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Dreamy Dreamer's Dreams  作者: 鮭38号
3/10

Saury .

 俺は落ちていた。

 耳元で、風を切るヒュウヒュウという音が聞こえる。

 正面も、横を見ても、ただ青いだけの風景だった。


 そんなところを、俺は落ちていた。

 何故落ちているのか、思い出せない。

 そんな事を考えていると、背中に壁にぶち当たったような衝撃が走った。

 同時に、風切音も聞こえなくなった。


 代わりに聞こえたのは、ブクブクという音。

 どうやら水のなかに落ちたらしい。


 ゆっくりと目を開ける。

 痛くはない。

 そして、まるで夢のような、素晴らしい風景が広がっていた。


 静かで、清らかな青色と光の世界。

 魚たちの鱗に光が反射し、より美しく見せていた。

 俺は少し泳ぐことにした。


 海底にワカメが生えてるのを見つけた。

 少し腹が減ってきたのでかじってみた。

 ……生で、しかも水中で食うもんじゃないな。

 俺はワカメを吐き出した。


         ♂♀


 少し息苦しくなってきた。

 水面に出ようと、俺は海底を蹴った。が、足にワカメが絡み付いて上がれなかった。

 ワカメを取るために手を伸ばすと、今度はタコに腕を絡めとられた。

 どうしよう。身動きがとれない。


 向こうから、サンマの大群が近寄ってくる。

 しかし、タコとワカメで拘束された四肢を動かすことは出来ない。

 もう諦めるしか無さそうだ。


 大量のサンマが目の前にいる。

 まるで敵への最後の一撃を喰らわす戦士の剣の如く、鋭く、銀色に光っている。

 ふいに、一匹が動き、俺の腹部へと刺さった。

 口と腹から血が流れる。

 その一匹に続くように、サンマの大群が腹の皮を食い千切りながら入ってくる。


 そして、サンマにハラワタを喰い千切られた瞬間、夢は終わった。


 なかなかの悪夢だった。

 涎だろうか。

 口から何かが垂れている。

 俺は手の甲でそれを拭った。

 手にはベッタリとそれが付いた。

 それは、俺の血液だった。

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