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6*

加筆修正

ここから全体に二話挿入されています。

対応6-1

 彼女の魔法は草だけでなく森の樹木にまで及んでいた。巨木の枝に押えられ巻き付く草によって動きを止められた怪物たちの中には悲しげなうめき声を上げるだけの者も居た。更にそれが締め付けを強めてギシギシと音を立てていた…このままでは連中は全滅だな。


 …仕方ない。

 脚に勁と呼ばれる気を溜める。

体内の気、魔力の操作は拳闘士の基本的なスキルだ。それを体内に巡らし、或いは放出して攻撃から防御、治癒や能力の付与まで行う。神拳闘士の技能知識が呼び出され、丹田から発した気を俺は脚に巡らせて練り上げ筋力を高める為に最適化して行った。


俺は溜めた勁力を解放してこちらに向けて迫ってくる森の木々の大枝の一つに向かって跳躍した。手にした枝の先は直ぐに形状を変え手に巻き付いてくる。それには構わずモメントを得るため体勢を何度か変えると枝が大きくしなった。

 ちょうど良い位置に来たときに発勁すると絡みついていた枝が弾け飛ぶ。俺は放物線を描いて彼女の方に目掛けて落下する。

彼女が警戒して剣を構える。そのまま迎え撃つ積りらしい。


 俺は体を屈め空中でモメントを変化させ反転すると間合いを計って”足場”を空間に設置する。本当は長い術名があるらしいが俺には興味が無い。神拳闘士は不可視の本人にしか作用しない、空間に固定された力場を随時発生出来るのだ。


 俺は力場を左足で蹴とばした。

 落下する勢いと蹴とばした事による勢いを利用して急激な回転運動を俺の下半身に作り出す。スピードと方向が空中で突然変わり、予測困難な蹴りが顔面を狙う。

 切り上げようとした剣のガードを右脚で圧迫し、剣を振る勢いを殺す。一瞬遅れて左脚が彼女の頭頂部に迫る。

 が、彼女の反応速度は速く僅かに頭の位置をずらして蹴りを避けた。

そのまま俺の足が停止した。弾いた剣の束の位置に足場を作りその上に右脚を乗せたのだ。柄に乗った右足を視認した情報と実際に掛る力の弱さによる矛盾に彼女は混乱したようだった。

 困惑の表情で俺を睨む彼女の目線を感じながら、右足をつま先を中心に捻り踵でがら空きの側頭部に痛打を与える。同時に俺は左脚を左肩に着地させ蹴落とそうとする。

 頭部に加わった無視できない衝撃と左肩への圧迫で彼女はぐらりと体勢が崩れた。そのまま、脇に抱えたアルクメネごと落馬しそうになる。

ぎゅううう、と変な声がしたが無視する。見捨てられたアルクメネが地面に放り出されたのだった。


彼女自身が落馬を免れたのは慌てて頭上の木の枝に絡まった蔦を飛ばして胴に巻き付けたからだ。不安定な姿勢で彼女は何かを叫んで剣を振って来たが、勢いも弱く俺は足場を彼女の真上に作りそこに手を掛け難なく避ける。そのまま脚を引きつけ勁を込める。回避力の低下した状態につけ込み速度と威力で蹴落とすつもりだ。

姿勢を戻そうともがきながら馬を駆り距離を取ろうとする彼女に追撃を食らわそうとして、しかし俺は躊躇った。陽光にキラキラと輝く幾つもの透明な塊が周辺に湧き出していたからだ。


俺は勁を保ったまま脚を僅かに動かしてその塊に触れてみた。彼女が距離を取るが初見の脅威を見逃すわけには行かない。

それは破裂してかなりの威力の魔法ダメージを与えて来る。氷属性だ。

俺は溜めた勁力を硬化に廻し、氷塊を破裂させながら氷の空中地雷原を上方に逃れた。ご丁寧に後方まで氷塊で一杯で薄いのがそちらしか無かったのだ。そのまま俺は足場を使って周囲の木の枝との追い掛けっこに巻き込まれる。


「dbぎafhqfnh」彼女が勝ち誇った様に何かを言う。そして呪文と共に更に周辺を氷塊で満たすと俺を改めて睨み付ける。魔物共のため息が聞こえて来た。黙れ。


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