*新学期*
初めまして!小説書くのは初めてです。初心者ですが…私なりに頑張りますので、応援よろしくです!!!
今日──4月6日。八木高校の入学式。
制服ではなく私服である八木高校。ビシッとした新しいスーツに、セットされた髪。その姿は、やる気に満ち溢れていた。
──松永 桜花 (まつなが おうか) 、1月3日生まれの山羊座、A型、身長は156㎝、体重は秘密。趣味は野球観戦に、絵を描くこと。特技は書道。今日から、高校1年生。
髪は腰の長さまでの超ロング。ポニーテールで束ねている。大きな目は若干つり目だが、愛嬌がある。その姿は、誰もが美少女と呼ぶ美しさだ。しかし、見た目とは裏腹に、彼女はこう呟いた。
「あああーっ、眠…。疲れた、もう、めんどくさい。」
高校初日だというのに彼女のやる気はゼロ。どうしてあんなにもやる気に満ち溢れた姿に見えたのだろう。
着慣れないスーツに少しいらいらしながら、桜花は家を出た。
ここ北海道の春は、まだ来ない。桜が舞う中の入学式───なんて、夢のまた夢。実際、北海道で桜の開花が始まるのはその1ヶ月後の5月だ。
歩道に残る黒くなった雪をちらと見て、桜花は歩く。
「まだ春、来ないなぁ。」
ふとそんなことを思った。
「桜花ー!おはよう。」
「おはよう、めぐ。」
大きな声で話しかけてきた女の子は、桜花の幼なじみの、橘 萌 (たちばな めぐみ) 。みんなからは『めぐ』や『もえ』と呼ばれている。本人は、いつも読み方を『もえ』と間違えられるので、『もえ』と呼ばれるのは気に入らないらしい。
めぐは、桜花とは外見も中身を全く違う。外見は、お人形のように可愛い。茶色で天然パーマの髪。長さは胸より上くらい。目はくりっと大きくて、若干たれている。頬はほんのりピンク色で、誰もが憧れるような可愛らしい少女なのだ。
2人が歩いていると、とても完璧に見える。しかし、もちろん桜花と同じでこのめぐも少し変わっており、2人の会話はあまり可愛いものではないのだ。
「そうそう!桜花、部活決めた?うち、全然決まってないんだよねー。」
「あー、私も。」
バスの中で2人は話した。もうすぐで着く。あとバス停2つだ。
「なんか、たくさんありすぎて、分かんなくなる。」
めぐはそう言い、鞄の中から定期を探していた。桜花は手に持った定期入れを頬に当て、
「だよねー。中学のころの三倍はあるし。どれが自分に合ってるのか分かんないよね。」
と言った。
「ま、部活紹介とかもあるし、ゆっくり決めよ。」
「だねー。あ、ほら、めぐ。スカートのすそ折れてる。」
桜花はめぐのスーツを指差し言う。「あ」と言ってめぐはすそに手を伸ばした。
バスから降りるとき、桜花はふっ、と葡萄の匂いがしたのに気付いた。その時ちょうど前を1人の男子が通り過ぎた。
その少年は、少年というにはかなり高い身長で、野球帽をかぶっていた。そして、足早にその場を去っていった──。
これが、彼との初めての出逢いだったのだ────。