第77話 ひたすら魚でレベル上げ
レイナウトとロースが加わり――
4人になった、俺達。
レイナウトという――
優秀な男友達が加わった事によって、俺はずいぶんと楽になった。
そして――
ロースが加わる事によって、セシルも同じ女の子同士で――
気兼ねなく、過ごす事が出来るだろう。
こう言っては――
何だが、何時になればダンジョンを脱出できるか分からない上に――
セシルを何としても守らないと! と思ってしまうので――
俺の精神は、思ったよりすり減っていたようだ。
「デルク起きて」
セシルの――
声が聞こえる。
あれ?
もう――
朝?
セシルが――
起こしてくれる。
今――
4人は、【家】で過ごしている。
拠点が――
あるというのは、安心感がある。
そして――
ついリラックスしてしまうようだ。
そして――
俺は、ダンジョンでセシルと過ごしていた期間――
ずっと、精神を張り詰めていた。
なので――
【家】でも、熟睡出来ていなかった。
そこへ――
2人が加わった事により、安心したのか――
ここのところ、寝坊してしまっている。
それに――
食事も、3人が順番に用意してくれて――
楽になったんだ。
セシルは――
料理のスキルが、ずいぶん上がった。
なので――
おいしい料理を、何時も用意していてくれていた。
だが――
レイナウトは、実家が食堂……だったかな?
実家で――
料理の腕を、ばっちり上げている。
なので――
彼の料理も、美味しいんだ。
「きいい!!!! 何で上手く出来ないのよ!」
ロースが――
そう言って、悔しがる。
彼女は――
実家で帳簿を一部任されていたようで――
何故か、そう言ったスキルが発生している。
レベルは――
まだまだだけど。
でも――
ロースの料理も、悪くはない。
彼女も――
スキル持ちだし。
多分――
俺と、同等だろう。
「くっ! 覚えていなさいよ! もっと女子力アップしないと!! せしるちゃーん!!!!!」
ロースは――
時々暴走している。
だが――
彼女って、こんな性格だっけ?
「デルク、すまないな。ロースはあれでかなり落ち込んでいるんだ。セシルちゃんがいてくれるから何とかなっているけれど、あいつあれで本当はかなり気が小さくてな。仲間と思っていた奴等の風当たりが日を追う毎に悪くなっているのも気が付いていてさ、ずっと落ち込んでいたんだよ。それがここ最近はセシルちゃんとイキイキ過ごしているからさ。まあここまでの経過は最悪だけど、今は此処にやってこれた事を感謝しているんだ。まあそれを言うなら俺もそうなんだけどさ」
レイナウトが――
説明する。
レイナウトは――
普段ここまで、饒舌じゃない。
彼もまた――
色々あったんだろう。
「レイナウトも? ちょっと信じられないな」
俺は――
言う。
俺と違い――
彼には、迷いが無さそうなんだけど。
それに――
悩み?
完璧超人だから――
悩みとは、無縁に感じてしまう。
「そんな事はないさ、僕はデルクとは違うからね」
レイナウトが――
言う。
俺は――
気になっていた事がある。
レイナウトは――
普段自分の事を、僕と言う。
だけど――
助けた時、僕と俺と混ざっていたんだ。
今思うと――
彼も、相当参ってたんだな。
それに――
レイナウトも、ずいぶん顔つきが柔らかくなった。
救助した時――
顔色が悪いうえに、表情がかなり暗かった。
だが――
今は、俺の知っているレイナウト。
よかった――
本当に、よかった。
あれから――
それなりの期間が経過し、4人で魚を相手に――
レベルアップを、していく。
まあ――
囲いの中に入って、手摺りにつかまっているだけなんだけど。
そして――
4人のうち、特にレイナウトとロースは――
レベルが一気に上がり、今では2人とも――
レベル6。
「もうそろそろ収納かばんに入りきらないよ!」
ロースが――
ドロップアイテムを回収しつつ、そう指摘してくる。
え?
もう――
一杯?
「デルク、一度家に戻ろう。ちょっと考えがあるんだ」
レイナウトが――
言う。
何だろう――
考えって。
「セシルはどう?」
俺は――
セシルに聞く。
「ん、そろそろデルクは自分の事を考えた方が良い」
セシルが――
言う。
えっと?
そういう事を聞きたいんじゃないんだけど――
何だろう?
「お、流石はセシルちゃん。わかってるじゃないか。それに引き換えロースは……」
レイナウトが――
言う。
最近は――
余裕があるのか、レイナウトはちょくちょくロースに――
ちょっかいを、かけている。
だけど――
そう、遊び人の先輩ヴィーベさんとは違い――
ちゃんとした線引きが、あるようだ。
そう言えば――
ヴィーベさんとリニさん、無事に脱出できたのかな?
ダンジョンを脱出できれば――
先ず2人の無事を、確認したいなあ。
そんな事を――
思っていると――
「何? 私がいけてないって言うの?」
ロースが――
言う。
「ははは、そんな事はないさ。セシルちゃんはちゃんとデルクの事見てくれているのにさ、っと思って」
レイナウトが――
言う。
「え?」
「へ?」
ロースとレイナウトが――
何やら、様子がおかしい。
「ねえ、それってレイナウト、私にもっとかまってほしいの?」
ロースが――
聞く。
「へ? いや何言ってるんだ? ロースもセシルを見習って、もっとデルクをだね……」
レイナウトが――
言う。
うーん――
俺には、よくわからない。
だが――
セシルは分かったようで、ロースに何か言っている。
「ロース、男ってこんなもん。2人とも相当鈍感」
セシルが――
言う。
「そうよね……レイナウトとデルクだもんね……」
ロースが――
溜息をつく。
レイナウトが――
俺に、耳打ちをしてくる。
「なあ、あの2人が何を言ってるのかわかるかい?」
レイナウトが――
聞く。
「俺に聞かれても困るけれど、何だろう。何か見落としている?」
俺は――
答える。
「そうか、デルクもわからないか。僕もさっぱりなんだよな。女の子が2人集まれば、もう訳が分からなくなるね」
レイナウトが――
言う。
女の子2人が――
盛大な溜息をしてる。
だけど――
そんなため息をしたら、幸せが逃げちゃうよ?
男2人は――
相当鈍いと、思われているようだ……
まあ――
いいか。
俺は――
そう思った。
4人――
いる。
それだけで――
嬉しい。
俺は――
レイナウトとロース、そしてセシルと一緒に――
家に、戻った。
これから――
どうなるんだろう。
俺は――
少し不安になった。
だが――
4人なら、大丈夫。
俺は――
そう信じた。




