Heaven's lost property.
そこは草原だった。
くるぶし程度の高さの草が風に揺れている。
空は青く、とても高く見える。
雲ひとつ無い、とても清々しい青空だ。
気温も高くもなく低くもなく、とても心地がいい。
そんな場所に、俺は立っていた。
理由は分からない。
ただ、気付いた時からそこに立っていた。
そして、意味もなく青い空を眺めていた。
無駄に長い時間をそうして過ごしていたと思う。
脚が疲れてきたので座ることにした。
風が心地いい。
気温も心地いい。
草はまるでクッションのようだ。
そして座っている場所は微妙に起伏が出来ている。
俺は、一眠りすることにした。
♂♀
突然目が覚めた。
立ち上がり、周りを見回したが、特に異常はない。
目を瞑った瞬間と風景は全く変わってない。
空も、相変わらずの青さだ。
瞬きをした。
瞬間、それは現れた。
それは、ガラクタを寄せ集めて造ったような浮遊城のようなものだった。
釜の底のような半球体に小さめの四つの円錐がくっついており、天使の輪のような物も確認できる。
半球体の上部には、まるでガラスで作られたピラミッドのような建造物が建てられている。
そんな浮遊城が、ゴウンゴウンと音を立てながら、ゆっくりと進んでいた。
アレはなんなんだろうか。
俺はそれに魅入っていた。
何かが落ちてきた。
白い何かが。
目を凝らす。
鳥のようだ。
いや、違う。
あれは───
「……人!?」
白い翼を持つ人型の何かだった。
まるで狙ったように、俺の方へ真っ直ぐに落ちてくる。
俺は、慌てて両腕を前に出し、受け止めれるようにした。
翼が開き、落下速度が落ちる。
俺は受け止めた。
受け止めたそれは、少女だった。
ピンク色のショートカットで、まるで豊かな胸部を見せつけるかのようなデザインの白を基調とした服で、首には鎖の切れっ端がついてるチョーカーを付けている少女だった。
少女は目を開け、呟いた。
「愛玩用エンジェロイド、イカロス……よろしくお願いします、マスター……」
……。
「そらのおとしものかよ!!!」
そう叫んだ瞬間、夢は終わった。