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どんな君でも  作者: 黒白
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無自覚の出会い

肌にまとわりつくじめじめした空気に、青くすみわたった空。太陽をたくさん浴び、嬉しそうにも見える花壇に咲いた花。車椅子を押してもらいながら、家族と談笑してる姿も木にもたれかかって、本をパラパラとめくる様子も……。

そんな何もかもが春には、幸せに感じられた。


「くっはー!! いいわぁ~きれいだわ~」

一人病院の庭で両手を空に突き上げて笑っている春の肩より少し長い髪はサラサラと風にたなびき、大きな瞳は幸せをかみ締めるようにギュッと閉じられていた。そんな春は何かを見付けるごとに走って近寄った。

「あっ……! あれは!!」

春が見つけたものは、センテッドゼラニウムというピンク色の花びらがついた花だった。その花に走って近寄ったが春は途中で足を止めた。


一人の男性と言うには若すぎるが、男の子と呼ばれても、しっくりとこない少年がいた。年は多分15~16と春と同じ位だろう。


「っ……!」


少年は春に気づいたらしく、春の顔を見た。少年の顔には右側に目に届く位の大きさで波立つように黒い跡があった。そして、黒い跡に侵食されていない片方の目からは黒い涙が流れていた。そして、もう片方の目はどこを見るわけでもなく、何も映し出されていなかった。


春は自分の方に顔が向いてることに気づくと、見られている事からの照れと気まずさから空を見上げた。

上を向いてると微かに花のようないい香りが鼻をくすぐる。


―――あっ! いい香り! あの花かな!?


その香りで本来の目的の花を思いだし、顔をゆっくりと花の方に向けた。そこには、さっきまでいた青年の姿はなかった。

「あれー? さっきまでいたよな?」

疑問に思い首をかしげると、春の視界に目的の花が映った。

春は、考えなんてそっちのけで花に向かっていった。

「ああああ!! やっぱりそうだ! 本に書いてたやつだぁ!!」

しかし、またも春は首をかしげた。

「でも、あの香りと違うような……?」


花の近くに座り、喜んでその花の香りをかぎ、首をかしげ頭にはクエスチョンマークを大量に発生させている姿は見た目より子供らしく、そして周りの目をひきつけていた。



ここは、ある場所の総合病院。とても大きく最先端の医療をいち早く取り入れ、素早く患者に安全に使われている事から有名な場所だ。そこの、病院の大きな裏庭で春は花を見ながらニコニコと笑っていた。

読んでくださり、ありがとうございます。

今回の話は短めだったので、近々二話をあげたいと思います。

登場イラストは自分の絵柄ですので、作品のイメージを壊したくない方は、見ないことをおすすめします。

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