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獅子王リッキー

早朝のドルチェ国の首都ベルリンゲン。

賑わう街中。行きかう人々。

街の中心にある、小高い丘に国王の住むドルチェ城がある。

朝日が差し込むドルチェ城の玉座の間。

玉座に一人の男性が座っている。

年齢は40代くらいか。ゆったりとした服を着ているが

服から出ている腕の筋肉から筋骨隆々の体つきであることが容易に想像できる。

金髪のアフロに金色のヒゲと鋭い目。

王冠はかぶっていない。

ドルチェ国国王 ライオネス・リッキー である。

玉座の肘掛に左ひじをつき、頬杖をし、右手に何かを持って眺めている。

単三電池ほどの大きさのそれは魔蓄管である。

なぜ国王のリッキーが魔族が有する魔蓄管を持っているのか?

「おはようございます、リッキー王」

リッキーの前で甲冑姿の側近らしき人物とその部下らしき人物が

こうべをたれて膝まづいている。

側近らしき男の年齢は60才くらいだが歴戦の猛者の雰囲気をかもし出している。

部下らしき人物は年齢40才くらい。現役の戦士で隊長クラスかそれ以上か。

「おはよう、ジャックス。おはよう、バース」

ジャックスが報告する。

「北側の国境付近で最近暴れているモンスターの件でございますが

 どうやら王と同じ魔族のようです」

バースが続けて

「王のお力をお借りしたく」

「そうか、わかった。支度をせよ」

そう言いながら立ち上がったリッキー王の身長2メートル近くの巨漢であった。

お尻の下辺りまであるトレードマークの赤いマントがふわりと揺れる。

玉座の間の窓から入る朝日がリッキーを照らす。

その姿はまるで神話の戦神のようであった。

   ●

北東の軍事国家オソロシアン共和国の従属国ペロペローシ王国と

ドルチェ国の国境付近の小さな村は、ある魔族による襲撃を受けていた。

頭部はコブラ、上半身はリザードマン、下半身は蛇。

鋭い爪で村人を引き裂く魔族。

「恐怖こそが我が魔力の源。殺戮こそ魔族の本能」

甲冑を着た騎士団が魔族に攻撃を仕掛ける。

「モンスターめ!成敗してくれる、かかれ!」

指揮官の号令とともに一斉に飛び掛る騎士達を太い尻尾で一振り、なぎ倒す。

「我をモンスター扱いするとは失敬な」

「陣形を崩すな!魔法部隊、詠唱は済んだか!放てぇ!」

氷結魔法が魔族に襲い掛かる。ジャキーン!氷りの中に閉じ込められる魔族。

「やったか?」

パキ、パキパキパキと音を立てながら割れる氷。

「ふん、爬虫類系のモンスターに氷結魔法とは教科書通りの攻撃だな」

魔族が何か口から紫色の煙を噴出し散布する。

「騎兵隊前へ!」

前に出た甲冑姿の騎士が一人、また一人と馬の上から崩れ落ちる。

「何だ、何が起こっている」

指揮官の背後にいる魔法部隊も一人、また一人とその場に倒れていく。

「神経ガスというやつだよ」

どうやら先ほど吐き出した紫色の煙は神経ガスだったようだ。

「体が・・・体が痺れて動けない」

体の自由が利かなくなった指揮官へ近寄り、顔を近づけ

「意識はしっかり残している」

魔族はニタリと笑い

「なぜかわかるか?今から始まる恐怖を見せつけるためだ」

どこからともなく10数体のリザードマンがやってくる。

痺れて動けなくなった騎士や魔法使いたちの両脇を

リザードマン達が抱え、等間隔に並べる。

「さあ、ショータームの始まりだ!」

リザードマン2体が1番端の騎士の両脇を抱え立たせる。

すると地面からクイが出現し騎士を串刺しにした。

2番目に移動するリザードマン。そしてまた騎士を立たせるとクイが出現し串刺しに。

恐怖で顔が引きつる騎士や魔法使い達。

「いいね~、その恐怖感」

5番目の騎士のところにリザードマンがやってくる。

「やめろ!やめてくれぇ、ぐげぇ」

懇願虚しく串刺しにされる5番目の騎士。

殺人ショーは続いていく・・・。

最後に指揮官が串刺しにされたところで

「よし、アジトに帰るぞ」

うっそうとした森の中。あたりには霧が立ち込めている。

串刺しにされた沢山の死体。中には白骨化したものもある。

その先にある洞窟付近では数体のリザードマンが警護にあたっている。

洞窟の奥深く、大きな空洞になっている場所。奥の玉座に座っているのは

先ほど騎士団を串刺しにしていた魔族である。

手にはリッキー王が持っていたものと同じ魔蓄管を持っている。

3分の1ほど赤い液体が貯まった魔蓄管を見ながら

「この辺一帯はあらかた狩り尽くしてしまったな」

「ナーガ様!」

一体のリザードマンがナーガの前に跪き報告する。

「何事だ」

「勇者が攻めてきました!」

「またか・・・無駄なことを。邪魔をせずここまですんなり通してやれ」

ダダダダダダ!とナーガの前に現れる勇者御一行様。

「貴様が串刺魔のナーガか!」

「そのような異名はよく知らぬが、いかにも私がナーガだ」

「勇者ポッサムとその仲間達が貴様を討ち取ってくれる!」

やれやれという表情を浮かべたナーガは

「ポッサムとやら、お前で10組目だぞ、自称勇者というやつらは」

右手の人差し指で指差す先には焼き鳥のように串刺しにされた自称勇者が

9人立てかけられている。最初の方の勇者は白骨化していた。

「記念すべき10人目としてあの列にお前を加えてやろう」

「串刺しにされるのは貴様だ!食らえ!勇者のイカヅチを!

 ダイレクトソレナンデスカギガテラアソコカイカイデイン!」

   ●

「ぐげぇえええええ」

串刺しされ息絶える勇者ポッサム。

その仲間達はリザードマンに殺されている。

「立てかけておけ」

リザードマンにより10人目として壁に立てかけられる勇者ポッサム。

魔蓄管を確認するナーガ。全然増えていない魔力を見て

「勇者のくせに魔蓄管に全然魔力が貯まっていないではないか。

 弱い、弱すぎる。もっと骨のあるやつはおらんのか」

一匹のリザードマンが血相を変えて走ってくる。

「ナーガ様!」

「何事だ。また勇者でも来たか?」

チャキ、チャキと甲冑を着た戦士が歩く音が近づいてくる。

足元から次第に全体が見えてくる。赤いマントがいい感じにゆっくりとゆれている。

「お前の相手は私がしてやろう」

黄金に輝く甲冑。兜はかぶっていない。

「何者だ?」

「ドルチェ国国王、ライオネス・リッキーである」

「これはこれは、国王様自らのお出ましとは恐れ入った。

 ヒューマンごときが魔族である我を倒せるとでも思っているのか?」

「試してみるがいい」

「お前を倒してドルチェ国をごっそりいただくのも悪くない」

ナーガの大きく太い尻尾がリッキーへ襲い掛かる。

右手一本で払いのけるリッキー。

「ほほう、ヒューマンにしてはやりおる」

ナーガの口から紫色の煙が吐き出される。

ナーガの周りにいたリザードマンが一人、また一人と痺れて動けなくなりその場に倒れていく。

「神経ガスか」

「その通り。私は神経ガスを吐く息に混ぜて放出することができる。

 リザードマンでもあのざまよ。ヒューマンごときでは抗うことはできぬわ!」

仁王立ちのリッキーの周りを時計回りにゆっくりと回りながら

「どうだ、動けまい。そうだよいことを思いついた。

 国王よ、確かお前には娘がいたな」

プチ、プチプチと何かが千切れる音がする。

「お前の前でその娘を串刺しにしてやろう」

リッキーに近寄り、顔を近づけ

「さぞかしよい恐怖を感じることができるだろう」

プチプチプチという音を立てながら甲冑が外れていき、

リッキーの体が大きくなっていく。

「娘に手を出すことは許さぬ」

リッキーの体は3メートルほどに大きくなりナーガを追い越している。

そしてその姿はライオンそのもの。

「お前は魔族か!はっ・・・そ、その姿・・・まさか獅子王リッキー」

ガオオオオン!ライオンの咆哮と同時に左手のグーがナーガの頭上から振り落とされる。

頭蓋骨を粉砕されペシャンコになったナーガの頭が地面に叩きつけられる。

一撃、たったの一撃でナーガは絶命した。

「最近の若い魔族は礼儀というものを知らん」

ナーガの死体の近くに落ちていた魔蓄管を拾い

「ミッキーの奴め。最近、若い魔族の統率が緩くなっておるようだ。

 これでは何のために秘密裏に魔蓄管で魔力を集めているのかわからぬではないか」

洞窟の外ではジャックスとバース達によりリザードマンの掃討作戦が終了していた。

ヒューマンの姿に戻った状態でマッパ(真っ裸)だが

赤いマントだけは装着しているリッキーがナーガの尻尾を

右手で持ち引きずりながら洞窟の外に出てきた。

「王よ、感謝いたします」

ジャックスとバースがリッキーの前に膝まづく。

「あとはお前達親子に任せる」

   ●

早朝のドルチェ国の首都ベルリンゲン。

賑わう街中。行きかう人々。

朝日が差し込むドルチェ城の玉座の間。

右手に持った魔蓄管を眺めながらリッキーは考えていた。

なぜ、何もしていないのに我が持っている魔蓄管には魔力が貯まっていくのか。

ナーガのように恐怖の感情で魔蓄管の魔力を集めていないのに、と。

そしてなぜ私にだけ・・・

「おはようございます、お父様」

「おはよう、ソフィア」

年齢は15才、金髪に青い目、白い肌、ピンクのドレス。

そりゃぁーもうプリンセスってな感じ。

30年前。

ライオン獣人のようであるが獣人にしては体が大き過ぎる。

通常のライオン獣人の2倍の背丈、3メートルはあるだろうか。

赤いマントを羽織っている以外は何も装着していない。

「放てぇえええええええ!」

指揮官の号令とともに無数の矢が城壁の上から放たれる。

ライオン魔族はマントを外し右手に持ち頭上の上でクルクルと回し始める。

矢はマントに当たり弾き飛ばされライオン魔族には当たらない。

再びマントを装着するライオン魔族。ゆくりとした足取りで城門へ向かっていく。

「魔法部隊詠唱完了いたしました」

「よし!放てけえええええええ!」

無数の魔方陣がライオン魔族の周りに展開される。

炎、氷、雷、風、4属性の魔法が一斉に放たれるがライオン魔族には効いていない。

歩みを止めず城門へ向かっていく。

「開門!」

ドスン!ドスン!と何か重たいものが歩く音がする。

3体のゴーレムが城門より出てくる。

身長は4メートルはあるだろうか。手にはハンマーを装備している。

ゴーレムの動きは鈍いがライオン魔族を取り囲む。

一斉にハンマーを振り下ろすゴーレム達。

ズゴーーーーーーーーン!

振り下ろされたところにライオン魔族はいない。

ゴーレム達の頭上10メートルまで一瞬にして飛び

落下してくる勢いとともに左手で1体のゴーレムの頭をはたき落とす。

はたき落とされたゴーレムは勢いよく地面に顔面からめり込む。

地面に着地すると振り向きざまに右手を振り抜きもう1体のゴーレムの頭をもぎ取る。

残った一体がハンマーをライオン魔族目掛けて再度振り下ろす。

左手で受け止めるライオン魔族。前蹴り一閃、ゴーレムの下半身が吹き飛んだ。

右手に持っていたゴーレムの頭をぽいっと投げ捨て城門へ向かっていくライオン魔族。

「引けぇ!第3次防衛ラインまで引けぇ!」

城内の王の間ではこの襲撃に対する報告が行われていた。

「第2次防衛ラインをあっさりと突破。我が国最強を誇るゴーレム3体全て大破。

 現在第3次防衛ラインにて戦闘中ですが突破されるのも時間の問題かと」

国王は家臣に向けて言い放つ。

「タイタンハンマーを使用せよ」

若かりし頃のジャックスが反論する。

「お待ちください国王陛下。タイタンハンマーは諸刃の剣。

 使用すれば大地震を引き起こし国民に多くの犠牲者が出ます」

「構わん。国民に犠牲者が出てもやむ得えまい。世が生き延びることが先決だ。

万が一に備え、世はオソロシアン共和国に支援を求め出国する」

「王よ、それは我が祖国がオソロシアンの属国になることを意味しております」

「世は国家なり。世が生きておればドルチェ国は滅びぬ」

ジャックスは両手拳を力いっぱい握り下唇を噛み怒りをこらえていた。

なにが世は国家だ。国民を見捨て、祖国をオソロシアンに売るつもりか。

静まりかえった城内。玉座の間に入ってくるライオン魔族。

玉座の前には大きさ30センチくらいのタイタンハンマーの頭の部分を地面につけ

長さ1メートルくらいの柄の部分の先端に両手を乗せ

仁王立ちのジャックスが待ち構えていた。

「なぜ、貴殿は我が国に攻め入ってきたのだ」

「なぜ?ただの散歩だが」

「散歩だと!嘘をつくのも大概にせよ」

「嘘では無い。たまには違う道を通ってみたいと思っただけだのこと」

「こちら側には多数の死者が出ておるのだぞ」

「お前達ヒューマンも散歩の途中で虫が周囲に集まってきたら払いのけるであろう」

「馬鹿な!ゴーレムを粉砕したあれはそれと同じだと言うのか!」

「我はお前達が我の散歩中に虫のように集まってきたのを払いのけているだけだ」

確かにやつが通ってきた道だけに被害が集中している。

こんなことでタイタンハンマーを使ってしまってはイタズラに被害を広げてしまうだけだ。

「王よりこのドラロン作のタイタンハンマーを使って

 貴殿を排除するよう命を受けておるが、このタイタンハンマーをもってしても

 貴殿を止めることはできないだろうな」

「うむ、お前の言うとおりだ。我はその程度の武器では倒せぬ」

タイタンハンマーを投げ捨てるジャックス。

「使わぬのか?」

「タイタンハンマーを使えば大地震が起きる。

 国民に多数の犠牲者が出る。使っても勝てないのであれば使う必要もない。

 貴殿には勝てぬとはわかっているが王の命にそむくは騎士としての矜持に反する」

腰の剣を抜きながら

「我が名なジャックス・フリードマン。

 国王親衛隊隊長にしてドルチェ国最強の騎士なり」

妻の顔、子供たちの顔を思い浮かべるジャックス。さらばだ・・・。

「私との対決を最後に貴殿の我が国での(散歩)をやめていただきたい!」

ライオン魔族の後ろにある扉がバーンと開く。

10代半ば、細く成長しきれていない、甲冑姿がまだぎこちない若者が入ってきた。

「父上!私も助太刀いたします!」

「バース、避難せよと申したはず」

距離を保ちながらゆっくりとライオン魔族を迂回しジャックスと合流するバース。

「お前では歯が立たぬ。ましてや私でも。逃げよ、バース」

「私も騎士としての誇りがあります。ジャックスの息子としての誇りも!」

バースを見つめるジャックス。バースの幼い子供の頃の姿を思い浮かべる。

まだ子供だと思っていたが・・・。

「わかった・・・では、バースよ。一緒に戦おう!

 そしてここが我等親子の死地となるだろう」

決死の覚悟を決めた親子がライオン魔族に戦いを挑む。

ジャックス懇親の一撃を決めるも微動だにしないライオン魔族。

バースの攻撃はもちろん効くわけもなく、あっさりと首を掴まれる。

バースの首を右手で掴み持ち上げるライオン魔族。

足をバタつかせ苦しむバース。

「バースから手を離せ!」

何度も剣を振り攻撃するもライオン魔族には効果が無い。折れる剣。

パンチを繰り出すジャックス。

「バースから手を離せ!」

今にも窒息死しそうなバース。

「バース、バース、バアアアアアアアッス」

涙と鼻水を流しながら、なりふり構わず攻撃するジャックス。

バースの幼き日の姿が脳裏に浮かぶ。

「大きくなったら僕も父上のような剣士になる」

ジャックスの目にタイタンハンマーが映る。

タイタンハンマーを手に取り振りかぶる。

「うわあああああああああ!許せ、我が国民よ!バアアアアアアアッス!

 今、父が助けてやるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

タイタンハンマーをライオン魔族目掛けて振り落とすジャックス。

左手でタイタンハンマーの柄の部分を掴むライオン魔族。

そして右手を緩めバースを開放する。

「ゲホッゲホッゲホッゲホッゲホッ」

床に四つんばいになり苦しそうに咳き込むバース。

「なぜ、タイタンハンマーを使うのだ?国民とこいつ一人の命。

 お前にとってはこいつの方が重いということか?」

はっ、と我に返るジャックス。

タイタンハンマーから手を離し震える両手で顔を抑えならが

「私は・・・私は騎士である前にただの父親であったようだ・・・」

ライオン魔族は玉座を見ながら

「お前達の王はどこへ行ったのだ?」

「王は貴殿の散歩に恐れを無し、オロソシアンへ逃げてしまわれた」

「今、この国の王は不在ということか?」

「私が貴殿に敗れた今、そういうことになる」

「では、今日から我がこの国を治めてやろう。

 この姿のままでは色々と面倒なことになりそうだ。

 お前達ヒューマンの姿に変わるとしよう」

マントを取り、頭の上でくるりと回し、しゃがみ込み頭からマントを被る。

マントの中は小さくなり、そして立ち上がったその姿は

金髪のアフロ、金色のヒゲに精悍な顔つき、マッチョなヒューマンの男性が現れた。

マッパに赤いマントを装着し直すライオン魔族。

「我が名はライオネス・リッキー。我は魔族ゆえに子を持たぬ。

 ゆえにお前達親子の関係に少し興味が沸いたのだ」

1ヶ月後、オソロシアン共和国に逃げた国王がドルチェ国に

オソロシアン軍を引き連れて攻め込んできた。

ヒューマン姿で黄金の甲冑姿に赤いマントで

タイタンハンマーを手に取り一振りするリッキー。

地面がひび割れ落ちていくオソロシアンの兵士達。

左手に持ったタイタンハンマー突き上げタイタンハンマーを見るリッキー。

「ほほう、さすがは我が古き友、ドラロン作のタイタンハンマーよ。

 使用者の魔力に応じて威力が増すらしいな」

そのまま再度勢いよくタイタンハンマーを地面目掛けて振り下ろす。

たった一日、そしてたった一人の新しい王によりオソロシアン軍は壊滅させれられた。

半年後、今度は2倍の数に10体のゴーレムを引き連れてオソロシアン軍は

攻め入ってきたが前回と同じリッキーたった1人に1日で壊滅させれらてしまう。

もはやドルチェ国への侵攻は困難であると判断したオソロシアン共和国は

ドルチェ国から逃げてきた国王に対しドルチェ国への侵攻をそそのかし

オソロシアンに多大な損失を与えた罪をでっち上げ投獄した後、処刑した。

これによりオソロシアン共和国とドルチェ国は停戦となり現在に至る。

ドルチェ国にリッキー国王あり。

オソロシアン共和国の2度の惨敗を目の当たりにした近隣諸国は

これ以降、ドルチェ国へちょっかいを出さなくなる。

皮肉なことに魔族が統治することになったこの国は向こう30年間、

近隣諸国からの侵攻も無く平和な国へと生まれわかり、

文化、芸術、経済と大きく発展していくのであった。

リッキー在位10年目のことである。

「王よ妻をめとりください」

ジャックスの進言で隣国で同盟国のフランフラン国(通称FF国)から

ヒューマンの妻カミーユをめとった。

そして5年後に王女ソフィアが生まれたのであった。

あれから15年が経過し、ソフィアは美しく成長した。

「今日も平和な一日でありますよう」

「ああ、本当にな」

優しい目、父親の目でソフィアを見るリッキー。

恐怖ではなく平和なこの状況でなぜ、我の魔蓄管は魔力が貯まっていくのだ?

東方の魔族、鬼信長にも子がいると聞く。

確か彩姫あやひめだったか。しかし、本当の子では無いとも聞いている。

我は魔族ゆえに子を持たぬはずが

なぜ、私にだけ・・・。

なぜ、私にだけ・・・本当の子ができたのだ。

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