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第5話 ジューン、異世界転移します!

最後の講義が終わり、ジューンは一先ずほっとした。


「(な……何とか生き残れた。 (;´ρ`) =з )」


へとへとなジューンは手から力が完全に抜け、椅子に寄っかかった。


「(でも……考えてみれば、昨日卓也が入って行った紫色の魔方陣はどこに繋がっているのかな?)」


気になるジューンは考え込んだ。


そしておよそ二分後、彼女は急に席から立ち上がり、講義室の外を目指した。


「(まさか!昨日と同じ場所に行けば、アイツ、再びあの魔法を使うかも。何とかして、私も中には入れば、彼と同じ力が手に入れられるかも……でも……彼に見つかると大変かも……うーん (-ω-;) )」


ジューンはメイの言葉を思い出した。


『昨日も言ったけど、復習とかは止めてコツコツと自分のランクを上げてていけばいいじゃん』


けど、ジューンは決して卓也を許す気なんかなかった。まさしく、復習を中断することもなかった。


「(アイツなんて怖くない……怖くない……)」


自分の頭の中にそう言い繰り返し、ジューンは拳をギュッとしめた。


彼女は廊下に突っ立っていた生徒を押し、教授に『廊下を走るな!』っと怒られた。けど、周りの人をすべて無視し、彼女は走り続けた。彼女の目は真っ先しか見ていなかった。


そしてたどり着いた場所が昨日の三階の教室だった。


荷物を机の上に投げ、窓をゆっくりと開けた。


ジューンは顔を窓の枠から外に出し、下を見つめた。


するとちょうど卓也が歩いてきた。


「(よし。)」


ジューンは拳を握った。


卓也は昨日と同じ場所に立ったまま、呪文を唱え始めた。今回は耳元に当てていた黒い箱を出さなかったことにジューンはちょっぴり驚いた。


「(なるほど。じゃあ、あの箱は必要なく魔法が使えるんだ。)」


空中に魔方陣を書く卓也の姿をジューンはじっくりと見ていた。


二度現れる紫色の四角い魔方陣はジューンの好奇心を高めた。


「(一階に降りて壁に隠れ、卓也が入った途端ダッシュで行けば私も中に入れるかも……いや、それじゃ間に合わない。だとすると……)」


ジューンは自分の足をじっくり見つめた。

________________________________________


それから二分後、卓也は魔方陣を完成させた。


左右に他人がいないかチェックしてから中に入った。


しかし、彼は重大なミスをしてしまった。


ジューンが30メートルほどの高さで卓也の上に待ち構えてたことを、彼は全く気付かなかった。


彼女はステッキでブーツを軽くたたき、浮揚魔法を解除した。


叫ばないようにもう片方の手で口を押えてたジューンは、落ち始めた。そしてすぐに、もう一度ステッキでブーツを叩き、フワっと空中に浮かんだ。ジューンは地面から数センチめとるほどの間を残し、上手く空中ドロップをやりこなした。


再び魔法を解き、ジューンは軽く地面に着地した。そして彼女は息を大きく吸ってから魔方陣の中に入っていった。


「(私は絶対に彼に復習したい……何をしたって、絶対に!だからこそ、今、ここで彼の秘密を暴いてやる!)」


目をつむったままジューンは魔方陣を潜りぬけた。


反対側にたどり着いた瞬間、なんだかうるさい音が彼女の耳に入ってきた。


片方の左目をゆっくりと開けるジューン。


すると彼女は驚き、一気に両目を開けた。


「ここ、どこ?」


大勢の人がジューンの周りを歩いていた。魔法使いの服や村人の服と違い、見たこともない服装を着ていた人がたくさんいた。白いシャツの上に黒いジャケットを着る男性。袖が短いシャツに、裾がほとんどないズボンを着る子供。長いスカートをはいた女性。タイヤがついた椅子に座る老人。


様々な人たちが集まって、ジューンの周りを通りすぎて行った。


地面には白いストライプ模様があり、鳥の鳴き声みたいな音が当たりに響く。


さらに、ジューンは周りに立っていた高い建物に興味を持ち、階数を数え始めた。


「いったい、何なの?ここ?」


思わず考え事を声に出してしまうジューン。


すると突然周りにいた人はジューンの周りからいなくなり、道の反対側で待機していた。ジューン一人で道の真ん中に立っていた。同時に鳥の鳴き声も止まってしまった。



「え?なんで?え?え? (;゜Д゜) 」


『ビ―――ッ』


「きゃあああ!Σ(゜Д゜ノ)ノ 」


何かデカい、青い物体がジューンのそばにやってきて音を立てた。


周りの物体からもビービー音をたて、ジューンは囲まれてしまった。


「うるさあああああいいいい!!!」


しかし講義室で叫んだ時とは違い、今回の叫びは無意味だった。


すると物体の右側から人の頭が出てきて何か喋っているように見えた。


「え?何言っているか解らないよ!」


すると物体たちはゆっくりとジューンに近づき、彼女の周りを通り去っていった。


周りで待っていた人たちはジューンを見ながら指を指していた。


中にはピンク、赤、青や様々な小さな四角い箱を手に持ち、ジューンに向けていた。


「(なんなのここ!!!)」


時間が過ぎ、人が再び歩き始めた。ジューンはしょうがなく、適当に方向を決め、その方角に向かって歩いた。


「(もう、あの大きな物体とは二度と争いたくない!いったんここから離れるしかない。)」


道の端にたどり着いたジューンはステッキを取り出し、魔方陣を作り、昨日ロン教授に見せられなかった方法で呪文をとなった。


「(ほら、見てみなさい。やっぱりできたじゃない。たぶん昨日は緊張してて調子が(くる)ったのよ。)」


三十秒もかからず、ジューンは魔方陣を完成させた。


「(あんな方程式や、誓いなんて覚えてもしょうがない。私の方法が当然、上等よ。後は乗り物を見つけないと。)」


周りを見回したジューンはある店に目を付けた。


店の外に杖みたいなものが置いてあった。一つ持ち上げてみたジューンは、周りに張り付けられていた透明な布を不思議に思った。


「(なにこれ?まぁ、いいや。とにかく、硬化魔法をかけておこう。)」


ジューンの世界には『傘』っという道具は存在していたが、それはただの木の棒にはっぱを何枚か重ねた物であった。もちろん、折り畳みではなかった。


手に持っていた傘をステッキで叩き、空中に浮かんだ。


この傘は空中にとどまるだけではなく、まるで飛んでいるかのようにふわふわ浮き上がっていた。


ジューンは飛び上がり、傘をサーフィング・ボードのように乗り、バランスをとった。


「(お!これなかなかの具合じゃん。ほうき(・・・)よりいいかも。)」


そうしてジューンは周りにあったビルより高く飛び上がった。


上から見る街の光景は素晴らしかった。目を大きくし、この素晴らしい光景を一分ほど見続けた。


小さい人たちが白い線模様の道の上を歩きだした。


あの謎のうるさい物体が列になって町を走っていく姿も見えた。


ビルや建物が何百個もあり、ジューンはあまりにも美しい光景に見とれてしまった。


けど、重大なことに一つ気づいてしまった。


「(まさかと思うが……私、迷った?斎藤卓也がいない限り、私、もしかして帰れないかも。(;´∀`)汗 )」


ちょっぴり焦る姿を見せるジューンは一先ず、ビルの上で休憩をとることにした。


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