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35-お化け屋敷

更新出来なくてすみませんでした……

 お昼ご飯を買って食べたあと、今度はプールではなく遊園地の方で遊ぶことにしました。ここは水着のまま乗れるアトラクションが多くあるので、みんな水着から着替えてはいません。


「で、明らかに顔色が悪いけど大丈夫か?」

「だ、大丈夫だよ……たぶん……」


 どこにするか相談した結果お化け屋敷が選ばれました。その後中に入るまでみんなワクワクしていましたが、中に入った途端錦田(にしきだ)さんの顔が青ざめています。


「ホラー映画もホラゲーも大丈夫だし行けるよ、うん」

「そう言いながら私の手を掴んでるけど」

「べ、別にいいよね?」

「いいけど……」


 ホラー映画やホラゲーとお化け屋敷の怖さってベクトルが違うと思うんですよね。あとホラーの中でもお化け屋敷のような非実在系もあれば、殺人鬼みたいな実在系もあるわけで。かなり幅広いですから、分かりませんね。


 ちなみに僕はホラーは全般的に大丈夫です。弥恵(やえ)は一部を除けば大得意で、蓮也(れんや)は作り物だと分かってるから大丈夫とのことです。錦田さんもたぶん大丈夫って言っていたからお化け屋敷にしたのですが、辞めておくべきでしたかね。


「とりあえず奥に進みますか」

「おう」

「うん」

「うん……」


 ゆっくりと先に進み始めます。パンフレットでイチオシされていたのもあり、中々のクオリティです。舞台の廃病院をめいいっぱい使った演出で、とても面白いです。


「中々凄いですね」

「うん。この死体なんてよく作り込まれてる」

「これ人形か? 凄いなぁ」

「……」


 驚き疲れたのか錦田さんはもう反応がありません。その一方大丈夫組は完全に観光気分です。みんなでワイワイと楽しんでいます。


「あれ? 開かない」

「ドアが? 何かの演出でしょうか」

「脱出ゲーでもな――」

「ウガァァァァァァァ!!!!!」


 完全に油断していたのもありますが、突然背後から聞こえた大声に肩がはねます。後ろを振り向くと先程まで手術台に寝そべっていたはずの死体が起き上がってこちらまで近づいて来ているではありませんか。


「キャーーー!!!!」

「ヤバっ、追いかける!」

「頼みました!」


 この演出の後で開く仕様になっていたのか、鍵の開いた扉を悲鳴と共に錦田さんが飛び出して行きます。それを見た蓮也が慌てて後を追います。本当は僕たちも追いかけるべきでしょうが、僕の足では追いつけないでしょう。たぶん蓮也1人で大丈夫です。


「それで、大丈夫ですか?」

「……」


 そして追いかけられないもう1つの理由が弥恵です。ホラーは基本大丈夫なものの、雷のような大きな音が苦手な弥恵にさっきのは致命傷です。現に蓮也がいなくなった後、必死に僕の腕に抱きついています。


「歩けますか?」

「……うん」

「じゃあ進みましょうか」


 さっきまでの勢いは無くなり、ゆっくりと進む僕たち2人。途中驚かしに来るお化けたちを見る度にビクッとする弥恵は可愛いですね。おそらく今弥恵の心臓はバクバクと音を立てているんでしょう。


 一方僕の方も別の意味で心臓がバクバクです。僕自身ついさっきまで忘れていましたが今の僕たちの格好は水着です。最近では普段の服装でもドキッとすることがあるのに今の状況はかなり厳しいです。


「弥恵、手はしっかりと繋ぐので腕を放してもらえませんか?」

「や」

「でも」

「やだ」

「……分かりました」


 結局お化け屋敷の外に出るまで弥恵に腕を包まれたままでした。途中のお化けたちから怨念のこもった視線を向けられたり生暖かい目で見られたりしましたが、僕たちはあなたたちの思っている関係ではありませんよ。

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