17-動物園⑦
ブックマーク100件記念の更新です!
動物園編ラストです!
一成と弥恵のお話ですよ!
またこれは本日2話目のお話なのでお気をつけください!!
事情聴取を終え、僕たちが家に着く頃には夕日が赤く染まっていました。直ぐにご飯を作り始めましたがイマイチ集中できません。理由は分かっているんですが。
「ここまで怒りが続くとは思って無かったですね……」
動物園で弥恵が男にナンパというか無理やり連れていかれそうになったこと。それを見て久しぶりに本気で怒ってしまいました。
1番最近怒ったのは去年の文化祭のときですが、相手の女の子を泣かしてしまった申し訳なさから怒りが引っ込んだんですよね。それより前だともう覚えていませんからこんなに燻るとは知りませんでした。
いえ、なんていうか理解できないんですよ。なんで動物園のような場所でナンパしようと思ったのか、そもそもなぜナンパをするのか。ナンパから結婚まで行く人もいるらしいのでナンパが悪だとは思いませんが、それでも節度とかを弁えるべきだと思うんですよね……
「痛っ」
そんなことを考えていたせいか包丁で指を少し切ってしまいました。刃物を持って考え事をしていてはいけませんね。
「どうしたの?」
「いえ、ちょっと指を切ってしまって」
声が聞こえたのか弥恵がリビングの方から顔をのぞかせます。正直に答えるとこちらをしばらく見たあと
「来て」
「はい?」
「絆創膏貼るから」
と言われ半ば無理やりソファに座らさせられました。別に絆創膏くらい自分でやれるのですが。
救急箱を持ってきた弥恵に傷を消毒され、絆創膏を巻かれます。弥恵にこんなふうにお世話されるのは中々むず痒いものがありますね。
「はい、完成」
「ありがとうございます。じゃあご飯を……」
「まだ」
「え?」
ご飯の続きを作ろうと思い立ち上がると弥恵に肩を押されソファに戻されました。一体なんだろうと思って弥恵を見上げると弥恵はソファの後ろに回り込み……
「ん、ありがと」
「弥恵?」
「私の事で怒ってくれてありがと」
そう言ってソファ越しに後ろから僕をの肩を抱きしめてきました。弥恵の柔らかい体が肩や首、後頭部に押し付けられて少しドキドキしてしまいます。
「私はもう気にしてないから。だからかずくんもそう気にしないで」
「……バレてましたか」
「いつも一緒だから当然、と言いたいけどたぶん睦美たちも気づいてた」
「そうですか……」
そんなに分かりやすかったんですか。一体どれだけ僕はイラついていたんでしょうね。
「なら明日学校で謝らないといけませんね」
「うん。気にしてないとは思うけど」
「それはそれ、これはこれですよ。ケジメみたいなものですね」
楽しい時間を邪魔してしまったのです。全ての原因はあの男ですが、僕が引きずってなければ良かったんですから。
「それにしてもこれをされるのも久しぶりですね」
「最後にやったのはたぶん小学生の頃だから」
「そんな前でしたか」
お互いに何か嫌なことがあったりして気分が沈んだりしている時はよくこうしていました。これをされると心が落ち着くのでとても良いんです。
「かずくん大きくなったから座ってないとできない」
「そうですね。小学生の頃は同じくらいでしたからね」
「それにかずくんは精神的に強くなった」
「そうですかね?」
強くなったと言われても今回のことを考えるとそうは思えません。まだまだ未熟だと思います。
「そう」
「そうですか」
なのになんででしょうか。弥恵に言われるとそうなんだと思えます。不思議ですね。
「ホント今日は助けてくれてありがと。かっこよかった」
「どういたしまして」
その後しばらく弥恵に抱きつかれたままたわいもない会話をしました。そして弥恵が離れる頃にはもうあの男に対するイライラはどこかに消えていました。
次回からは日常編に戻ります
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