散布したのじゃ」
「時限式?散布?散布って・・・」
横に立つ魔琴ちゃんがしゃがみこみ彩姫の顔の横に自身の顔を近づける。
大型犬の顎を摩るように魔琴ちゃんの顎と思わしき位置を右手で摩りながら
「よくやったぞえ、摩琴ちゃん。
観客席に紛れ込ませた魔琴ちゃんに散布させたのじゃよ」
そういえば魔琴ちゃんの口角から白い煙みたいなものが出て・・・
「スモーク!」
あのスモークは演出ではなく魔琴ちゃんが口から出した毒霧だったのか。
大人しくしていると思っていたらやはり仕掛けてきやがった。
「最近は父上のスキンシップにウンザリしておってな。良きストレス解消じゃ」
このタイミングで毒をぶっこんでくるとは恐るべし毒殺魔、綾姫。
動けなくなり苦しんでいるファン達を見てニヤニヤ笑っている。
「彩姫!早く解毒しろよ!」
「心配するな。しばらくすれば毒も消える」
俺っちにチート級の転生ボーナスの魔力があればこの状況を何とかできるのに。
残念ながら俺っちはリュートに電流を流すことと自身の体に微弱な電流を流し
カイロのように暖かく保つことくらいしか出来ないのだ。
「何で・・・何でよりによってあのスケコマシ・・・あいつなんだ!っ!」
「だって、かっこいいし優しいし、中華中華って言わないし」
何だろう、JBの背後に東○パパのシルエットが見える。
もし、自分の娘が自分と同年代の男性、または年上の男性の子を身ごもっていると
いきなり知らされたらどうなるだろう?
○尾パパ、いやJBの悲しみを思うと胸が痛くなる。
それにあんなに鼻水と涙でぐしゃぐしゃな阿鼻叫喚のJBを
俺っちは後にも先にも見たことがない。
もし、ここにベフェリットがあればゴットハンドが召還されているレベルだ。
「あの野郎、シャロンちゃんに手を出しやがって」
ん?なんだあの黒い煙みたいなものは。JBの手から出て中華おたまの
おたまの部分に流れ込んでいるようにみえるが・・・。
両手に持ったマジックミックスラケットを頭の上に振り上げた瞬間、
カチっという音がしてマジックミックスラケットのおわんの部分が固定された。
怒りで腕がプルプルと震えている。
震えている腕を通じて黒い煙は更におわん部分に流れ込んでいる。
数秒後、カチっという音で解除される。
力任せにバーンとマジックミックスラケットをDG4のパンダの頭に振り下ろす。
ドーン!とシンバルのような大きな音が鳴り響く。
おわん部分から何やらドス黒い液体のようなものが
DG4の頭のパンダの上に流れ出す。
DG4は変身を解除しドラム状態からパンダモンダグリズリーの状態へと戻る。
そして立ち上がり2足歩行状態に。
黒銀のボディが白い部分と黒い部分へ分かれていきパンダ模様になる。
口をあんぐりと開けると何やら黒い霧のようなものを吸い始めた。
黒い霧は彩姫の毒に苦しんでいるファン達の体から出ているようだ。
シャロンの裏切り、そして毒で痺れて動けない辛さなどの
あーーーーーもうっ!という負の感情が黒い霧となっている。
ランドセルからギュイイインと音がする。
すごい勢いでランドセルから魔力が吸い上げられている。
DG4は身長180センチくらいの細マッチョの人型へと進化し始める。
マーベルのブラックパンサーのようなカッコいいスタイルで
顔がパンダ、体の色はパンダ柄である。
パンダの目が赤く光る。そして鼻に刺さっていたチューブを右手で
村上○ョージのドゥーンのごとく勢いよく引っこ抜く。
「破壊・・・破壊こそ全て」
「ガンガーン!」
異変を察知したドラロンがガンガンに指示を出す。
「はい、マスター」
スラム○ンクのゴリさんっぽいDG2の時は、ガンガンの綺麗な
ジャーマンスープレックスが決まり暴走を食い止めたが
進化したDG4はガンガンのタックルをあっさりとかわす。
勢いよく前のめりで通り過ぎそうになったガンガンだが
両手を床につけカポエラちっくにスピンターンキック!
ガンガンの右踵が人型に変身したDG4の顔面にクリーンヒットする。
「我が名はデストロイヤー」
デストロイヤーはガンガンの右足首を左手で持ち、そして右手で持ち時計方向に回し
ガンガンの足首をねじ切ろうとする。
するとガンガンは自らヒラリと右方向に回転し、ねじ切る勢いを相殺してしまった。
バックステップでその場を離れ距離を取るガンガン。
デストロイヤーの蹴られた顔に踵一つ分の凹みがあったが、
数秒後に元に戻り凹みは綺麗になくなった。
「自動修復しやがった!こいつはたまげたぜ」
驚愕の表情のドラロン。
デストロイヤーは左腕を胸の前に持ち上げ人差し指でガンガンを指差し
「お前の名は?」
「ガンガン」
「ガンガン・・・覚えておこう。我が好敵手よ」
デストロイヤーはその場でジャンプしライブ劇場の天井を突き破って
夜空の彼方へ消えて行ってしまった。
「マジックミックスラケットにあんな機能があったとは驚きだな~」
人事のように言うドラロン。
「何かやばい奴・・・誕生してないっすか」
デパートの屋上にあるパンダのゆる~いカートだったDG4。
ドラロンが乗って運転している姿はおじいちゃんがグランドゴルフに行くような
そんな光景がよく似合う乗り物だったDG4。
それがブラックパンサーのようなカッコイイ人型へと進化・・・し過ぎだろ。
「どっかへ行っちゃたっすけどスターライトランスの時のように
追跡可能なんっすよね?」
「いや~あれは楽器メインだったから追跡機能を取り付けてねーんだよ。
ちとマズイか・・・ガンガーン、追跡してくれ」
「はい、マスター」
デストロイヤーが空けた天井の穴から飛び出し、あとを追うガンガン。
ライブ会場の屋根裏の骨組みに
5センチくらいの白いネズミのぬいぐるみが潜んでいた。
ネズミのぬいぐるみの目を介しデストロイヤー誕生の様子を見ていたのは
呪いの人形使いにして魔王軍ナンバー2の魔族ミッキー・マウ・スートンである。
「ドラロンの楽器から知的生命体が生まれただと」
顎を手でさすりながら
「魂の生成・・・魔王様の魂を他の物体へ移す手がかりになるやもしれぬ」
ライブ会場はまだ彩姫の毒が消えず動けないファン達のうめき声が聞こえる。
ライブ会場のドアが勢いよく開く。
管理人室へ呼びに行ったイシカワが入ってくる・・・のではなく
サンリオキャラっぽい河童が入ってきた。
「あれ? なんで皆、倒れてるカッパ?」
あれはピチ4のサゴチッチとかいうマスコット?
「おっ、やっぱりここにいたワン」
モンモンが痺れて動けなくなっている観客の隙間をピョンピョンと跳ねながら
ステージの上まで素早くやってきた。
「レニー、モモのすけがさらわれた、力を貸してくれキー」




