りったんの夢十夜(第四夜)
夢を観た。
夜、仕事から帰ってきた夫に話があると言われた。
「大事な女ができた。別れて欲しい」
私は思わず噴き出して、
「何の冗談よ?」
しかし夫は真剣な表情で、
「冗談ではない。本当の話だ。Pさんと今後の人生を共にしたい」
Pとは私の親友だ。幼稚園から一緒の大の仲良しである。
「嘘」
「嘘じゃない。Pさんに訊いてみてくれ。同じ事を言うだろうから」
夫の言葉に私はすぐにスマホを取り出して、Pにかけた。
Pは出ないかと思ったが、すぐに出た。きっと夫から言われていたのだろう。
私はごく冷静に夫から聞いた事を確かめてみた。
「そうよ。全部本当の話」
「どうして?」
「理由なんてない。好きになってしまったんだもの」
「酷い」
私は思いつく限りの暴言をPにぶつけた。
「何を言われても仕方がない。今までありがとう」
私は通話を切り、夫を罵ろうとしたところで目が覚めた。
だが、夢ではなかった。隣のベッドには夫はいなかった。
現実なのだ。