第37話 スキルでの変装
詐欺師――
一言で言い表せば、人を騙す職業だ。
あまり――
評価のされない職業だが、必要悪なんだ。
国が――
密偵として別の国に探りを入れる場合に、こういった職業の人を活用する事があるらしい。
身分を偽り――
他国の国情を調べ、国に報告をする。
身元がバレる訳には――
いかないので、こういった職業の人は重宝されるそうだ。
ただ――
これは、真っ当な道に進んだ人の場合。
大抵の人は――
このスキルを、悪用してしまうそうだ。
人を騙し――
金儲けに走る人。
これは――
悪徳商人にも当てはまる。
異性を騙し――
快楽におぼれたり。
しかしながら――
身分がバレないように偽って移動できるので、ごく一部の貴族の中にも――
こういった人材を登用している……事もあるそうだ。
で――
現在、俺達は……
「こんなスキル使った事ねえからな、素早く移動するぞ!」
ヴィーベが、言う。
「早く目の前の冒険者を何とかしないと、スキルも長持ちしないし……」
リニが、焦っている。
3人とも――
詐欺師のレベルが低いので、長持ちしないはず。
スキルの継続時間は――
そのレベルが高いほど、長くなる。
なので――
素早くやり過ごす必要がある。
俺達3人は――
階段付近に陣取っている冒険者の横を、素通りする。
心臓が――
激しく鳴る。
バレないか――
不安だ。
すると――
そのうちの一人が、声をかけてきた。
「おうあんちゃん、悪い事は言わねえ、ちょっくら今問題があってな、どうせ15層まで行くんだろ? 暫くな、15層クリアしたら建物の中にいるこったな」
冒険者が――
親切そうに言う。
どういう、つもりなのだろう。
「あ、何かあったんですか?」
俺は――
平静を装って聞く。
「教会だよ教会。どうやら今日遊び人が3匹紛れ込んでるようでな、それを仕留めるんだとさ」
冒険者が、説明する。
3匹――
俺達の事だ。
「あ……遊び人……ですか?」
俺は、驚いたふりをする。
「ああ……お前達まさか遊び人じゃねえよな、3人だし」
冒険者が――
俺達を見る。
疑っている。
まずい――
バレる?
「へ? まさか。というか3人なんですか?」
俺は、必死に平静を装う。
「そうらしい……まあ気をつけろよ、遊び人のごたごたに巻き込まれたくねえだろ?」
冒険者が、忠告してくれる。
「ええまあ……15層突破したら魔法陣使って出ますよ」
俺は、そう答える。
「あ、魔法陣は駄目だ、使えねえ」
冒険者が、首を横に振る。
「え? 何故ですか? あれがあればすぐに地上へ移動できますよ?」
俺は、知らないふりをして聞く。
「ああ……しかしだな、今俺達雇われの冒険者がな、魔法陣でどんどん地上に出てな……その場を動かないよう厳命されているんだ。するとどうなると思う?」
冒険者が、説明する。
「え? ええと……どうしてですか? そしてどうなるんですか?」
俺は――
何となく察したが、再確認しておこう。
「そのうち魔法陣の向こうに行く場所が埋まってな……使えなくなるってなもんで、今まさにそうなっていてな。そして遊び人を逃げる事が出来ねえ状態にしてから仕留めるんだと」
冒険者が、言う。
やはり――
罠だった。
計画的に――
俺達を、追い詰めている。
「うわ……大がかりですね……」
俺は、驚いたふりをする。
「まあそういうこった。俺達もしたくねえが……教会に目をつけられると碌な事がねえからな」
冒険者が、申し訳なさそうに言う。
「ごもっとも……あ、行っていいですか?」
俺は、聞く。
「ああ……気をつけろよ?」
「はい……」
俺は――
頭を下げる。
俺は、認識阻害のアイテムを装着しているので――
こうして話をしていても、気づかれなかった。
だが――
2人は、スキルでごまかしているだけなので、先に行ってもらった。
そして――
俺も、2人の後を追う。
だが――
後ろの方で、騒ぎが起こっている。
「おい、今誰か来なかったか?」
「あ? 普通の冒険者がやってきたぞ?」
「そいつら遊び人だ!」
バレた!
「え? 普通に戦士とかだったぞ?」
「いや何かしらの偽りをしているはずだ」
「あ! そう言われると……3人だったな……くそ! お前達あいつ等を追うぞ!」
追手の声が――
響く。
これは――
急がないと!
俺は――
全速力で走り出した。




