DG4
おしゃれはカフェが立ち並ぶエリアに入ってきた俺っち。
転生前は音楽活動のためにバイトする日々。このようなおしゃれなカフェで
優雅にお茶する金も時間もなかったな~。
ここでのイベントは何だろうね。先ほどの魔法学院のようなベタなイベントが
発生するのだろうか?発生するとすれば、
幼馴染のマリンちゃんとの再会&おしゃれなカフェでの食事だろうか。
トントンと後ろから肩を叩かれる。振り向くと大きな帽子にサングラスを掛け、
綺麗なドレス姿のスタイル抜群の美女がいた。
サングラスを少し傾けながら
「レニー、久しぶりね」
「えっ・・・と・・・マリンちゃん!」
本物のイベント発生!
「いつもの部屋をお願い」
「かしこまりました」
マリンちゃん御用達のおしゃれなカフェ。
完全個室の眺めの良い最上階のテラス席へ案内される。
「ありがとう、いつものを二つ用意してもらえるかしら」
「かしこまりました」
席に座る俺っちたち。サングラスを外しテーブルの上に置くマリンちゃん。
「レニー、昨日はごめんなさいね」
「昨日?ああ、デスパラのライブでのこと」
「うん、まさかライブ会場で会うなんて思ってもみなかったわ」
「確かに。俺っちもびっくりしたよ」
子供の頃の昔話をしているとマリンちゃんが注文したいつものやつが運ばれてきた。
おしゃれなティーカップ入った紅茶と美味しそうなベイクドチーズケーキ。
ベイクドチーズケーキを見ると反射的に彩姫を思い出してしまう。
「あのね、レニー。私とレニーの関係は内緒にしておいて欲しいの」
「了解。アイドル活動って大変だもんね」
アイドルの幼馴染という立ち位置、悪くない。
あのまま魔法学園へ進んでいたらこんな展開もあったかもしれない。
12才の頃、引っ越していった幼馴染のマリンちゃん。
魔法学園へ入学してみると、そこには幼馴染のマリンちゃんが。
アイドルを活動をしているマリンちゃんを影で支える俺っち。
数々のツンデレイベントを経てお互いが気になるようになり~の愛へ発展し~の。
これはあれか?12才の別れのときに諦めた幼馴染との股間激熱イベントの再燃か!
岩に刺さったエクスカリバーは3分の1ほど鞘から飛び出している。
中世の甲冑を着たおっさん騎士が柄を右手で握り締め左手でサムアップしている。
いつでも俺っちのエクスカリバーは抜く準備が出来ている!
「それから私が貴族の愛人だったってことも黙っていて欲しいの」
「もちろんだよ。でも、どうしてアイドルやってるの?」
「話せば長くなるんだけど・・・」
マリンちゃんはオータム・イシカワという魔族からスカウトされ、
貴族の愛人から解放されたことを話してくれた。
自分がアイドル活動をすることで母親に危害が加わらないことも。
「お金もちゃんと支給してくれるし、生活には困ってないけど
ただ一つ不満があると言えば本当の自由が無いことかな」
「本当の自由?」
マリンちゃんは右手薬指にはめられた簡素な指輪を俺っちに見せてくれた。
「ガーディアンリングというらしいの。私が危険な目にあったとき
身を守ってくれるお守りだから、と言われてはめたら取れなくなっちゃって。
後で知ったのだけど逃げ出さないようこの指輪で24時間所在を確認されているの。
ライブの時にメンバーが揃わないと困るからってことらしいのだけどね」
指輪はGPSみたいなものか。紅茶とケーキを食べ終わったマリンちゃんは
「ここを出るときは別々で出て行ってね。それからレニー、
これは言いにくいことだけど、
出来ればライブ会場にはしばらくは来て欲しくないの・・・。
今は大事な時期だから。わかってもらえるかしら」
「うん、わかったよ」
「ありがとう、レニー。それじゃあ、さようなら」
「さようなら」
「あっ、こういうときはこういう風に言うのだったわね。
さようなら、ロックンロール」
「そうだったね、さようなら、ロックンロール」
アイドル活動中に俺っちと幼馴染の関係をファン達に知られたくないのだろうね。
マリンちゃんからやんわりと釘を刺されて、
俺っちの股間激熱イベントはまたもや消えてなくなってしまった。
がっかりした表情のおっさん騎士がエクスカリバーを鞘へ押し込む。
ガローっ!という叫び声とともに鞘へ戻っていくエクスカリバー。
おしゃれカフェを出た俺っちの前に鎧を着た騎士が二人立ちはだかる。
あれ、こいつらは・・・ガローっじゃなくてガロンの取り巻きだ。
「こっちへこい!ぼっちゃまがお呼びだ」
裏路地へ連れて行かれる俺っち。そこにはガロンが待っていた。
「おい!警告したはずだぞ!マリンたんには近づくなと」
「近づいてないって。マリンちゃんの方からカフェに誘ってきたんだって」
「嘘をつくな!マリンたんがそんなことをするはずない!」
あーだめだ、こいつ頭いっちゃってるな。
「マリンたんにこれ以上近づけないよう痛めつけてやる!」
二人の騎士が剣を抜く。マジかよ。ドラロンからもらった腕輪を即座に重ね合わせる。
転移魔法を発動しドラロンの工房へ逃げる俺っち。
「ふう、危なかった~。マジあの小太り貴族、頭おかしいって」
ピロロリーロピロピロピロリンと可愛らしい電子音っぽい曲が遠くから聞こえてくる。
工房前の草原から何かに乗ったドラロンが近づいてくる。
「おお、レニーいいところに来たな」
デパートの屋上にあるコインを入れたらゆる~く動くパンダの乗り物の
サイボーグパンダバージョンが目の前にある。
サイボーグと称したのは黒銀のメタルボディだから。
「なんっすか、これ・・・」
「DG4だ」
ナブルモサザウルスをモデルにしたDG3は格好良かったのに何でこれにした?
「モデルは北の方に生息する大人しい性格のパンダモンダグリズリーだ。
以前、レニーが自動車という乗り物について話してくれただろう。
それを参考にして足の部分を丸いタイヤってやつにしてみたのよ」
なぜバージョンが偶数の時はフルモデルチェンジの上に格好が悪くなるのであろうか?
「DG3は4足歩行だったろ?あの四足歩行の制御が意外と難しくてな。
魔鉱石に負担がかかって魔力をガンガン吸ってしまったみたいなのよ」
JBが魔力をDG3から吸い取られた理由は四足歩行だったからなのか。
「構造が簡単になった分、制御し易くなったわけだがその分見た目の
インパクトがが下がってしまったが・・・でもなあレニー。
これに乗ると何だかホンワカして楽しいんだな~」
ぽけ~っとした顔でDG4を見ていると
「二人乗りにした方がよかったかな?」
「いや、別に一人乗りでいいと思うっす」
「ちなみに右のペダルを踏むと前進、左のペダルを踏むとバッグする優れものよ」
左のペダルを足で押すドラロン。
ゆっくりとバックするDG4。ティンコンティンコンとバックするときに音が鳴る。
「ハンドルのクラクションの部分を押すと」
口がパカっと開きDG1の時のようなキャノン砲が姿を現す。
「ちゃーんと武器も装備してあるぜ!」
サムアップするドラロン。楽しそうでなりより。
「俺様は調整を兼ねもうちょっと草原をこいつでドライブだ!」
可愛らしい電子音を出しながらドラロンは草原へ移動していく。
う~ん、何だろう。転生前の世界にある低速の電動カートに乗って
グランドゴルフに行くおじいちゃんを見ているようだ。
こんなこというと申し訳ないがマジ普通の音が出るだけの
楽器としてのドラムでいいのだが。
自走式だなんて頼んだの誰だよ・・・88か、じゃあ仕方ない。
ここまで来ると行き着くところまで行くしかないか。
どんどん変化していく自走式ドラムの変化を楽しむしかないな。
ついさっき路地裏でヒューマンの騎士から殺されそうになっていた。
DG4に乗って草原を散歩しているのはヒューマンから恐れられている魔族だ。
「ヒューマンと魔族、本当に怖いのヒューマンの方じゃねーかよ」




