19-夫婦
更新が遅れてごめんなさい!
昨日作者が熱を出してダウンしてました……
それにストックもなかったので更新が出来ませんでした。
一応今夜もいつもの時間に更新予定ですが、私生活との関係で遅れるかもしれません。
どうかお許しを……
「いらっしゃ〜い、一成きゅん。今日はなんの用かしらぁ〜?」
「鬼怒田さん。今日も頼みたいことがありまして」
学校からの帰り道、頼みたいことなどがあって鬼怒田さんの元に訪れました。鬼怒田さんは今日も相変わらずゴスロリ服です。
「今度たこ焼きをするのでいい感じのタコをお願いします。期日は……そうですね、17日でもいいですか?」
「もちろんよ〜ん。良い奴を仕入れて来るわ〜」
僕が昨日殴られた時にできた口の中の傷も10日もあれば治るでしょう。ついでに蓮也や錦田さんも誘ってたこ焼きパーティーにしましょうか。
「それにしても昨日は大変だったわね〜」
「はい、嫌な事件でしたね」
鬼怒田さんが情報通なのはいつもの事なので驚きはないです。クラスメイトたちが知ってて鬼怒田さんが知らないわけないじゃないですか。
「そう言えば鬼怒田さんは相手にムカついた時ってどうやって鎮めてますか?」
「あら、どうしてそんなことが気になるの〜?」
「いえ、昨日イライラが周りにも分かるくらいでてたらしくて。友人たちは許してくれましたがやっぱり不快な思いをさせたのは申し訳ないな、と」
昨日のことは正直黒歴史です。やったことに後悔は微塵もありませんが、蓮也たちに迷惑をかけてしまったことは後悔しています。同じことをしないためにも鬼怒田さんに聞いてみたのですが……
「私は相手をどう抹殺するか考えるわ〜」
「え?」
「もちろん命を奪うわけじゃないわよ! ただどうすれば相手が1番ひどい目に遭うか考えて、できることなら実行するわ〜。社会的に殺すことなんて案外簡単よ?」
簡単じゃないです。考えるところまでは参考になりますが実行なんてできるわけありません。まずなんで相手の弱みを持っているんですか……いえ、鬼怒田さんなら持ってても不思議じゃないですね。
「それか後で愚痴を言うからその時は忘れるって方法ね。これは愚痴を言える友人とかがいないと厳しいけど、一成きゅんには弥恵ちゃんがいるから問題ないわね〜」
「でも弥恵にそう言うのを聞かせるのは」
「恥ずかしいって? もっと恥ずかしいこと沢山知られてるじゃない」
「うっ」
確かに色々と知られてますし知ってますが、それとこれは別と言いますか……
「それに好きな人のことはどんなことでも知りたいと思うものよ〜」
「だから僕と弥恵はそんな関係じゃなく」
「家族なら尚更でしょ〜?」
全てを見透かすような目と、反論を許さない正論に思わず1歩下がります。図星なため何も言い返せません。
「私だって夫とよく愚痴を言い合っているんだから〜」
「鬼怒田さん夫がいたんですか!!??」
鬼怒田さんの戸籍上の性別を考えるとありえません! 日本ではまだ同性婚は認められていないはずですし……でもそれができる国で結婚したなら……あれ……
「混乱しているみたいだし写真を見せてあげるわ〜」
「ぜひお願いします!」
「はい、これ。この前撮った写真よ〜」
そこに写っていたのはいつも通りゴスロリ服の鬼怒田さんとすらりとした長身の男性……いえ、これは
「女性? あ、すみません軽率な発言でした」
「いいのよ〜。流石に本来の性別じゃないと話しにくいでしょ〜? 今だけは許すわ〜」
そう、写っていたのは男性ではなく男装した女性の人でした。見た目だけだとただのイケメンですね。僕も分かって言ったというより勘みたいなものですし。
「その、驚きが大きいので上手く言えませんが、とてもお似合いだと思います」
「あら、一成きゅんは私たちのことを悪く言わないのね〜」
「え?」
「乙女でありたい一人の男と男でありたい一人の女。そんな2人が夫婦なんて世間から見たら歪もいいところなのよ〜。当人同士からしたらこれ以上ないベストカップルなのに〜」
「……」
「でもそんな私たちを受け入れてくれる人も少ないけれどいるわ。一成きゅんみたいにね」
そう言ってこちらにウインクしてる鬼怒田さんはどこか寂しそうでした。
「その、社会は受け入れてないかもしれませんがお互いがお互いを受け入れ、尊重しているのは素晴らしいと思います。だから僕はお二人のことをいい夫婦だと思いますよ」
「……ん〜、やっぱり一成きゅんはいい子ね〜!! 今度のタコ、最高級のやつを手に入れて見せるわ〜!!」
「いや、あんまり高いと買えませんからね!?」
「そこら辺も含めて完璧なやつを上げるから期待していてちょうだい!!」
そう言ってサムズアップする鬼怒田さんの姿はとても輝いていました。まだ僕は鬼怒田さんの夫にあったことはありませんが、いつか会いたいですね。
それに幸せそうな鬼怒田さんの様子を見ると僕もつい考えてしまいました。お互いに尊重できる相手に僕もいつか出会えるのかなって。




