第54話 お肉を焼きつつ
何とか――
お肉をゲットした俺とセシルは、一度休憩所まで戻った。
どう考えても――
あの魔物? 魔獣かな?
牛の群れを仕留めるなんて――
現状では、無理だ。
なので――
出直す事に。
まあ――
その前に、折角お肉を獲得できたので――
早速、焼いて食べてみる事にする。
「セシルって料理できるの?」
俺は――
素朴な疑問を、彼女へ投げかける。
あの鎧姿で――
料理をする。
そういった姿が――
想像ができなかった。
なので――
つい、聞いてしまう。
「肉を焼くぐらい、何でもない」
セシルが――
さも当然といった感じで、受け答えをしてくれる。
俺が持っていたナイフを使って――
器用に、スジを切っているようだ。
手慣れている――
料理、できるんだ。
だけど――
もったいない事に、俺は調味料をほとんど持っていない。
セシル――
持っていないよね?
確か――
急いで準備をしていたので、持ってこなかったはず。
だけど――
念の為に、収納かばんを調べてみる。
何か――
出てこないかな?
暫く――
格闘するも、なかなか出てこない。
やはり――
入れていない?
半ば諦めていた時――
塩が、出てきた。
塩――
か。
食用の塩だが――
これは別に食用として持ってきた物ではないので、見つからなかった?
塩は――
攻撃手段になる。
それに――
塩を嫌う魔物が、いる。
なので――
今思うと、常に収納かばんに入れるようにはしていたんだ。
よかった――
入れておいて。
食用としての分だけでは――
足りなかった。
「セシル、一応塩はあるんだけど」
俺は――
セシルに言う。
たっぷりとは言わないが――
当面困らないだけの量は、ある。
「肉にかける。それと、香草を少し混ぜるがいいか?」
セシルが――
言う。
香草――
なんて持っていたんだ。
流石は、セシル。
「途中であったから採っておいた」
セシルが――
説明する。
彼女は――
俺と一緒になるまでは、収納カバンなんか持ってなかったはずなので――
よくもまあ、そんなのを採っていたよね。
「何で荷物になるのにそんなの持っていたの?」
俺は、聞く。
「以前のパーティーでは、私が料理担当だったから」
セシルが――
答える。
料理担当――
そうだったんだ。
俺も――
料理のスキルは持っているが、あれ?
セシルも――
持っていたっけ。
●注:セシルの料理と調理スキルはそれぞれ5です●
レベル5――
高い。
俺より、高い。
そして――
暫くして、出来上がった料理に俺は驚く。
セシルは――
果物以外にも野菜を収穫してくれていたようで――
サラダが、ある。
それに――
肉が、とてもいい匂いなんだ。
香ばしい――
いい匂い。
お腹が――
鳴りそうだ。
「あまり調味料がなかったから、こんなのしかできなかった」
セシルが――
そう言う。
だけど――
俺は、驚いた。
早速――
食べてみる。
口に――
入れる。
とても――
美味しい。
香草が――
いい味、出している。
そして――
この野菜のサラダ。
あ!
果物も混じっていて――
肉に、とても合う!
何これ――
美味しい!
「セシル! 凄いよ! 何でこんなに美味しいんだろう?」
俺は、言う。
「そ、そうか? 口に合ってよかった」
セシルが――
嬉しそうに言う。
「セシルと結婚する人は運がいいね。こんな美味しい料理を作ってくれるお嫁さん、いいじゃない」
俺は――
肉をどんどん食べる。
美味い――
本当に、美味い。
「お嫁さん――私がお嫁さん? こんなチンチクリンに貰い手がいるわけない!」
セシルが――
叫ぶ。
チンチクリン――
そんな風に、言わなくても。
どう言ったらいいんだろう?
「まだセシルは11歳じゃないか。これからもっと成長するだろうし、体が小さい事に関して言えば今は気にしなくていいと思うよ?」
俺は――
言う。
「そうか? デルクは小さな女でもいいのか?」
セシルが――
聞く。
「え、俺? うーん、どうなんだろうね? まだ俺も12歳だし。そんな事考えた事ないや」
俺は――
正直に答える。
結婚――
とか、まだ考えた事ない。
セシルは――
どう思っているのだろう。
その後――
2人して、黙々と食べた。
肉は――
美味かった。
サラダも――
美味かった。
セシルの料理は――
本当に、美味しい。
また――
食べたいな。
俺は――
そう思った。
そして――
お腹いっぱいになった。
満足――
だ。
生きている――
実感がする。
俺達は――
まだ、生きている。
それだけで――
十分だ。
俺は――
そう思った。




