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タッパーマン~落第の保存魔術師~  作者: 塵芥 カエデ
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落第の保存魔術師

初投稿です

皆様からのご意見を頂きつつ完結まで筆を進められたらと思います

拙い文章ですが、よろしくお願い致します

―――これは、僕が王になるまでの物語


対峙する二人

落伍者と後ろ指を指された僕と

寵愛を受け、将来を約束された弟


血筋から魔力に優れた者こそを王とする選王の儀

コロシアムで行われるそれは国の行く末を決する儀式であると同時に国民にとっては大きな娯楽である


一際高い位置から見下ろす父と、よく似た容姿の弟の目は冷たい

彼らにとってこの儀式は形式上執り行なわれるだけの茶番に過ぎないのだ

それ程までに弟と僕とには圧倒的な差があった

…僕が、この力を識るまでは


呼吸を整え弟を見る

ひさしぶりに目が合った気がする

始まりの鐘が鳴り、火蓋が切って落とされる


これは、僕が王になるまでの物語ー…


時は遡り僕が2歳の時

弟のディオスは生まれた

母に似た僕と違い、王家を象徴するような父と同じ金色の髪の弟に父は大層喜んだと後から知った


母は優しい人だった

僕ら兄弟に分け隔てない愛を与え、慈しんでくれる人だった


父は厳しくも優しい人だった

次代の王となるべく僕にも弟にも様々なことを教えてくれた

父の語る武勇伝を聞くのが僕ら二人はとても好きだった

父のような魔力と人格に優れた人間になろうと心に決めていた

僕が、五歳になるまでは


王家の人間は五歳になると古くからの習わしで

[神託]を受けることになっている

神託とは、神の加護を受けると同時にその人間の魔力的な資質を知る為の儀式であり

代々優れた魔力を持つ者を王とするこの国に生まれた世継ぎにとってとても大切な儀式だ


父はこの神託の儀で先に生まれたどの兄弟よりも優れた資質を見出され王となり、

そして良家で優れた魔力の資質を持つ母を娶り世継ぎを残す


先代も、先々代も、そうして代々優れた魔力を有する者を排出し続けることで繁栄を享受してきたこの国において神託は国の行く末を占うものであった


俗っぽい言い方にするなら、

魔力特性の明示が神託における最も重要なポイントで

父を例に上げるなら

詠唱の省略、魔法効果の出力上昇の二つが神託によって明かされた

特性が二つあり、かつその両方が優れているのは本当に稀なことらしく

記録によると四代遡ってやっと似たような傾向の神託が見つけられたそうだ


そして僕の神託

稀代の王から生まれた僕の魔力特性は

[保存魔法]

ある意味で快挙だった

なぜなら、この特性は我が国の王家のにおいて過去のどの人間にも発言していないという


どんなことが出来るか、先に言ってしまうと

例えばピクニックに行くとき僕がお弁当に魔力を込めたらその瞬間の状態を保存する!

どれだけ蒸し暑くても、時間を置いても腐らない…!

そんな魔力特性

有り体に言えばクソ特性


父の落胆は凄まじく、この日から僕の扱いは目に見えて変わっていった

世継ぎとしての期待は欠片もなくなり

好きだった武勇伝を聞く機会もなくなった


そして通例では五歳で受ける神託の儀を三歳の弟ディオスに受けさせた

幼すぎると魔力特性が発現していないこともあるのだが、恐らく父はこの時焦っていたのだと思う

兄弟揃って無能だった場合、他の相手と世継ぎを残すことも考えていたのだろう


しかし、この焦りと心配は杞憂に終わる

ディオスは三歳にしてしっかりと魔力特性が発現していた


詠唱省略、魔力出力上昇、重ねがけ

父の持つ特性二つのみならず、一つの詠唱で二度の魔法が発動する魔力特性

国が興って以来の天才的な資質に父は大いに喜び、

その日から弟ディオスは王となるべく力を注がれることになる


母は変わらず僕ら兄弟に分け隔てなく愛を注いでくれるが、父にとっての僕はただただ無能な息子であり

神託以降で会話をした覚えもない


そして神託から10年、

十五歳になった王家の子は見聞を広げ、より強くなるために旅に出ることが義務づけられている

出発にあたり王との謁見と不自由のない資金、そして従者をつけられることが通例であったが

僕はそのどれもが叶わなかった


母がこっそり持たせてくれた幾何かの資金を持ち、

誰にも見送られずに僕の旅は始まった


最後にもう一度

これは、僕が王になるまでの物語

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