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オータム・イシカワ

ドルチェ国の首都ベルリンゲンにあるキャバクラ オアシスフラミンゴ。

ヒューマン、エルフ、ドワーフ、色んな種族のホステスが客をもてなしている。

店内は満席というわけでもないがそれなりに客の入りは上々である。

小柄で細身、メガネの男性が店内を見渡している。

ヒューマンに変身したオータム・イシカワである。

「レッドちゃんは出勤してるかい?」

「今日は出勤してないんですよ~」

残念そうにしている客に別のホステスが対応する。

「レッドちゃんは出勤してる?」

出勤していないと聞き帰る客。

「レッドちゃんというホステスは人気があるが今日は出勤していないのか?」

スタッフを呼びとめ質問するイシカワ。

「最近入ってきた若いヒューマンの女の子なんですけど実は数日前に

 店の女の子の扱い方に抗議して、前の店長のジョージさんと乱闘になりまして。

 ジョージさんをグーパン一発でのしちゃったんですよ。

 それ以来、お店に出てこなくなりまして」

「ほほう、あのジョージをグーパン一発で。どんな子なんでしょうねレッドちゃん」

店内でホビットのホステスを叱責しているやくざ面でパンチパーマの男性スタッフ。

乱暴に手を握り店の裏側から外へ連れ出した。

パンチパーマはホビットのホステスに対して

「何度言ったらわかんだよ! もっとガンガン高い酒注文しろって言ってんだろうが!」

「だって、あのお客さんお金持ってないって・・・」

「関係ねぇ! 後で俺達が回収してくんだからさっさと注文しろや!」

「でも、可愛そう・・・」

「黙って言う通りにしやがれ!」

右手を高く上げホステスにビンタをするパンチパーマ。その場に倒れ込むホステス。

「おやおや、そんなことをしてはいけませんね」

パンチパーマの背後にイシカワが立っていた。

「何だ、あんたか」

「彼女達は我々の大切な商品です。商品を傷付けることはこの私が許しませんよ」

そう言いながら易しくホステスを支えながら立たせるイシカワ。

ビンタされた辺りに手をかざし回復魔法を掛ける。

「ありがとうございます、新店長」

「店内に戻ってお客様のお相手をしてください」

店内に戻っていくホステスを優しく見守るイシカワ。

「甘っちょろいぜ新店長。女ってのは鉄拳でいう事聞かせるのが一番なんですぜ。

 前の店長のジョージさんの時は殴って女どもを管理していたんだ」

「おやおや、あなたは言ってもわからないタイプのようですね」

パチンと指を鳴らすイシカワ。するとパンチパーマは仏顔になり

「彼女達は私達の大切な商品です。丁寧に扱うことを誓います!」

「わかったなら店内に戻って仕事をしてください」

もう一度店内を見渡すイシカワ。

パンチパーマは気持ち悪いほど笑顔で接客している。

バッグヤードにタバコを吸いに行くヒューマンのホステスがイシカワとすれ違う。

「クソが、あの客。触んなって言ってんのに胸を触ってきやがって。

 マジ殺してやりてー!」

店長室に戻ってきたイシカワは椅子に座り、机の上にある魔蓄管を手に取る。

「ジョージから店を引き継いだまではよいのだが」

キャバクラという場所を提供し、男のスケベ心という感情を集めることで

魔蓄管の魔力を充蓄させる発想は悪くないが・・・

「確かにあの状況では魔蓄管の充蓄は遅い・・・か」

塵も積もれば山となるというヒューマンのことわざがある。

このまま地道に営業を続けながら2号店、3号店と

増やしていくのも一つの手ではある。

回転椅子を左に回しながらぼんやりと考えるイシカワ。

オアシスフラミンゴは50人も入れば満席である。

「キャパシティに限界があるのが問題なのだ」

回転率を上げても1日最大50~100人程度の感情しか集めることができない。

「もっと効率良く人を集める必要がある」

今度は椅子を右に回転させる。

100人、200人、いや1万人10万人と一気に人を集める仕組みがないものか。

『レッドちゃんは出勤してるかい?』

『レッドちゃんは出勤してる?』

「レッドちゃん、レッドちゃん、か・・・。若い女性・・・」

『触ってきやがって。マジ殺してやりてー!』

触る箇所を限定・・・握手だけにしたキャバクラ・・・。

「ふむ、いい事を思いついた」

イシカワはオアシスフラミンゴの屋上へ移動する。

オアシスフラミンゴと書かれたネオン管の派手な看板の光が

屋上を怪しく照らしている。

イシカワは手下のガーゴイルを20体ほど召還し指示を出す。

「種族は問わん。若く可愛い女の情報を集めて来い」

「ギギギ」

「うむ、確かに。お前達では可愛いの基準がよくわからぬか」

思念をガーゴイル達に送るイシカワ。

「こんな感じの可愛いだ。わかったか?」

「ギギギ」

夜空に飛び立つガーゴイル達。

「ガーゴイルに可愛さが伝わったか少々不安ではあるが・・・

 トライ&エラーでやりながら修正していくしかあるまい。

 とにかく今は情報を集めることが大切だ」

   ●

次の日の夜、オアシスフラミンゴの店内。

「レッドちゃんは出勤してるかい?」

「今日も出勤してないんですよ~すんません」

パンチパーマがニコニコ顔で対応する。

ヒソヒソ話をしているヒューマンとエルフのホステス。

「何、あいつ・・・昨日からすげぇ気持ち悪いんですけど」

「だよね~、あんなに威張ってたのに。何かあったのかな?」

店長室でガーゴイルからの情報を思念で受け取っているイシカワ。

リストに名前と種族、年齢を記入している。

すでに5名ほど記入が終わっている。

次のガーゴイルが報告にやってくる。思念で情報を受け取るイシカワ。

6人目としてリストに記載をしようとしていたイシカワの手が止まる。

「エルフで年齢が200才だとぉ!誰がおばちゃんの情報を持ってこいと言った。

100才以下、できれば80才以下のエルフの情報を持ってきなさい」

この世界のエルフの年齢について再度説明をしておくと

ヒューマンの年齢に×5がエルフの年齢。

エルフの年齢の÷5がヒューマンの年齢。

200才は÷5で40才ということになる。

次の日の夜、オアシスフラミンゴの店内。

「レッドちゃんは出勤してるかい?」

「今日は出勤してないんですよ~」

店長室でガーゴイルからの情報を思念で受け取っているイシカワ。

30名ほどのリストが完成している。

「そろそろスカウトに乗り出すか。

 その前にレッドちゃんちょっと無断欠勤し過ぎかな。様子を見に行きましょうか」

履歴書に記載されている住居へ出向くイシカワ。

ドアをノックするが返事がない。もう一度、ノックする。

「誰だ、夜中に。うるせぇぞ!」

ごついヒゲ面のおっさんが出てくる。

「レッドちゃんはご在宅かな?」

「レッドちゃんだぁ~、誰だそれ。そんなやつはいねぇ、帰れ!」

バタンとドアを閉めおっさんは中へ入ってしまった。

「なるほど、レッドちゃんの住所は虚偽でしたか。

 次回から雇い入れる子の所在はきちっと管理しておかねばなりませんね」

転移魔方陣を展開し、店長室へ転移するイシカワ。

椅子に座りガーゴイルの報告を思念で受け取る。

「それは王女ソフィアだ。スカウトは難しいだろう。

 だが可愛いの方向性は合っている。その調子で探してきなさい」

ガーゴイルを頭をナデナデして褒めるイシカワ。

ガーゴイルからの情報をまとめたリストを見ながら

「明日からスカウトに行きますか」

森林の中にあるエルフの村。木漏れ日差し込む森の中で山菜を摘んでいる

一人の綺麗なエルフ。帰ろうとした時、辺りの異変に気がつく。

「静か過ぎる」

弓を手に取り警戒するエルフの女性。

「実物はなかなかの美人ですねぇ」

声のする方へ弓矢を向けるエルフの女性。

「何者です!」

「私の名前はオータム・イシカワ。魔族です」

「魔族だと。魔族のお前が私に何の用だ!」

「スカウトに来たのですよ、シャロンさん」

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