Banana is enemy .
目を開けると、目の前に巨大な刀を担いだ覆面の男がいた。
長身で細身で、どこにそんな巨刀を支える力があるのかと聞きたくなるくらいだ。
そして、ソイツは俺に向かっていきなりその刀を降り下ろしてきた。
間一髪で避ける。が、刀は俺達が立っている足場を粉砕した。
割れたガラスのように床が飛び散る。
空中に浮いている状態の俺たちには当然の如く万有引力が働き、落下した。
そして俺たちは、無数に突き刺さってる鉄骨のひとつに着地した。
そして、すぐに刀を構える。
次でキメる。
俺はそう思い、アイツに向かって走り出した。
「てめーに見せんのは初めてだったよなァ?この俺様の能力をよォ!」
そう叫び、俺はアイツの背後へと瞬間移動した。
しかし、着地した瞬間、俺は足を滑らした。
何故だ。何故滑った。
その答えは、俺と一緒に落ちているそれだった。
失敗した。慢心した。まさか瞬間移動した先にバナナの皮が落ちてるとは。
足を滑らせた俺は、まっ逆さまに落ちていった。
俺は落ちている。
周りには無数の歯車が存在して、ゆっくりと回っている。
ここはどこなのか。
その答えが出る前に、衝撃と共に、全てが真っ暗になった。
そして、全ては闇に包まれた。
一点の光も無い、完璧なる暗闇───そんなところで、俺は絶望していた。
「こんな………こんな力が無ければ………ッ!」
そう呟いた瞬間、夢は終わった