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16-動物園⑥ side蓮也&睦美

動物園編エピローグのその1、蓮也達側のお話です!


今回も蓮也主観でお送りします!

〜side蓮也〜


「それでは、また明日学校で」

「ばいばい」

「お、おう! またな!!」

「う、うん。またね」


 警備員室で事情を話した後、一成(かずなり)たちと駅で別れた。俺たちと一成たちは家の方向が逆だからな。


「「はぁ……」」


 一成たちの姿が見えなくなってから俺と睦美は2人そろって息を吐きだす。若干疲れた顔で睦美(むつみ)が呟く。


大畑(おおはた)くんって怒るとあんなに怖いんだね」

「ああ。あいつ運動音痴だし力もないけど、怒るとめっちゃ怖いんだよ」


 あの時もそうだったと思っていると電車が来た。運良く席が空いていたから2人で座る。


「ねぇ、大畑くんが怒ってるから大丈夫って言った理由話してよ」

「ん?」

「まさか怒ると怖いからってだけじゃないでしょ?」

「そうだな……委員長って怒られたことはあるか? 両親でも先生でも友達でもいいけど」


 いきなり何を言い始めたのかと首を傾げる睦美。その姿が可愛くて思わずまじまじと見てしまったが返答で慌てて目を逸らす。


「もちろんあるよ。昔なんて蓮也(れんや)くんのバカな遊びに付き合って一緒に怒られたこともあるじゃない」

「そ、それは今関係な……いや、あるな。その時でいいけど、親が怒ったのってさ俺たちのためだとか心配だったからだろ」

「そうだね。あんな高い木に登って落ちたら心配もするよ」


 昔は木登りが好きで2人で公園の木によく登っていた。ある時俺が足を滑らせて落っこちたことがあるけど、その時の親の怒る姿に申し訳なさでいっぱいになったことを今でも覚えている。


「そんな感じでさ、親とか先生とかの怒りって心配とか優しさとかが沢山こもってるんだ。俺たちのための怒りとでも言えばいいのか?」

「なるほど、それは分かるよ」

「それに対して一成はそういった怒り方をしない。馬鹿なことしてもそれを丁寧に諭してくる」

「確かにそうだね。前に打ち上げの時にも」

「その話は置いておこうぜ!?」


 というか俺、睦美にダメなところ知られすぎじゃないか? 幼なじみとはいえ流石に恥ずかしいな。ちょっとは自分の行動見直すか?


「で、話を戻すと一成が怒るのって相手のためではなく相手に怒りが溢れた時なんだよ。だから親とかの怒りに対して純粋だ。相手を思いやる気持ちがないからな」

「うん」

「しかも俺たちって基本的に純粋な怒りに触れることってないんだよ。だって」

「怒ってくる人は親とか先生とか友達だけど、みんな私たちのために怒ってくれるからだね」

「そうそう」


 怒られるうちが花とはいい言葉だと思うけど、その怒りは一成みたいな怒りじゃないんだよな。俺たちのことを思って怒ってくれるから怒ってくる間は救いがあるだけで、一成に怒られる時は既に手遅れだと思う。


「そんで純粋な怒りに俺たちは慣れてないから異様に怖く感じるんだよ。体が締め付けられるというか心臓を掴まれるというか」

「さっきも私たちが悪いわけじゃないのに怖かったもんね……」

「本人にも悪気ないだろうし気にしてやるなって」

「あ、もちろん気にしてないよ」


 帰る時もまだ不機嫌だったっぽいし明日までに機嫌が直ってるといいんだが。意外と根に持つタイプっぽいから微妙だなぁ。


「ところでなんでそんなに詳しいの?」

「あー。他言無用で頼む」

「もちろん」

「一成の怒ってるところを見てから必死に考えたんだよ。なんで怖いんだろうって。それで自分なりに納得のいったのがさっきの理屈ってだけだ。あれが正しいのかは知らん」

「そうだったんだ。ちなみにいつ見たの?」


 俺が前に一成が怒っているのを見たのは1度だけ。去年の文化祭の時だけだ。あの時一成が初めて怖いと思った。


「去年の文化祭でさ、ちょっとした事件がな……」

「事件?」

「一成がそれなりにモテてるのは知ってるか?」

「そうなの?」

「そうなんだよ。まぁ結構カッコイイし物腰が柔らかいしで人気はあっても不思議じゃない」


 礼儀正しくて、身長もそこそこ高い。お弁当も自分で作ってるし身なりも清潔で頭もいい。これだけの要素があればモテるのに十分だろう。


「でもあいつ告白されても全部断ってたんだよ。当時は理由を教えてくれなかったけどおそらく中松さんとのことだろうな」

「あー。弥恵ちゃんと一緒に暮らしてるから彼女を作ったらその彼女に申し訳ないとか考えてそうだね」

「だな。で、全部断るから今度は同性愛なんじゃないかって噂が出来たんだ」


 この噂自体は妄言もいいところだしそこまで広まってもいなかった。とはいえ何人かはしっかりと知っているわけで。


「そして文化祭の日に文芸部のある生徒が俺と一成の官能小説を配布しようとしていたんだ」

「官能!!?」

「でも当日始める前に発覚して差し押さえされたけどな。おかげで1部も出回ってない」


 ほんとあれはひどい事件だった。まさか仲良くしてるからってだけで一成とそういう関係にされるとは。腐の人々の思考回路が恐ろしい。


「とはいえ被害者である俺たちに説明はされるわけで。俺は呆れの方が強かったけど一成は怒りが勝ったようでな」

「そこで怒ってる姿を見たんだ」

「ちょー怖かった。口元は笑ってるのに目は笑ってないんだよ。怒ってますって言うのが隣にいるだけの俺にもヒシヒシと伝わってくる」


 一成の怒り方が怖いのは口元と目が表す表情が一致しないこともあると思う。今回もそうだったけど普段と変わらない笑みと口調なのに目だけは相手を真っ直ぐ見ている。あれを正面から見たことないけど一生見たくねぇなぁ……


「しかも例のものを書いた子になんでそんなことをしたのかとかを詰問してな。結果その子泣きだしちゃったんだよ。おそらく恐怖を感じたんだろうなぁ……」

「やったことはひどいと思うけど今日のことを思い出すと少し同情するかな……」


 あの時一緒に立ち会った先生が止めれなかったからな。動けば殺される、とは言わないけど不興を買うって感じたから動けないのも仕方ないと思うが。


「そしたら一成がそれを見て我に返ったのか必死になだめるんだよ。ただそれが逆効果でその子はさらに泣いてな。結局先生に俺らは追い出された」

「凄いカオスだったんだね」

「それ以降俺は一成の怒りを買うことだけは全力で避けてる。あの怒りの対象にされたくない! 委員長も気をつけろよ!」


 俺の言い方が面白かったのか睦美が笑いながら同意してくれた。2人で気をつけような。


「ところで」

「ん?」

「さっきみたいに睦美って呼んでくれないの?」

「くぁwせdrftgyふじこlp」


 待て! いつ俺が睦美のことを名前で呼んだ!? 思い出せ俺の脳細胞!!…………思い出したァ!!! 警備員を呼びに行く前の時か!


「き、気のせいじゃないか?」

「たしか動画の中に入ってたと思うから確認するね」

「やめて!!」


 どうにかとぼけようとしたけど証拠残ってたか!


「じゃあ睦美って呼んで?」

「いや、その」

「ダメなの?」

「ダメっていうかハードルが高いっていうか」


 昔は何も気にせず名前呼び出来たけどこの歳で、しかも片思いの相手を名前でなんて頭の中ならまだしも実際に呼べるわけないだろ!?


「ならいいや」

「へっ」

「名前で呼ぶのが嫌な訳じゃないならいいや」


 そう言って微笑む睦美の姿を見て改めて思った。やっぱり俺、睦美のこと好きだわ。

昨日ブックマーク登録人数が100人に到達しました!((((ノ。・ω・。)ノ♡


本当にありがとうございます!!


記念に今日はお昼あたりにもう1話更新予定なのでそちらもチェックしてくれると嬉しいです!!


重ねてになりますが本当に読んでくれている皆さん、ありがとうございます!!( *・ω・)*_ _))ペコリン

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