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デスパラとのコラボ

マジックミックスラケットを持っているスーザンにすごい勢いで迫るJB。

スーザンの手を両手で握り締めドラロンの方へ顔をクイッと向けるJB。

「この中華おたまを私に譲っていただけませんか!」

「不用品だから別にいいが・・・そいつは危険な代物だぜ」

その通りです!先ほどスーザンがやらかしたばかりです。

「私はサラ鍋の火力に耐える中華おたまを探していました」

マジックミックスラケットを手に取り高々と突き上げ

少年のようなキラキラした眼のJB。

「なんじゃあのJBは。精神が高揚する毒でも飲んだのかえ?」

彩姫が気持ち悪いものを見るような顔をしている。

「このおたまで究極、いえ至高のチャーハンを作ってみせましょう!」

何だこの美味○んぼちっくな台詞は。若い人知らねーって。

「JBが捜し求めていたものを倉庫から発掘するなんて

 やっぱりあたしって神のご加護があるんじゃない?」

「ねえと思うよ」

たらりらりらーん、りらりららーん。

このコンビニ入店時の時のような音は。

ガチャっとJB中華飯店のドアが開く。

「おや、皆揃っているとはラッキーだったね」

中から88が出てきた。

「ライブの時間だよ」

   ●

見つめ合う日本サルと屋根の上のぽっちゃり体型の彫刻のガーゴイル。

ガーゴイルに近づくサル。更に近づき顔を1センチくらいところまで寄せ

右斜めに顔を傾けガーゴイルにメンチを切るサル。数秒後、

「ガー!」

と声を上げ飛び去っていく、ぽっちゃり体型のガーゴイル。

   ●

88に転移魔法で連れてこられたこの場所はどこだ?

ステージの裏側って感じで色んな小道具が置いてある。

反対側から人が集まっているようなざわつきが聞こえる。

ひょっこりはんと反対側を覗いてみると女の子の顔が描かれた団扇と

ペンライトを持った鉢巻に法被をした集団が多数いる。

「最近ガロンを見ないなり」

「出禁になったという噂っちゅうか~」

「何はともあれこなくなったのはありがたいであるが、なにか」

あの3人組にも見覚えがある。ここはデスパラダイス7の劇場だ。

そして転移した場所は関係者以外は立入禁止の

ライブ会場のステージ裏のバックヤード。

メガネを掛けた身なりのピチっとした小柄な男性が俺っち達に近づいてきた。

「88様、今宵は私が運営するアイドルユニット

 デスパラダイス7とのコラボ企画にご参加いただきありがとうございます」

何?今何と言った?アイドルとコラボだって?

「今日はアイドルグループとコラボして演奏してもらうつもりだよ」

マジか!大丈夫なのか?この会場の観客はアイドルのデスパラが大好きな

いわゆるオタク連中だ。俺っち達のデスメタルな音楽とは

相容れない世界線にいる連中だ。

サッカーで言えばアウェイ状態、いやそれを通り越して卓球をしている場所で

サッカーを一緒にやる?いやまだそれを更に通り越して将棋をしている場所で

サッカーを一緒にやるようなものだ。

とは言え魔族相手のライブと比べると案外気が楽だったりする。

なぜなら罵声を浴びせられるくらいで死を感じることはないからだ。

「おや、そちらにいらっしゃるのは」

イシカワはDG4に乗っているドラロンを発見すると小走りで近づき

丁寧にお辞儀をする。

「ご高名な魔族の名工ドラロン様ではありませんか。

 オータム・イシカワと申します。以後、お見知りおきを。

 おおっ!そして隣におりますレディはあの有名な

 戦鉄姫レディ・ガンガンでしょうか」

「初めまして、イシカワ様」

両手をお腹の前に組み丁寧にお辞儀をするガンガン。

「お美しい・・・彼女がオートマターだとは本当に信じがたい」

将を射んと欲すれば先ず馬を射よ(しょうをいんとほっすればまずうまをいよ)。

このことわざの詳しい内容はネットでチェケラしてもらって、

ドラロンお気に入りのガンガンを褒める事で

イシカワはドラロンから好印象を得たようだ。

ガンガンを褒められたドラロンはまんざらでもない表情で嬉しそうに

「若い魔族にしては礼儀正しいな、気に入ったぜ」

「ありがとうございます」

スーザンが観客の格好を見てクワーマンに何か言っている。

「なになに、何あの格好?それに何、あの光る棒みたいなの?

 あんたもそう思うでしょクワーマン」

「シュコー、シュコー、オラ、よくわからないだべ」

JBの方はマジックミックスラケットを抱きしめてニヤニヤしている。

あれは中華ハイ状態に入っているな。しばらく放っておこう。

88はイシカワに近づき

「無理なお願いを聞いてもらって申し訳ないね」

「とんでもございません88様」

「イシカワ、紹介するよ、彼がこのバンドのリーダーのレニーだよ」

「レニー・グラディウスっす」

「管理人のオータム・イシカワです。

 イシカワとお呼び下さい、レニーさん。

 あなた方が魔族の間で噂になっているバンドのインフィニティですか」

イシカワはレニーと握手を交わす。

魔族の間で噂になっている?

俺っち達もそれなりに有名になってきているのか?

マリンちゃんからイシカワは魔族だと聞いていたがヒューマンの姿をしている。

しかも魔族特有の威圧感は無く物腰が柔らかい。

「なぜ私がヒューマンの姿をしているのか不思議に思ってらっしゃいますね」

なぜわかったのだろう?俺っちの心を読んだのか?

「心の中を読まれた?とお思いですか?

 残念ながら私にそのような能力がありませんよ、レニーさん。

 表情や目の動きなどである程度推察しているのです」

うわっ、地味に恐ろしい。

イシカワという魔族には他の魔族には無い何か得体の知れない恐ろしさを感じる。

ニヤリと笑いイシカワは魔族の姿に変身した。

「この姿では魔族ということで警戒され少々やりにくいので」

ヒューマンの姿に変身し直す。

「ヒューマンの姿でやらせてもらってます」

ヒューマンの姿に変身できるのなら、88やドラロンは

なぜヒューマンの姿に変身しないのだろう。

「88様やドラロン様がヒューマンの姿に変身しないのは

 する必要がないからですよ、レニーさん」

やっぱり俺っちの心の中を読んでないか?

「私のように力の弱い魔族は敵を作らないことが寛容です。

 ヒューマンにとって魔族は畏怖する存在。言われなき迫害を受けることもある。

 私は88様やドラロン様のようにそれらを跳ね返すだけの力がないのです。

 ですから自己防衛のためにヒューマンに変身して身を守っているのですよ」

言われなき迫害・・・そういえば以前、ドラロンが武器のテストに失敗して

グルビック山を破壊した後、世界安全保証教会とかいう連中からしつこくされ

追い返したとかいう話を聞いたな。ああいうことがあるってことかな?

でもあれはグルビック山を破壊したドラロンが悪い気もするが、

グルビック山が破壊されたことで故郷のサラダワンと隣町のマダガスカルの

交通が便利になったんだけどね。

まあ、これは結果がいい方に転がっただけなんだけど。

スーザンが観客の奇妙な動きを見てクワーマンに何か言っている。

「何あの変な動き?皆同じ動きをし始めたわ。気持ち悪ぅ~。

 あんたもそう思うでしょクワーマン」

「シュコー、シュコー、オラ、よくわからないだべ」

JBの方はマジックミックスラケットで中華おたまを振るような動作をし始めた。

ファン達のペンライトの動きとリンクしているのが奇妙だが

まだ中華ハイ状態だろう。放っておこう。

ん?彩姫・・・彩姫はどこだ?転移魔法で一緒に来たはずだが。

やばい、まさか毒をまきに・・・。

「ほうしたのひゃれひー(どうしたのじゃレニー)?」

左手に飲み物が入った紙コップ、右手には直径10センチほどのパンケーキ、

そして口にもパンケーキ。

店主と思わしき人物が走って追いかけてきた。

「ちょっとお嬢ちゃん、お金を払ってくださいよ」

「ひょやつひゃしひゃらうのひゃ(こやつが支払うのじゃ)」

と俺っちを指さす彩姫。パンケーキの生地にデスパラの女の子の顔の焼印が見える。

ということは、この食べ物の値段は・・・

「金貨1枚で30個食べてるから金貨30枚(30万円)です」

やっぱり!何枚食べてくれてんねん!

「彼女は今夜の大切なゲストですから料金は私がお支払いしましょう」

「イシカワさん、いいんですかい?」

「あとで管理人室に請求書を回してください」

「毎度あり」

そう言うと店主は戻って行った。

おごってくれてありがとうイシカワさん、と言いたいところだが

このボッタクリ状態を作っているのは管理人のイシカワさんじゃね?

スーザンがブツブツ言いながらこららに戻ってきた。

「今、グッズ販売店を見て来たんだけどさ~

抱き枕が1個金貨100枚って、どうなってんのよ」

「こちらのお綺麗なシスターさんは?」

「スーザンでーす、20(はたち)でーす」

「管理人のイシカワと申します」

丁寧にスーザンへ挨拶をするイシカワ。その振る舞いは貴族の執事そのものだ。

「物の価値は人それぞれ。高額かもしれませんが料金を提示した上で

 皆様購入されておりますので私共は問題ないと考えております」

「イシカワさん、私いい事を思いついたの。私を描いた抱き枕を売ればいいと思うわ」

その自信、どこからくるのかわかりませんが多分、売れない。

「売上は7:3、いや6:4でどうかしら?もちろん私が6ということで」

「スーザンさんがデスパラダイス7に加入されるのであれば販売させてもらいますよ」

テヘペロをしながら

「やっぱダメか~。ところでイシカワさん、

 この会場で呪いのぬいぐるみを販売してもいい?」

いいわけねーだろ!

「ははは、さすがにそれは無理ですが88様のご関係のお方のお願いですから

あとで2~3人ですが呪いのぬいぐるみを集めているコレクターを

紹介して差し上げましょう」

「やったぁ~、ありがとうイシカワさん」

スーザンのこの能天気というか物怖じしない性格が呼び込む強運。

本当に神のご加護あるのかも?商売の。

ライブ会場はすでにデスパラのファンで埋め尽くされている。

そしてあの曲、恋のデスパラ7のイントロが始まると

統制の取れたペンライトの動きのオタ芸が始まる。


デスデスデスデス(※1ペンライトでオタ芸をして応えるファン)

デスデスデスデス(※1)

デスデスデスデス、です7(セブン)(※1 フゥォ!)


「さて、皆さんはこの半円の中で演奏の準備をしてください」

イシカワは俺っち達をステージ裏の半円の中へと誘導する。

「回転して表と裏が入れ替わる仕組みになっていますので」

ドラロンが運転するパンダモンダグリズリーのDG4がゆっくりと半円へ入っていく。

半円の中心に移動したDG4がドラムへ変形する。

頭の部分はそのままで胴体が背中から二つに分かれ左右に広がる。

ブレーキとアクセルのペダルがドラムのフットペダルに対応しているようだ。

今までで一番ドラムっぽい感じだ。パンダ顔が可愛いけど。

クワーマンはドラムに変形したDG4の右隣に行き、背中のランドセルを床へ置いた。

ランドセルから細長いチューブを伸ばしDG4のパンダの鼻に差し込む。

「クワーマン、それ何?」

「シュコー、シュコー、オラ、よくわからないだべ」

ドラロンが代わりに説明してくれた。

「万が一、DG4が魔力不足で暴走した時の保険だよ。

 クワーマンの肺活量を利用して魔力を背中のランドセルに蓄積させている。

 DG4が魔力不足になるとチューブを介して魔力が供給される仕組みだ」

前回のライブではDG3の不具合による魔力不足からJBの魔力がガンガン吸われ

JBは倒れちゃったしな。今回はそういうことはなさそうだな。

「綾姫、魔琴ちゃんは?」

「先ほど召還しておいたぞえ。多分、会場のどこかにおるじゃろ?

口笛で呼べばすぐ駆けつけるから問題なしじゃ」

「シスターとか襲って食べてないだろうな?」

「心配ない。勝手に食べぬよう、わらわがちゃんと躾けておる」

本当か?まあ信用するしかないか。

ニコニコ顔のJBをドラムに変形したDG4に座らせる。

問題はどうやってJBにドラムを演奏させるかだ。

前回のライブの時はクワーマンのクシャミとサラ鍋の不幸なコラボで

焼失したJB中華飯店のショックで中華ロー状態になっていたJBを

何とか復活させ流れに乗せられたけど

今回も何らかの勢い、流れみたいなものがあればいいのだが。

「スーザン、ちょっと相談があるんだけど」

「何よ、お金なら無いわよ!」

「ちげーよ!実はデストロイヤーっていう新曲の歌詞を

何とか書き上げたのよ。

で、この歌詞だけど、今ここで覚えることができるかい?」

歌詞を書いた紙をスーザンに渡そうとする俺っち。

「できるわけないじゃん」

そりゃそうだよな~、やっぱ、神父のあそこを蹴り上げろを歌うしかないか。

「私にお任せください」

歌詞を書いた紙を受け取ったイシカワはパチンと指を鳴らす。

「わっ!すごい。頭の中に歌詞が入ってきて・・・覚えちゃった」

すげぇな、イシカワさん!

こんなことができるなんて記憶の改ざんができるのでは?

やっぱり地味に怖い。ドラクエやFFで生命力や攻撃力は弱いのに

やたらとスリープ系や混乱系の魔法をかけてくる嫌なモンスター。

出会ったら真っ先に倒しておかないとパーティーが全滅させれられるモンスター。

それがイシカワさんのような気がする。

待てよ・・・このイシカワさんの能力を使って

JBに今後もすんなりとドラムを演奏させるよう

暗示をかけることができるのでは?

「あの~イシカワさん、ちょっとお願いがあるっす」

「何でしょう?」

「さっきの能力をつかって、あのエルフにドラムを演奏するよう

暗示をかけることってできますか?」

「やってみましょう」

パチンと指を鳴らすイシカワ。

イシカワの脳にJBの中華ハイ状態の混沌なイメージが流れ込んでくる。

「中華料理バンザイ!」

両手を上げバンザイのポーズで前のめりで倒れるイシカワ。

「はあ・・・はあ・・・この私が逆に精神汚染を受けるとは・・・。

 そちらのエルフさんは精神操作に対する耐性がおありのようですね。

 お役に立てず申し訳ありません」

さすが元S級冒険者、いや、この場合はすげぇな中華ハイ状態。

「88様は私と一緒に管理人室へどうぞ」

管理人室へ去って行く88とイシカワ。

ステージの裏側ではデスパラのライブが続いている。

「次は私達の新曲を聴いてください」

へぇ~新曲が出来たんだ~。イントロも無くいきなり曲が始まる。


会いたかった寂しかった食べたかった、イエス


んっ?どこかで聞いたことがあるようなフレーズ。

出だしはあの有名なA○Bの会いた○った、そっくりなのだが。

まさか、俺っち以外にも転生者がいるのか?あり得る話だが。

そう言えば、1年前くらいに実家で何となくこの歌を口ずさんだ事があった。

近くにジョセフがいて紙に何か書いていたが・・・まさかね。

おっと、考えるのは後にしてバンドの準備が先決だ。


食べたかった食べたかった食べたかった、イエス

(※1 イエスのところでオタ共がジャンプ)

食べたかった食べたかった食べたかった、君と~

連続展開で攻める城落ち間近の私の気持ち

昨日の満月に誓う

明日はお肉が食べたいの

そんな気持ちにさせてるあなた

お肉はレアは危ないわ

ちゃんと中まで焼かないと


彩姫はパンケーキを食べ終わっているな。

金髪に洋服。俺っちの左側にスタンバッてもらっている。

「ここにサラ鍋を置いて~と」

パンダの頭の上にサラ鍋を置いているJB。


食べたかった食べたかった食べたかった、イエス(※1)

食べたかった食べたかった食べたかった、君と~

高速回転で回る転移にうんざり私の気持ち

海辺の貝殻を拾う

今夜は海鮮食べたいの

そんな気持ちにさせてるあなた

魚は生は危ないわ

ちゃんと中まで焼かないと


「クワーマン、その状態じゃラッパ吹けないだろ?ヘルメットを取れよ」

「シュコー、シュコー、大丈夫だべ」

左手でヘルメットの左耳あたりを触るとカシュンという音がして

排気口は額の上辺りに移動した。

「何それ、カッコいい~」

ラッパの横から細い長いチューブがランドセルへつながっている。

吹いたエネルギーを魔力に変換するようだ。


食べたかった食べたかった食べたかった、イエス(※1)

食べたかった食べたかった食べたかった、君と~

辛い甘いはどちらもお好き何でも来いの私の気持ち

あなたの気持ちに誓う

今はお腹がすいてない

そんな気持ちにさせてるあなた

愛にはお金が必要よ

私のために稼ぎなさいよ

食べたかった食べたかった食べたかった、イエス(※1)

食べたかった食べたかった食べたかった、イエス(※1)


デスパラの新曲が終わったようだ。

出だしはあの曲とそっくりだったけど、それ以外はオリジナルだったな。

転生前の世界でも曲の一部が似ているなんて話はよくあることだ。

デスパラの歌が終わるとリーダーで鬼族のジャスミンが

「みんな~今日はゲストがいまーず!」

回転するステージ。観客席にスモークが噴射される。

魔法のモニターでライブ会場を監視していた管理人室のイシカワ。

「おや?スモークの演出は用意していなかったが・・・まあいいか」

ピュウーイ!と口笛を吹く彩姫。

すると観客席の中央から突然ボフっと魔琴ちゃんが直立してで現れた。

大きな口の中から大きな舌が飛び出ている。左右の口角からは

少しだが白い煙のようなものが出ているようないないような。

ピョンピョンと観客席の間を飛び跳ねながらステージの上に。

そしていつものように彩姫の前で犬がお腹を出して横になる感じで横たわった。

魔琴ちゃんをさすりながら

「可愛いやつじゃのう~」

「グワシグワシ」

と言いながら喜んでいる魔琴ちゃん。たくさんのにえを捧げ、

伝説級のアイテムで作られし世界で唯一の動く琴だが最近は彩姫が飼っている

人懐っこい大型犬にしか見えない。

回転式のステージが止まる。真琴ちゃんも来て楽器も揃った。

デスパラのメンバーが俺っちたちの前に集まってくる。

ジャスミンが

「バンドのインフィニティおに~」

両手を頭の上にのせ人差し指で鬼の角を表したファンが

「おにおにおにおに」

と左右に揺れながら応えている。

兎耳族のラビタンが

「今夜はインフィニティとのコラボぴょん」

こんどは頭の上で手のひらをこちらがわに見せうさぎの耳を表し

「ぴょんぴょんぴょんぴょん」

猫耳族のミャーコが

「みんな楽しむにゃー」

胸の前で招き猫の猫手を作り上下に動かしながら

「にゃーにゃーにゃーにゃー」

メンバー毎の語尾の応じたお約束の返しがあるようだ。

   ●

デスパラの劇場の屋上に猿が3匹集まっている。

1匹は目を閉じて屋上の床に右耳を当てている。

1匹は目を閉じて鼻を動かし臭いをかいでいる。

1匹は屋上の銅像に擬態しているガーゴイルに近づきメンチを切っている。

   ●

副リーダーのエルフのシャロンが

「それではインフィニティのメンバーを紹介しましょう!」

エルフの語尾に対するファンの返しは無いみたいだな。まあ、語尾も普通だったし。

左手にカンペを持ったシャロンが順番に紹介していく。

「インフィニティのリーダーでエレキリュートのレニー」

デスパラの劇場の屋上にいる3匹のサルのうち、床に耳をつけているサル。

数キロ離れた建物の屋上で目を閉じて耳の裏に手をあてて全集中しているモンモン。

「ん?レ・・・」

ギュイーーーーーーン!とエレキリュートを鳴らす俺っち。

「変な音がしてよく聞き取れなかったキー」

どうだお前ら、聞いたことねえ音だろう!

静まり返るデスパラのライブ会場。この静けさはある意味当然の反応ともいえるか。

「ヴォーカルのスーザン」

「スーザンでーす、20でーす」

「デスデスデスデス」

でーす に条件反射で応えてしまうファン達。

「シスターのヴォーカルとは珍しいなり」

「顔は可愛いちゅうか~」

「スタイルも良きであるが、なにか」

確かにスーザンは見た目も可愛くスタイル抜群の若き女性である。

「あのいでたちであの容姿はなかなかのものなり」

「シスターの格好がまた可愛いさをマシマシにしているっちゅうか~」

「思わず祈りを捧げてしまいそうであるが、なにか」

そう、そしてスーザンはシスターである。休業中だけどな。

「ふっ、私って罪な女ね」

まんざらでもない顔をしているスーザン。

スーザンのデスボイスを聞いた後のファンの反応が楽しみでもある。

「東洋の弦楽器、琴?を演奏するのは彩姫」

ファン達に手を振る彩姫。

「あの女の子は子供なり?」

「見たこともない弦楽器っちゅうか~」

「あれは生きてるっぽいであるが、なにか」

「だがなかなかの可愛らしさなり」

「あと数年でデスパラのメンバー入りしそうっちゅうか~」

「うむ、将来期待の女の子であるが、なにか」

見た目は小さく可愛い女の子だが中身は毒殺を趣味としているサイコパスだぞ。

「ラッパのクワーマン」

「オラ、クワーマンです。

 好きな麺類はリンゴとハチミツとろ~り入ったラーメンです」

久しぶりに聞いたそのフレーズ。相変わらずバカ舌だな。

「そして最後はドラムという打楽器を演奏するのはJBこと

 エルフのジェームス・ブルー・・・ん?

 エルフのジェームス・ブルーって・・・」

ニコニコ顔でドラムに変形したDG4に座っているJBを見たシャロンは

驚いた表情で驚愕の一言を発するのである。

「パパぁ!」

なな、なんだとぉ~!

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