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Dreamy Dreamer's Dreams  作者: 鮭38号
8/10

Loop.

 ───そして、俺は目を覚ました。


 真後ろで、夕方を告げる鐘が鳴っている。

 登るどころか侵入すら禁止されている時計塔の上に、俺は腰掛けていた。


 どうやら眠ってしまっていたらしい。

 身体を伸ばし、欠伸をする。

 くしゃみも出た。

 長い時間高いところにいたせいだろう。

 体が冷えるのも当たり前だ。


 遠くの山と雲との間に、太陽が沈んでいる。

 山と雲、両方が紅く燃えるその様を、俺は立ち上がり、眺めた。


 この時間帯の空が、雲を紅く、大地を、街を黄金に変えてしまう数分の世界が、俺は好きだ。


 嗚呼神よ。願わくばこの世界を永遠に続けて欲しい。


 心の中で祈ってみる。

 しかし夕陽は山の奥へと隠れ、世界は徐々に漆黒に呑まれている。


 俺の好きな世界は終わった。

 残念だが、それが普通だ。

 今日はもう帰るか。


 そう思った瞬間、強風が吹いた。

 まるで平均台のような縁に立っていた俺には、突風に抗うチャンスも術もなかった。


 バランスを崩し、俺は落ちた。


 六時を表す巨大な時計の針が視界に入る。

 耳元で風を切る音が聞こえる。

 どんどん地面が近付く。

 目を瞑る。

 落ちる。

 落ちる。

 落ちる───



































 ───そして、俺は目を覚ました。


 真後ろで、夕方を告げる鐘が鳴っている。

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