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デスパラダイス7

マリンちゃんと俺っちが見つめ合っている姿を見た3人組が

「おぬし、マリンちゃんとただならぬ関係なり?」

「初めて見る奴っちゅうか~」

「バキューンのお約束を知らないようであるが、なにか」

「幼馴染で・・・」

すげぇでかい声でマリンちゃんが俺っちの言葉を遮る。

「マリンはみんなのマリンだよー!イエーイ」

ファン達がマリンちゃんに声援を送る。

「イエーイ!」

「マリンちゃんは僕達だけのマリンちゃんなり」

「マリンちゃんに一生ついていくっちゅうか~」

「マリンちゃんは誰のものでもないであるが、なにか」

リーダーらしき鬼族の女の子が状況を察したのか強引に

「もう一度、いっくよ~!みんな準備はいい?」

全員が立ち上がりながら

「デスデスデスデス」

そして先ほどの曲が流れ、オタ芸が始まる。

貴族の愛人になると言い残し12才の時に別れてから3年経過したが

あのマリンちゃんに間違い無い。

ステージの上でマリンちゃんが一所懸命歌って踊っている。

いったい何があったのだろう。ライブが終わると握手会なるイベントがあるらしい。

で、例のごとく握手会に参加するには参加券が必要であり、

その金額は金貨5枚(5万円)につき1枚、

もしくは金貨5枚相当のグッズ購入で1枚となっていた。

この商法は転生前のあの有名なや~つぅ~だが異世界の方が金額がエグイな。

しかし、あの商法を異世界でも思いつくやつがいたとは驚きだ。

例え思い付いたとしても各種族の美女を7人も集めるだけの

手腕と財力がないと成立しない。

マリンちゃんに直接会って話がしたいところだが金貨5枚って馬鹿馬鹿しい!

「買っちった!」

マリンの顔が描かれた団扇(純銀貨5枚 5千円)を10枚購入。

「握手券1枚ゲット!」

握手会に参加する俺っち。マリンちゃんの握手には長蛇の列。

30分以上かかってようやく俺っちの番。

「マリンちゃん久しぶり」

そう言いながら握手をする。

「応援ありがとう! また来てくださいね」

えっ? それだけ?

「はい、次の人と変わってください」

マリンちゃんの横に立っている強面の鎧を着たおっさんに強引に腕をつかまれ

強制的に移動させられる。

ほんの5秒程度。こっちは金貨5枚も払っているのにたったの5秒。

まだ行ったことはないけど異世界のキャバクラでも

金貨5枚支払ったら結構遊べるよ~。

キャバクラで入店して握手5秒で追い出されたら、それはもうぼったくり認定だよ~。

ブツブツ言いながら握手会の会場を出て行く俺っちの前に

ガロンの護衛の騎士二人が現れ行くてを遮る。

「こっちへこい!」

両脇を抱えられ裏路地へと連れて行かれる。

転生前ならマジビビる状況だが転生後の俺っちは何度か死にかけたり

阿修羅子という本当に怖い魔族に会ったりしたことで少し度胸がついた。

この程度ならビビらなくなっていたりする。

「俺っち何か悪いことした?」

二人の騎士の背後からガロンが現れる。

「お前、マリンたんとどういう関係だ!」

「ただの幼なじみだよ」

「お、お、幼なじみだあとぉ!まさか結婚を誓い合った仲とかじゃあるまいな!」

「結婚? まさか」

「じゃ、何しに来た」

「今日、ベルリンゲンに着いたばっかでよ」

俺っちは面倒くさそうに右手で後ろ頭をカキカキしながら

「旅の途中で出会ったモヒカン野郎に勧められたからふらっと立ち寄ってみただけさ。

 そうしたら3年前に別れた幼なじみのマリンちゃんにバッタリ会ったのさ」

「ふん、まあいい。いいか!マリンたんは僕ちんと結婚することになっているのだ!

 幼なじみの立場を利用してマリンたんに近づくなよ!

 変な行動をしたら僕ちんの護衛のこいつらがお前に何をするかわからないぞ!」

あー、あれだ。思い込みの激しい困ったファンってやつか。

マリンちゃんも大変だな~。

「OK。何ともないから安心しろ」

俺っちがしゃしゃり出るとアイドル活動している

マリンちゃんに迷惑を掛けることになりかねない。

「本当だな」

「本当、本当。あっ、これやるよ」

マリンちゃんの団扇を全部ガロンに手渡そうとしたが

「そんなものはいらん!もう何千枚買ったかわからん」

何千枚って・・・買い過ぎだろ。

「じゃあな~。俺っちはベルリンゲン観光したいからこれで帰らせてもらうぜ」

マリンちゃんの顔が描かれた団扇を見ながら思い出す。

握手会でのマリンちゃんは塩対応だったけど近くで見たマリンちゃんは

あの頃よりも美しくなっていたな~。

マリンちゃんが貴族の愛人になるために引っ越していったことは

ガロンには話さないでおこう。何か夢を壊すのも気の毒だから。

マリンちゃんの団扇をクルクル回しながら

「さてと、今晩の宿屋はどこにしようかな」

   ●

ドラロンの工房。壁に飾られた2本の中華おたまみたいなものを見ながら

ドラロンがハードボイルド調で語る。

マジックミックスラケット、とでも言っておこうか。

100年くらい前になるが魔法使いの間で2つの魔法を混ぜ合わせる

合成魔法が流行った時期があった。

(メド○ーアと叫びながら魔法を撃つ魔法使い達)

その合成は難しく両腕を失くすものが続出したため、

俺様は安全に魔法を合成できるようにこいつを作ったのだ。

片手に1本ずつ持ち魔法を唱えるとおわん型の増幅器に一旦魔法が蓄積される。

おわん型の部分を重ね合わせるとカチっという音がなりロックされる。

もう一度カチっという音がなりロックが解除されると合成された魔法が完成する。

失敗しても合成魔法に直接触れていないので両腕を失くすこともない。

ちなみに同じ魔法を合成した場合は威力が増大する優れものだ。

ただ・・・合成した後のことを考えてなかったのだ。

ラケットを振って合成魔法を相手に投げつけるのだが

非力な魔法使いでは届かないんだよね~。

投げたとき飛距離が足りなくてパーティのど真ん中に落ちてパーティ全滅、

なんてこともあったらしい。

マッチョな魔法使いなら使いこなせたかもしれないが合成魔法の流行も去って

今じゃ合成魔法なんて危ないこと誰もしないっしょ、ってな。

作ったはいいが使い勝手が悪かったっていう悪い例だな。

作り手としての戒めってやつで壊さず、ああやって壁に飾ってあったが・・・。

「おーい、ガンガン。これ裏の崖の倉庫にでも保管しておいて~」

「はい、マスター」

「さてと、俺様はDG4の調整を・・・」

「ドラロンはいるか!」

工房の外で大声で叫ぶ者がいる。

「俺様は魔族のギューザッグ様だ! 俺様専用の武器を作りやがれ!」

オークのような魔族が工房の玄関前で叫んでいる。

「ガンガーン、いつものように死なない程度に追い返して」

「はい、マスター」

ガンガンにこてんぱんにやられているギューザッグ。

「まったく、最近の若い魔族は礼儀というものを知らん」

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