第47話 それぞれの自己紹介
俺が――
自己紹介をすると、目の前で女性はじっと俺を見ているようだ。
沈黙――
が続く。
そして――
「セシル・ヴァウテルス」
名前だけ――
言った。
ぶっきらぼうだ。
「今の現状ってわかるかな?」
俺は、聞く。
「……私は、同行していたパーティーメンバーに突き落とされたようだ」
セシルが――
なんだかぶっきらぼうな言い方で答える。
だが――
仕方ないだろう。
突き落とされた――
のだから。
「それは本当? 確かに君が落ちてきた時、近くに冒険者の姿を見たけれど、どうして突き落とされたのか、わかる?」
俺は、確認する。
「……私は嫌だったんだが、パーティーは遊び人狩りを行っていたようだ。そして貴方を、貴方とその連れを追っていたみたいで、私は恐らくだが、貴方を監視するように言いつけられた。そして大穴の淵に連れられた……その時、背後から誰かに突き落とされた、という訳だ。たぶん私を貴方にぶつけようと思ったのだろう。そしてそれは見事命中」
セシルが――
淡々と喋る。
だが――
声が、震えている。
怖かったんだろう――
そう思う。
「じゃあ俺の職業が遊び人って知っていた?」
俺は、聞く。
「ええ……あの時、3つのジョブ全て遊び人を引き当てた人でしょう? 私はその後に呼ばれ、選定を受け神聖騎士になった」
セシルが、答える。
あの時に――
凄いのを引き当てた人がいたはずだけど、彼女がそうだったんだ。
「その、神聖騎士って確か今回一番凄いと言われている職業だよね?」
俺は、言う。
「確かに滅多に出ない、とんでもない職業と聞いていた。それが駄目だった」
セシルが、言う。
え?
駄目って、何だろう?
「どうして駄目なのかな?」
俺は、聞く。
「レベルが上がらない、成長が遅すぎると皆に散々指摘された。しかしどうしろというのだ? こう言っては何だが、パーティーメンバーの誰よりも魔物を仕留めた。3倍は仕留めた。だがそれでもレベルは上がらない。皆早く中層に行きたいと言っていた。私のレベルが低すぎて中層に行けない。そして最後は見捨てられ、こうして突き落とされたという訳だ」
セシルが――
説明する。
淡々と言っているけれど――
声も震えているし、今では肩も震えている。
辛かったんだ――
そう思う。
「ああうん、そして俺を仕留めるのに利用されちゃったんだね」
俺は、言う。
「すまない。結果的に私も遊び人狩りに加担した訳だ。何故遊び人がいけないのか、追わねばならないのか、最後まで理解できなかった……どうしてなのだ?」
セシルが――
そう聞いてくる。
俺のほうが――
聞きたい。
だが――
俺にも、わからない。
「その前になんだけど、セシルって呼んでいい? 俺はデルクと呼び捨てでいいよ」
俺は、聞く。
「じゃあデルク、デルクは私を恨むのだろう?」
セシルが、聞く。
「え? 何で恨まないといけないの?」
俺は、驚く。
「私のせいでこうなった」
セシルが、言う。
「うーん……そんな事はないよ。あ、それとさっきから気になっていたんだけど、その装備、外せなかったんだ。どうやったら外す事ができるの?」
俺は、聞く。
重そうだ――
その装備。
「これ? 後ろにボタンがあって、押せば外れる……え? 外れない? ヘルメット……どうしよう、ヘルメットも外れない。今思えば私は自分で装備を外した事が無い」
セシルが――
困惑している。
え?
自分で外した事が無い?
どういう、ことだ?
俺は――
首を傾げた。




