6-お誘い②
本日2話目です!
前回の続きなので先に前の話を読んでからの方がいいと思います!
翌日、学校に行くと珍しく蓮也が先に来ていました。天気予報では晴れでしたが傘を持ってくるべきでしたか……
「一成おはよー。昨日連絡もらって嬉しくて叫んだら怒られたぜ……」
あ、ほんとに叫んでましたね。予想的中ですが正直分かりやすすぎます。
「おはようございます。先に来てるなんて珍しいですね」
「実は頼みがあって……委員長を誘う時手伝ってください!」
なんで蓮也はこういう時だけダメになるんですかね? 錦田さんと普通に話すだけなら問題ないんですが。いつもの事とはいえ控えめに言って
「ヘタレですね」
「うるさいよ! 断られたらどうしようって緊張しちゃうんだよ」
「はいはい。手伝いますから」
思わず受けちゃいましたがここは断るべきでしたかね。ヘタレな蓮也を解消するには多少の荒療治が必要な気もしますし。次機会があったら断りましょう。
◇◆◇◆◇◆◇◆
錦田さんを2人で待つことしばし、ようやく教室に入ってきました。ずっと目の前で蓮也が人の字を書いて飲んでましたがこんな調子で誘えるのでしょうか?
「おはようございます、錦田さん」
「おはよう、大畑くん。蓮也くんもおはよう」
「お、おはよう」
「それにしても大畑くんが私に話しかけてくるなんて珍しいね」
「今回は僕も関係してますからね」
不思議そうに首を傾げる錦田さんを前に隣でまだ固まっている蓮也の背中を軽く叩きます。全く、いつまでそうしてるつもりなのでしょうか。
「い、委員長。5月6日って空いてないか!?」
「え、うん。空いてるけど……」
「な、なら一緒に動物園に行かないか!?」
「ほんと!? 行きたい!」
いやー、よかったですね。ほんといい話ですよー。
と目の前で除け者にされている状況から現実逃避をしましたがどうしましょうか。2人だけの空間って言うんですかね? 2人だけで仲睦まじく話してるのでとても気まずいです。どうにか離脱したいのですが……ふむ、そう言えば蓮也と弥恵は話したことあるのでしょうか? ちょっと聞きに行きましょう。
「弥恵」
「ん、なに?」
「いえ、弥恵って蓮也と話したことはあるんですか?」
無言で目を逸らされたのでこれは無いですね。いや、そもそも弥恵と高校で同じクラスになったのは今年が初めてでしたしそうだろうと思ってました。
「じゃあ今から自己紹介じゃないですけど話に行きませんか? 6日に初顔合わせって訳にもいかないでしょう」
「……行く。でもあの中に入るの?」
「それは……何とかします」
例の現場を見ると相変わらず2人の世界を醸し出しており……申し訳ないですが無理やり中断しましょうか。
「あのー」
声をかけると肩をビクッと揺らす2人。こちらを見る顔にはすっかり忘れてたと書いてあります。うん、なんか罪悪感が無くなりましたね。
「6日は僕と弥恵も一緒に行くのでよろしくお願いします」
「あ、う、うん。よろしくね」
錦田さんが顔を真っ赤にしてますが何を考えていたかは想像がつきます。当日はどこかのタイミングで2人きりにしてあげましょう。
「ほら、弥恵も蓮也に挨拶しないと」
「……中松弥恵。大橋くんのことはかずくんからよく聞いてる。よろしく」
「お、おう。大橋蓮也だ。俺も中松さんのことは一成からよく聞いて……ないな。なんで話してくれなかったんだよ!」
「逆になんで話すと思ったんですか? こっちは弥恵との仲は隠し通すつもりだったんですよ?」
「うぐっ……」
なんか蓮也が悔しそうにしてますがなんでですか。逆にもしも僕が弥恵のことを当たり前のように話し始めたら困惑したのはそちらでしょうに。
「本当に弥恵ちゃんって大畑くんと一緒に住んでたんだね」
「うん」
「てことはもしかしていつも差し入れのはちみつレモンを作ってくれてたのは」
「かずくん」
「そっかぁ。大畑くんいつもありがとね」
「いえいえ、こちらこそ弥恵がいつもお世話になっていますから。合宿の時にも持たせるのでみんなで食べてくださいね」
「合宿?」
そう言えばバレー部の合宿のことを蓮也には伝えてなかったですね。弥恵と錦田さんはバレー部だし、僕は昨日弥恵から聞きましたから。なので蓮也に教えてあげると──
「なら俺その日に一成たちの家に行きたい! 部活が2は午後、3は午前だから1泊する感じで」
「僕たちの家に?」
「そう。一成の作る飯を温かい状態で食べてみたいし、単純にどんな部屋なのか気になるからな! あと色々と男二人で話したいことや聞きたいことあるし。あ、もちろん中松さんの部屋に入ったりはしないしダメなら断ってくれて構わない」
うーん、どうしましょう。弥恵とのことがあったので今まで誰も家に呼んでなかったですがもうバレてますしね。それに蓮也がそう言うなら部屋に入るような真似はしないでしょう。蓮也は約束事は全力で守る人間ですから。
「僕はいいですよ。特に困ることはないですから。弥恵はどう思います?」
「私もいい。私物はほとんど部屋にあるし」
「やった! 楽しみにしてるな!」
「ふふ。じゃあ男の子2人でお泊まり会してる間に私も弥恵ちゃんに色々と聞かせてもらおうかな」
「……お手柔らかに」
明日から始まるゴールデンウィークは色々と予定が増えました。友達とお泊まりなんて修学旅行とかでしかしてないですし、弥恵たちと行く動物園も楽しみですね。
読んで頂きありがとうございます!
明日は1話だけですが明後日はまた2話更新の予定なのでよろしくお願いします( ⁎ᴗ_ᴗ⁎)ペコッ




