第41話 毛糸のパンツ 2
「毛糸のパンツが……」
リニが――
嘆く。
リニさん――
ごめんなさい!
助かったら――
後できちんと元へ戻すから。
あくまでも――
助かれば、だけど。
リニの嘆きを感じつつ――
俺は、早速毛糸にしてしまった。
そして――
スキルで補強。
ロープに近い強度に仕立てた。
早速――
ロープに結ぶ。
これで――
4層まで……届くよね?
早速――
ロープを投げる。
「おお! 4層まで届いてる!」
ヴィーベが、喜ぶ。
4層からは――
徒歩で地上へ向かう予定だ。
何せ――
俺達は下へ下へと逃げているので、まさか穴を利用して上に登ってくるとは思っていない……と思いたい。
それが――
前提の方法だから。
だが――
流石に15層から4層まで、ロープを伝って登りきる自信はない。
というか――
無理でしょ。
なので――
ここはスキルを用い体を軽く、もしくは浮遊――つまりフロート魔法で浮かせて、ロープを頼りに登っていくという方法。
だが――
俺も、ヴィーベも、そしてリニも、浮遊は使った事がない。
フライで――
飛んでいけばいいが、3人供フライの魔法は思った所へ向かう程使いこなせていない。
なので――
考えたのは、フライで浮く状態にし、ロープを伝って上に進む方法。
「よし、さっそく行くぞ!」
ヴィーベが、言う。
まず――
ヴィーベが魔法使いになり、フライの魔法を唱える。
そして――
ロープを伝い……
「先に様子を見てくる。なんともなさそうならロープを何度か引っ張る。次はリニだ。準備しとけよ。そして、準備ができればロープを引っ張るんだ。で、こっちからもう一度ロープを引っ張っているのを確認したら、上に来てくれ」
ヴィーベが、指示する。
「わかったわよ! 駄目なら素早く戻りなさいよね!」
リニが、言う。
ヴィーベは――
ジャンプをし、ロープを伝って上に向かっていく。
フライの魔法で――
体が浮いている。
ロープを――
手繰り寄せながら、上へ。
暫くして――
ヴィーベが、到着したみたいだ。
更に少し時間が経ってから――
ロープを、引っ張っている。
「どうやら上手くいったみたいね。じゃあ次は私が行くわ。また合図するわ」
リニが、言う。
ロープを引っ張り――
向こうから、返答が返ってくる。
そして――
リニも魔法使いになり、フライを唱え、ジャンプ。
ロープを伝い――
上に到着した様子。
あ――
ロープを、引っ張っている。
俺も――
ロープを引っ張りかえす。
そして――
もう一度、ロープがひかれる。
俺も――
ジョブの一つを魔法使いにし、フライを唱える。
そして――
ジャンプ。
ロープを伝い――
上り始める。
体が――
浮いている。
不思議な感覚だ。
地面が――
遠ざかっていく。
10層あたりまで――
やってきた。
ロープとロープの境目付近まで――
やってきた所で……
ロープは――
3本を繋いでいるのと、足りないので更に毛糸で足している状態……
思わぬ――
アクシデントが。
何やら――
ヴィーベが叫んでいるが、何を言っているのかまではわからない。
で――
上を見ると……
たぶん――
9層あたりだが……
「きゃあ――――!!!!!!」
悲鳴が――
響く。
え?
俺目掛けて――
人が降ってきた。
女性?
この声は。
考えられたのは――
そこまでで、俺は見事にその女性とぶつかった。
そして――
その衝撃で、ロープと毛糸の結び目がほどけた。
毛糸と共に――
俺は、その女性と真っ逆さまに落下していく。
「あああ! 毛糸のパンツが……」
リニの声が――
遠くから聞こえる。
「リニ、デルクの事を心配しろよ!」
ヴィーベの声も――
聞こえる。
「あの子なら何とかなるでしょ! だけど何今の?」
「わからん……たぶん9層で……声からすると女の子が突き落とされた。しかも冒険者にだ。すげえ鎧を着ているように見えたけど……女の子だよな?」
そして――
俺。
ぶつかった後――
とっさに、その女性をつかんだ。
それは――
いいのだけど、俺のフライでは2人を浮かせたままにする事はできず――
どんどん、落下していく。
15層は――
もうとっくに過ぎている。
もう――
何層あたりか、わからない。
ただ――
まだ俺のフライは有効なので、本当に落下した場合に比べれば――
落下速度は、何とか抑えられている。
俺は――
もう一つのジョブも魔法使いにし、フライをこの女性に唱える。
そして――
何とか落ち着いた。
「今から何処かに降ります。俺にしがみ付いて下さい」
俺は、女性に言う。
「わかった……」
女性が、答える。
幸いにも――
女性は意識があった。
俺の言う通り――
しがみ付いてくれた。
女性を支える必要がなくなり――
両手が、フリーに。
そうは言っても――
片方は、ロープを持ったまま。
本来地面にあったロープには――
重しがしてあった。
それを――
投げなおし、何処かの階層に重しが着地したのを確認。
急いで――
ロープを辿り、その階層へ向かう。
で――
何とか、着地。
うう――
なんだったんだ……
俺は――
地面に座り込む。
心臓が――
激しく鳴っている。
息が――
切れている。
こうして――
俺は見ず知らずの女性と2人、どこの階層とも知れない場所に取り残された。
ヴィーベは――
リニは――
無事、4層に着いただろうか。
そして――
俺は……
この女性と――
どうすればいい?
俺は――
不安に駆られた。
だが――
今は、落ち着こう。
生きている。
それだけで――
十分だ。
俺は――
深呼吸をした。




