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168、家族の使役構成

 家に帰って夕飯時に、家族にも使役系をどうするのか聞いてみた。

「あたしは、そのうちにダンジョン街のお店でスクロールを買えるようになったら、守護騎士を取得する予定よ」

 姉は守護騎士を選択したようだ。魔法とクロスボウを使う後衛の姉には確かに、使い手を守ってくれる使役が合いそうだ。

「まだ当分は新スキルが人気すぎて、店じゃ買えないみたいだけどな」

「あたしが良く行く店じゃ、今は予約も受け付けられないって言われたわ」

 兄と姉が揃って肩を竦めている。

 どうやら今はまだ、スクロールが入荷する数が少ない上に同じ物を欲しがる人が多すぎて、予約すら受け付けられない状態のようだ。

「できるだけ早く欲しいなら、新しく出来たっていう、使役系のスクロールだけをドロップするダンジョンまで、自分で行くしかないだろな」


「守護騎士の鍛錬所と、使役専用ダンジョンだっけ」

 他は一纏めなのに何故か守護騎士だけ、専用の別ダンジョンが出現したのだ。多分、守護騎士の入手方法が、守護騎士と戦って相手を倒したら契約出来るっていう、特殊な方法だからだろうな。

「守護騎士の鍛錬所の方は、守護騎士と契約したり、関連の専用魔法や専用スキルがドロップしやすいダンジョンなのよね」

「そう。そんで使役専用ダンジョンの方は、守護騎士以外の使役系スキルが7種類と、その専用スキルや専用魔法のスクロールがドロップしやすいってダンジョンな」

 それらのダンジョンは、今回の新しい使役スキルと同時に出現した。

 というか、新ダンジョンが出現したおかげで、それと共に新しい使役スキルが追加されたっていう話が、世界中に一気に広まったのだ。

 これまでは、使役が使う専用スキルや専用魔法がドロップしやすい専用ダンジョンなんていう便利な存在は、世の中にはなかった。

 使役専用のスキルや魔法はこれまではかなりマイナー扱いだったのだが、今回、専用スキルや専用魔法しか使えない使役が登場した事で、一気に情報が出回った。

 あるいは、先日開催されたマイナースクロール祭りも、少しは関係あるのかも?

 ……ともあれ、使役だけが使える専用スキルも専用魔法も、もう知る人ぞ知るって状態ではなくなったのだ。


(人気すぎて当分は新しい使役スキルを店で買うのは難しいみたいだし、自力でスクロールのドロップを目指して、ダンジョンに潜る方が早いかもしれないのか)

 スクロールのドロップ率自体が低い上に、丁度目当てのスクロールを引ける確率は更に低い訳だけど、それでも店に入荷されるのをただ待つよりは、自力入手を目指してダンジョンに通う方がまだ、可能性が高いようだ。

 多分、半年から一年くらい経てば、ダンジョン街の店でも、安定して取り扱える程度には落ち着いていくんだろうけど、今しばらくは品薄状態が続くだろう。



「俺はロボットが欲しいな。他はまだ考え中だけど。ロボットに乗れば宇宙空間でも活動できるっていうからな。あとは精霊や妖精、人形や守護騎士やアンデッドも宇宙で動けるらしいけど、守護騎士に仕える従属系が宇宙で動けるかどうかは、まだ未確認なんだとさ。もし動けるなら活動幅が広がるんだけど、どうだろうな。……まあ、人も幻獣も星獣も、生身でも「宇宙空間適応」スキルを取得すれば、宇宙で活動できるようになるんだけど、あれは特級までいかないと取得できないスキルだからなあ」

 兄は将来の夢の為、ロボットの取得を考えているらしい。

 ちなみに父は精霊とネクロマンサーを取得済みで、その他に妖精とロボットを増やす予定だそうだ。……実は父がネクロマンサーを取得していたって事実にちょっと驚いた。

 そして母は人形と精霊を取得済みで、その他に妖精と守護騎士を増やす予定だという。

「妖精の悪戯は、お菓子や果物をあげれば収まるんでしょ?」と母は言うけど、どうやら指示を無視した行動そのものは、毎日きちんと食べ物を与えていても、完全には収まらないらしい。

 ただそれも、独断行動が指示内容よりも良い結果に繋がる事もあるらしいので、完全に欠点とは言い切れないらしいが。


「鴇矢はどうするの?」

「俺は今のところ、守護騎士とロボットを増やす予定。……もし他の使役スキルが増えるなら考え直すかもしれないけど、30年以上経ってようやく四種が一度に増えたって考えると、次があるにしても、すぐって訳じゃなさそうだしさ。それにもし次の追加があって、その中にどうしても欲しい使役があったなら、その時にどれかを削除して取り直す事だって出来るんだし」

 母の質問に俺はそう答える。散々悩んで決めたんだし、他の要素が増えない限りはこれでいく予定だ。

「でも鴇矢の性格だと、次に追加された物でどうしても欲しいと思うのがあっても、既に使役してる相手に情が移って、新しいのに乗り換えられないんじゃないか?」

「うっ、それはあるかも。使役してるとどうしても、愛着が湧いちゃうよね……」

 兄にからかうように言われて、俺は困って眉を顰めた。言われてみれば、一緒に戦ってきた仲間を削除できるかどうかはわからない。どうしても情が湧いてしまいそうだ。

「そう考えると、枠を一つ空けておいた方がいいのかな……」

 せっかく決まったと思った考えが揺れる。


「でも、どれだけ待っても次が来ない可能性もあるんじゃない? あとは、次が追加されるまでにまた30年以上間が空くとか」

 姉が小首を傾げて意見を言う。

「そうなんだよね。使役の種類がコンスタントに増えていくなら、今までだって十年に一度の割合とかで、もっと増えていただろうし。それを考えると、次がすぐに来る可能性は低そうな気がする」

 来るかどうかもわからない使役の為に、今欲しい使役を我慢するのも微妙な気がする。でもどうしても欲しい使役が新しく追加されたら、それで後悔するかもしれない。

「どうしようかな。先に守護騎士だけ取得して、ロボットの方はしばらく様子見すべきかなあ」


 ……それにしても、一度は決めたと思ったのに、我ながら迷ってばかりだな。




 次の日の放課後、キセラの街へ赴いて、知り合いの人達に、先発の使役系スキルが出現したのはいつ頃だったのかを聞いて回ってみた。

 次の使役系スキルがまた近々出現する可能性があるかどうかの参考にしたかったのだ。

 ダンジョンシステムが次をどうするかなんて誰にもわからないだろうけど、一応その情報がわかれば結論が出しやすいかと思ったのだ。

 その結果、先発の使役系スキルが四種同時に現れたのが、50年程前との話を聞けた。


(30年でも長いと思ったのに、下手すると50年は次の追加がない可能性もあるのか。……次がもうない可能性だってあるし。……これは、無理に一枠空けておく必要はないかな?)

 次がいつ来るか、それとも来ないのかと、ヤキモキしながら待つのも辛い。

 それにもし数年待って次が来たとしても、蜘蛛や蛇やスライムのような、俺が使役したいと思わない種類ばかりが実装される可能性だってあるのだし。

 それなら今あるスキルから、素直に欲しい物を選んでいいんじゃないかなって気になってきた。


(とりあえず、先に守護騎士の取得を目指して、その使い勝手を実際に確かめてみて、特に問題がなければ、その後にロボットを取得するのでいいかな)

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