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シャロンの爆弾発言

クワーマンの故郷、ホビットの村。

木になっているリンゴを採取しているホビットの農夫。

「今年は沢山リンゴがなったべ」

ギルドの掲示板で依頼を探しているシャロンちゃん推しの眼帯姿のモヒカン男。

「これなんかいけそうだな」

吹雪の中で白く大きなシカっぽいモンスターと対峙する赤い戦闘タイツの女性の後姿。

モンスターの突進をツノを掴み受け止める赤い戦闘タイツの女性。

右ひざでモンスターの下あごをカチあげ、モンスターがひるんだところで

左フックをこめかみへ叩き込む。泡を吹いてその場に倒れるモンスター。

吹雪の中から赤い目をしたシカのモンスターが複数現れる。

赤い戦闘タイツの女性の口角がニヤリと少し上がる。

   ●

「あっ、シャロンちゃん久しぶりだね~えっと・・・10年ぶりくらいかな?」

「30年ぶりよ!」

管理人室のイシカワも少し驚いた表情で

「インフィニティのメンバーのエルフがシャロンの父親だったとは。

 コラボしてみるものですね~」

ざわつくファン達。

「まさかのシャロンパパ降臨なり」

「もしかして親子コラボはしこみだったりっちゅうか~」

「シャロン推しはパパに取り入る最大のチャンスであるが、なにか」

チャンス この一言にざわめくシャロン推しファン達。

「お父様、シャロンさんとのお付き合いをご許可ください」

一人のファンがJBの前にひざまずいている。

抜け駆けすんな! 汚ねーぞ! という声が観客席から多数聞こえる。

パチンと指を鳴らす抜け駆け男。すると10名程度の騎士がステージの上に

駆け上がり、ずらりと横に並ぶ。

そして抜刀し、剣の柄を両手で握り胸の前で縦向きに構え、ファン達を威圧する。

「千載一遇のチャンス。貴族の権力を使わせてもらうぞ!」

「君、中華料理は好きかい?」

「中華料理ですか?私はまだ中華料理を食べたことがないので知りませぬ」

JBはすげぇ険しい顔になり

「帰れ!」

「しかし、お父様!貴族である私がシャロンさんを必ず幸せにして・・・」

「黙らっしゃい!平民でも貴族でも関係ない!

 中華料理を食べたことがないあなたを

 シャロンの結婚相手として認めることはできない!

 本気で中華料理の道へ進むものだけをシャロンの結婚相手として認める!」

「ちょっとパパ!勝手に決め付けないで!」

四つんばいになり涙を流し慟哭する抜け駆け貴族。

「中華料理など食べたことがない私にはどうすることも出来ないのかーっ!」

観客席のファン達にも動揺が走る。

俺も中華料理を食べたことがない、中華料理って何?

お前知ってるか?  いや、知らない・・・。

JBの眼がキラーんと光る。

「中華料理と食べたことがないだって?」

JBはDG4の前に移動しマジックバッグを取り出した。

「君達は運がいい。伝説の中華おたまを手に入れた私は

 今モーレツに中華料理を作りたくて作りたくてウズウスしていたのだよ。

 今ここで君達に真の中華料理の味をお教えしよう!」

マジックバッグから大きな調理台を取り出す。

ん? 待て待て? 俺っちのマジックバッグにはそんなに大きな物入りませんよ。

さらに食材と調味料を取り出す。食材・・・腐っていない!

マジックバッグを買った時に店主が言っていたことを思い出す。

『レジェンド級のマジックバッグを持っている世界でたった一人の冒険者がいる』

「JBのことだったんかーい!」

あのマジックバッグがあれば大勢で遠征に行ったとしても大量の食料を持ち運べる。

長時間のダンジョン探索でも沢山のアイテムを持ち帰ることができる。

とにかく使用用途は限りない。そりゃ~もう国家レベルで保有するくらいの代物だ。

そんなレジェンド級のマジックバッグが単なる冷蔵庫扱い。

「JB、もしかしてそのマジックバッグってレジェンド級のやつじゃないの?」

「よく知ってますねレニー。これは私が中華料理のために作り上げた

 世界でたった一つの特別なマジックバッグです」

マジ!レジェンド級のマジックバッグってJBが作ったのかよ!

すげぇな~おい。それってドラロン級の所業なんじゃねーの。

本当、何度も言うけどあんた、なんで中華料理人やってんの。

「JB・・・そのマジックバッグの使い方間違ってるっす」

「そんなことはない!」

JBは真剣な顔つきになり

「ある国の宰相をしていた頃、このマジックバッグを使い

 たくさんの戦争を勝ち抜いてきました。

 そして、死んだ仲間の運搬に使ったこともある」

JBは目に涙を浮かべ、右腕で涙をぬぐい、続けて言う。

「私はこのマジックバッグを戦争のために作ったのでは断じてない!

 中華料理のため作ったのです。

 だから中華料理のために使うのは正しいのです!」

作った本人がそういうなら正しいし、平和利用しているからいいけど・・・

しかし国家間の軍事バランスをひっくり返すようなこのアイテムを

狙ってくるやからはいるのではなかろうか。そしてそれは現実のものとなって

俺っち達に降りかかってくるのであるが、その話はまたその時に。

調理台の上にサラ鍋を置き、サラ鍋に油を敷くJB。

「ファイヤ!」

の掛け声と同時にラサ鍋から炎が上がる。

そして高火力で一気に仕上げるチャーハン。

あっという間に10数人分を作り上げる。

「さあ、食べてみたまえ」

抜け駆け貴族とその仲間の騎士達へチャーハンを振舞うJB。

一口食べた彼らは皆、上斜め45度を向きながら涙を流し

「うまっ!」

背景には天からさす光と子供の天使が数人飛んでいる。

「まだまだ行くよ!ファイヤ!」

じゃんじゃんチャーハンを作りファン達に配っている。

配るのを手伝っているクワーマン。あいつ本当にいい奴だよな。

ファン達もチャーハンを食べた後は、背景に光と天使が舞っている。

「これが中華料理・・・」

ステージの上でこうべを垂れてJBの前にひざまずく

抜け駆け貴族とその仲間騎士たち。

ステージの下ではチャーハンの皿を持ち上げながら

ステージの上にいるJBを仰いでいるファン達。

その光景はまるで救世主が降り立てきたかのようである。

俺っちは新しい宗教の誕生を見ているのか。

「中華料理の味を知った私はシャロンさんとの

 お付き合いを認めていただけるということでしょうか」

俺も食べたから許可をくれ! 俺もだ。

「ちょっとみんな中華料理を食べたくらいで私と付き合えると思ってるの?」

シャロンは半分切れ気味になっている。

「結婚相手の候補として認めよう」

「ちょっとパパ!勝手に決め付けないでって言ってるでしょ!」

「何か問題でも?」

「問題ありありよ!パパが中華料理にはまってから家族の皆がどれだけ苦労したか」

あーなんとなくわかる気がする。

「彼氏が出来ても中華料理が出来ない奴は駄目だとか。

 毎日毎日、中華中華中華!もううんざりだったわよ。

 それとアイドル活動もうんざり」

そして爆弾発言が投下される。

「私、今付き合っている人がいるし、その人の子を妊娠しているし!」

ドーン!

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