その2
前夜(笑)
、、、
まぁ反対者がいないと言ってもそれは上層部の中だけ、民衆の中には度重なる攻撃で心身ともに疲れ果ててるだろう
、、、、
「ねぇ、スミ、、、!」
そこには2人の女性が立っていてスミに話しかけている。
「どぉしたのぉ?」
「もう、、この村は限界だよ、、」
三人の間に緊張が走る
「どうしてそう思うのぉ、?」
もう片方はずっと目を逸らして黙っている。
「あんたも心の中ではもう分かってるでしょ?もうダメだって、だって意味のわからないあのスライムに全てを任せるところまで追い込まれているのよ、私はあんなスライムの為に命なんて預けたくない。」
「でも逃げちゃったら村のみんなを裏切る事に、、」
2人の顔が険しくなる。
「そうやって生き延びたら、私どうなっちゃうかわかんないよぉ」
「なのに、、なんで、、」
1人の顔がスミの方に向けられる。
「そんなことわかってるよ!!!」
怒声を放つ、その手はプルプル震えている。
その声を聞き2人がすくむ。
「私たち三人ずっと一緒に過ごしてきたよね、、ここで死ぬことなんてないよ、」
「三人だけじゃない、、他のみんなも誘おうよ、兵士もずいぶん少なくなったしきっと成功する」
「私つらい、、なんでこんな事に、、、」
膝から崩れ落ちる、
黙っている方の目からは涙が流れている。
「、、、、、、、、」
沈黙が流れる、時間にして3分、だがスミにとってはそれは永遠に思えた。この沈黙を破ったのは静かな声だった。
「敵が攻めてくるまで時間はまだあるから、、それまでには考えとい、、、、」
異変に気づく
「え?なにこの影、、」
三人の周りを影で覆っている、否三人だけでなくこの村のほぼ全域を影が覆っていた。
見上げるとそこには、、、
「スライムさんだぁ、、」
「、、嘘」
じっとその巨体を見つめる。見上げてギリギリ頂点が見えるほどに体が大きい。
度肝を抜かれた三人から泣きそうな今にも泣きそうな表情がなくなっている。
「ねぇカコ、、ルタ、、」
2人が巨大なスライムの方を見るのを辞め、スミの方を見る、
「2人は言ってたよねこんな意味のわからないスライムに身を任せて死んでいくなんて嫌だって、
でも、、これ見て分かった?
まだまだ勝ち目はあるって、、」
「うん、、そう見たい、、」
まだ驚きが抜けきっていないような顔をしている、
そう思ったすぐにその巨大な影は無くなった。
「それにさ、、私やっぱ嫌、、勝手に逃げて村のみんなを見捨てるなんて、勿論2人のことは他の誰よりも大事だけど、この村に皆んなも他の何よりも大事」
「ごめん、、」
俯いてカコが喋る。
「謝らないで!」
「私のために勇気を入れて話しかけてくれたんでしょ?
ルタはいつも見たいにびびりだから手は震えていてもあまり驚かなかったけど、何でか分からないけどあなたも震えてた、、」
カコが口を開く
「だってあんた昔からお人好しだからみんなを捨てるような選択なんて言ったら嫌われちゃうかと思って」
カコの顔からは笑みが少し溢れている。
「あんたのために頑張ったのに、あんたに嫌われたら元の子もないでしょ?」
「そう、、ありがとねぇ」
ルタのスミが目をやる、
「スライムの所に行こうか、、」
「うん」
この三人組以外にも同じような企みを持った集団は何組かいたがこれを見てどれも逃げようと思うことは無くなった。
勝機を見出したものや、逃げる事は不可能だと思ったものもいるだろうか
その経緯は千差万別で今この村に戦う意思を無くしたものは居なくなった。
それぞれが色々な気持ちを持って広間に変なスライムの元に集まった。
「よし、皆んな集まったかな?」
みんなザワザワしていたがその一声で全てなくなり静寂となった
「三日置きに奴らはやってくる。しかも毎回同じ方から、そのことは皆んな分かっているな?
そして一匹の異質な奴、、」
ここで説明した作戦の内容はこうだ
戦士長達がボルドの正面に立って敵の意識をそこに集中させて茂みの横から足に向けて槍を刺す、
一本でも刺したものはそこから逃げて別のやつに槍を刺す。
地面には色々入っていて脆くなっているからそれで転び口からも俺の毒を摂取する。それだけでもすれば奴らはほぼ戦闘不能状態になるだろう、、、
数も個々の戦闘能力でも劣っている、唯一勝っている脳みそでも作戦の立案者が素人中の素人勝てる可能性なんてほぼない、
だが自分の戦闘力がボルドに勝っている、これで奴を殺し、異常になった奴らも元に戻る筈だ、、、、
「博打も博打だな」
思わず少し笑ってしまう
テンポ遅え