第66話 ヒヒイロカネの採掘
もし――
手に入れる事が出来たとして――
加工できるのだろうか?
俺は――
考える。
ヒヒイロカネ――
伝説の素材。
今――
俺の持っている道具では、残念ながらヒヒイロカネを採掘できなかった。
何せ――
基本は、ミスリル製なので――
本当なら、相当硬い。
だが――
ヒヒイロカネは、それ以上に硬く――
実際に試してみると、ほんの少し傷がつくだけで――
あまり、役に立たなかった。
現在――
魚に対処している囲いは、基本ミスリル製だ。
だが――
魚には有効なので、ミスリル自体は非常に優れた素材だ。
しかし――
ヒヒイロカネは、伝説級の素材。
大事な事だから――
もう一度。
存在自体が――
もはや、伝説級。
市場には――
滅多に出回らないうえに――
小指の爪ほど程度であっても、ヒヒイロカネが市場に出れば――
城が建てられるのではないかというほど、高額で取引されているとか、されていないとか。
うーん――
ここは、魔法か。
「セシル、この素材をできれば確保したいんだ。魔法でどうにかしたいと思っているんだ」
俺は――
セシルに言う。
「わかった。デルク頑張れ」
セシルが――
応援してくれる。
分かっているけれど――
セシルには無理なので、ここは魔法の影響を受けにくい場所へ――
退避してもらうしかないかな。
「じゃあ離れていてくれるかな」
俺は――
言う。
「わかった。では私は料理をしておく」
セシルが――
頷く。
収納かばんが――
あるので、セシルは魚や肉を焼いて――
収納かばんに、収納してくれるようだ。
さて――
どうにかなるか、早速試してみよう。
俺は――
覚悟を決めた。
魔法で――
何とかする。
やってみよう――
そう思った。
結果から言うと――
あっけなく、大量のヒヒイロカネは手に入った。
そもそも――
最初は、ヒヒイロカネを削って採掘をしようと――
そう考えたのが、失敗だったようで――
この周辺全てがヒヒロカネではない。
なので――
わざわざ硬いヒヒイロカネを削る必要は、無い訳で。
で――
考えたのが、土魔法でヒヒイロカネ以外を別の場所に移動させる、というもの。
そもそも――
もっと上の階層でも、これを行えばよかった。
だが――
魔力を沢山消費する上に、当時はそこまで魔力が無かったので――
出来なかった。
そして――
魔力不足になるのがわかっていたので、こうした力技をしようという発想も――
なかったんだ。
ヒヒイロカネ以外の岩を――
移動というよりは、壁を作成するにあたり――
ヒヒイロカネ以外の俺が扱える成分を壁にしてしまう、という――
まあ、今までやってきた事を、しているだけだ。
これも――
俺の魔力が増えたのと、土魔術のレベルが上がったおかげだろう。
今までだと――
確実に、魔力枯渇に陥る。
これは――
今まで土魔法で壁を作ったりしたのが功を奏したのか――
その要領で、ヒヒイロカネが埋もれている周辺を全て別の場所へ移動させる事で――
ヒヒイロカネだけを、選別する事に成功したんだ。
それも――
呆気なく。
ただ――
結構魔力を消費するので、そう何度も出来ない。
だが――
しかし、よいのだろうか。
こんなに大量のヒヒイロカネが――
簡単に、手に入って。
で――
今更気付いたのだが、ミスリルの時も――
これと同じ要領で採掘?
もはや――
採掘と呼べるかわからないけど、もっと大量に、しかも簡単に早く確保できたのではないだろうか。
今更だけど――
ミスリルの時なら、もしかしてできた?
先程も触れたが――
力技なので、当時はレベルが足りず――
出来なかったはず。
まあ――
たらればだけどね。
魔力が枯渇すると思って――
実行しようとしなかった。
だが――
ここまで簡単にできるのなら、あの時出来たのでは――
やっておけばよかったと、思ってしまう。
同じ事を――
繰り返し考えてしまうとは、俺もまだまだ――
未練がましい。
しかし――
風魔法で切り刻んだり、水魔法で削っていく方が――
圧倒的に、魔力消費が抑えられるのも事実。
今後の採掘は――
このように力技で対処するか、効率を重視していくか――
悩む。
しかも――
こんな下層には、今後そう何度も到達できる自信はない。
なので――
今のうちに、貴重な素材は確保しておきたいんだ。
そして……
ある程度素材を確保できれば――
今後は鍛冶のレベルを上げ、付与のレベルを上げ――
ヒヒイロカネの魔剣を、打ってみたい。
そこまで――
レベルが上がればいいが。
ヒヒイロカネを――
自在に扱えるようになるには、どれほどのレベルが必要か。
そして――
精錬でいいのかな? 精製?
ヒヒイロカネをインゴットにするのには――
やはり、スキルが必要。
錬成士の――
ジョブになれば、錬成のスキルが使えるのだったかな?
より純度の高い素材にするには――
錬成士のジョブが、必須。
まだ――
時間はかかるから、今後の事は――
もっとじっくりと、考えよう。
で――
魔力の枯渇でリタイヤして、休憩していると――
「出来た。デルク食べる?」
セシルが――
色々料理をしてくれたようで――
美味しそうな匂いが、漂ってきた。
あ――
なんだか急に、お腹が空いてきた。
「ありがとう! 早速いただくよ」
俺は――
言う。
セシルも――
料理の腕が上達したのか、とても美味しかった。
きっと――
何度も料理をしてくれたおかげで、レベルが上がったのだろう。
セシルの――
料理。
また――
食べたい。
俺は――
そう思った。




