第75話 レイナウトとロースのカード
食事を終え――
落ち着いた。
なので――
俺は、2人にどうして大穴に落ちたのか聞いてみる事にする。
「ねえ、2人はどうして大穴に落ちたんだい? よかったら理由を聞いても?」
俺は――
聞く。
レイナウトとロースは――
それぞれ顔を見合わせる。
そして――
レイナウトが、話し始める。
「まあざっくり言えばロースと俺は同じパーティーだったんだけど、早く中層に向かいたい先輩達が俺達を疎んでさ、特にレベルの低いうちはダンジョンで活躍しにくいロースが事ある毎に虐められて、それでも2人で何とか頑張ったんだけどな……」
レイナウトが――
辛そうに言う。
今度は――
ロースが、代わりに――
「レイナウトは魔法戦士でしょ? だから何とかなっていたのよ? だけど私って精霊使いでしょ? ダンジョンってそんなに精霊っていないのよ? もしかしたら別のダンジョンにはいるのかもしれないけれど? 若しくは私のレベルが上がればもっと精霊の声がわかるようになったのかもしれないんだけどね、これでも油断はしていなかったのよ? その、レイナウトとごみを捨てに行けと言われ、ごみを大穴に廃棄しに行ったのよ。そうしたら後ろから突き落とされちゃった」
ロースが――
震える声で言う。
「気が付かなかったんだよ。気が付いた時にはロースはもう突き落とされる寸前でさ、間に合わなかった。ロースに気がいってたんだけどさ、そうしたら俺も突き落とされて。だけど何とかロースを掴んでフライをかけまくったんだよ。もしかしたら下降速度を落とせるんじゃないかってね。だけど俺の魔力とレベルじゃ落下速度をこれ以上速めない事が限界でね。なんとか何処かの階層に辿り着けないかと思ったんだが、落下速度って恐ろしく速いんだよな。1秒で1層は落ちた。そんな時大穴にないはずの何かにぶつかって……ってのがざっくりさ」
レイナウトが――
一気に、まくし立てる。
ざっくりのわりには――
長いよね?
とか思ったけど、流石のレイナウトも興奮したのか――
一気に、まくし立てている。
まあ――
俺とは少し事情が違うのだろうけど、セシルと同じような理由で――
突き落とされたのだろう。
まあ――
つまり、俺達はまだダンジョンへ通常では入れない。
なので――
まずは誰か先輩のパーティーに入る事になるんだけど――
そのパーティーも、一定期間俺達のような15歳未満の仮扱い冒険者を入れないといけない制度があって――
仕方なく、入れていたんだよね、きっと。
だけど――
レベルが5になれば、俺達みたいなメンバーがいても中層へ行ける。
ぶっちゃけ――
下層を目指すパーティーは、もうこの制度を使って中層を突破している。
なので――
俺達の面倒は、見なくていいんだけど――
中層を目指すパーティーって、この制度まだ使ってない場合が多く――
レイナウトとロースの居たパーティーは、今回強制だったみたい。
だけど――
上位職のレア職業についていた2人は、期待されていたみたい。
何せ――
魔法戦士。
魔法を使える上に――
前線で剣を使って……剣だけじゃなく、あらゆる武器を扱えるのが魔法戦士。
剣だけなのは――
魔法剣士。
なので――
レベルが上がれば、強力な戦力になるはずだったんだ。
そして――
ロースは、精霊使い。
俺達の居た街では――
ここ数年、現れなかったようだけれど――
レベルが上がれば、強力な精霊を使役し、戦わせる事が出来る――
とても貴重な、職業。
ただ――
レベルが低いうちは、下位の精霊しか使役できず――
レベル5になるまでは、恐らくまともに精霊を使役しての戦闘は――
できないはずなんだ。
精霊使いは――
俺の知る限り、まず精霊を召喚し――
その精霊を、使役するんだ。
まあ――
近くに精霊がいれば、召喚せずとも使役できるようだが。
俺も――
精霊使いは選択できる。
だが――
そもそも精霊を召喚できないので、使役できない。
未だかつて――
精霊を目視した事も、ないし。
あ――
脱線した。
そして――
レイナウト達の居たパーティーは、2人のせいで中層に向かえず――
中層で活動しないとまともに稼げないからと、ここ最近は相当イラついてたんだとか。
そして――
最終手段の大穴に突き落とす、という――
最悪な手段を、実行したみたい。
大穴に落ちれば――
生死は、不明。
事故で落ちた――
魔物に追われ落ちた、と言えば――
調査もできず、認められる。
そして――
低レベルがいなくなれば、中層へ向かえる。
一応――
1ヶ月の間、帰還を待たないといけない。
だが――
大穴の場合それは絶望的。
なので――
実際は落ちたと申請すれば、仮の許可を得られる。
まあ――
つまりは、そういう事。
そして――
2人は今、それぞれレベルが4と3みたい。
レイナウトのレベルが――
ロースより高いのは、きっと前衛での戦闘ができるから。
そして――
ロースのレベルが3なのは、精霊使いなので前衛は不向き――
そして、魔法での支援も厳しい。
なので――
レベルが上がりにくいという、悪循環。
しかも――
2人ともレアな上位職業なので、成長速度が遅く――
やはりセシルと同じく、通常よりも多くの経験値が必要。
あ――
そうそう、俺達が選定を受けてから――
もうかれこれ、たぶん1年以上は経過している。
なので――
2人とも、11歳か12歳なんだ。
<名前:レイナウト・モレナール>
<種族:人間>
<年齢:12>
<性別:男の子>
<LV:4>
<職業:魔法戦士>
<力:B>
<体力:B>
<知力:B>
<精神力:C>
<俊敏:B>
<魅力:C>
<運:E>
<保有スキル>
剣術 Lv4
投擲術 Lv2
棒術 Lv2
水魔法 Lv3
火魔法 Lv3
風魔法 Lv3
土魔法 Lv3
料理 Lv5
調理 Lv5
<特殊スキル及びギフト>
全能力50%アップ
<称号>
<所属>
無し
<名前:ロース・ランブレヘツ>
<種族:人間>
<年齢:12>
<性別:女の子>
<LV:3>
<職業:精霊使い>
<力:E>
<体力:E>
<知力:C>
<精神力:B>
<俊敏:F>
<魅力:B>
<運:D>
<保有スキル>
精霊術 Lv3
料理 Lv4
簿記 Lv2
経理 Lv2
調理 Lv4
家事 Lv4
<特殊スキル及びギフト>
精霊召喚
<称号・賞罰>
精霊使い
<所属>
無し
魔法戦士も――
精霊使いも、それぞれ強力なユニークスキルがある。
ユニークスキルは――
俺がジョブチェンジしても、低レベルの間は得られない。
本来の職業のみの――
スキル。
実際――
レイナウトの全能力50%アップは、とてつもなく強力なんだ。
それに――
ロースの精霊召喚。
精霊使いの能力は――
精霊を使役する事。
精霊さえ――
目の前にいれば、俺でもジョブチェンジしておけば――
精霊を、使役できる。
だが――
先程も触れたが、そもそも目視できる精霊って少ないんだ。
そして――
精霊が近くに居なければ、召喚するしかなく――
精霊使いの精霊使いたる所以は、この召喚にある。
今度――
ロースに精霊の召喚をお願いして――
精霊使いの能力、俺もアップしてみようかな?
俺は――
そう思った。
2人を――
助けられて、よかった。
本当に――
よかった。
俺は――
安堵した。




