『お掘ばたの狸とお侍とプレスマン』
掲載日:2026/07/08
あるお城のお堀ばたに、暗くなると狸が出て、通りかかる人々を化かして困らせていました。お侍たちは、どうやって狸をこらしめるかを相談していましたが、中に、血気盛んなお侍がいて、いっそ切ってしまえ、と言うが早いか、駆け出していって、お堀ばたを歩いていた若い娘をばっさり切ってしまいました。狸が化けていると思ったのです。
少し離れたところから、男が駆け寄ってきて、お嬢様、と叫びながら、娘の亡きがらにすがりつき、おいおいと泣くのです。お侍は、無関係の娘を切ってしまったことを深く悔やみ、たまたま通りかかった僧侶に弟子入りを請い、刀をプレスマンに持ちかえ、まげを落としました。僧侶から、念仏を唱えるように言われましたので、お侍は、何千回も何万回もひたすら念仏を唱えますと、朝になって、お堀ばたを通りかかった町人に、どうしてお地蔵様に話しかけているのか尋ねられ、我に返ると、娘の死骸も、泣いていた男も、僧侶も、お侍の髪も、刀も見当たりませんでした。プレスマンは、胸に差してありました。
教訓:まげをとられて負け。




