第36話 襲撃
魔法陣が――
機能していない。
これは――
どういう事だ?
「いやな予感がするぜ……仕方がない、もっと下へ行く。それと、他の冒険者と極力接しないようにするぞ」
ヴィーベが、言う。
「で、でもまだここは上層よ? 冒険者ってまだ沢山いるわ!」
リニが、不安そうに言う。
「じゃあ上に戻るのか?」
ヴィーベが、聞き返す。
「歩いて戻れないの?」
「さあ……やった事ないしな」
ヴィーベも――
わからないようだ。
「あの、ヴィーベさん、リニさん、様子が変です」
俺は――
後ろを指す。
俺達の後から――
やってきた冒険者達。
武器を所持したまま――
こちらに、近づいてくる。
殺気――
感じる。
明らかに――
おかしい。
「ちっ! 走るぞ!」
ヴィーベが――
リニと俺の手を取り、駆け出す。
後ろの方で――
「感づかれたぞ! 追え! そして……殺せ!」
声が――
聞こえた。
今――
殺せって言った!
確かに――
殺せと、聞こえた。
俺は――
走る。
必死に、走る。
心臓が――
激しく鳴る。
息が――
切れそうだ。
「リニ! 足を止めるな! 15層まで一気に行くぞ!」
ヴィーベが、叫ぶ。
「え!! だってそんな……13層までしか行った事ない!」
リニが、悲鳴を上げる。
「だけど他に何か手はあるか? 考える時間はない!! いいか! ボス部屋に入っちまえば暫く手出しできねえはずだ! デルクも急げ!」
ヴィーベが――
俺の背中を押す。
俺達3人は――
必死になって、この場を離れる。
階段が――
目の前に見える。
11層へ――
向かう。
11層は――
木材。
森が――
俺達3人にとっては、逃亡の手助けになってくれている。
しかし――
逆に言えば、正体不明の襲撃者にとっても都合のいい隠れ場所。
いつ襲われるか――
知れず、気が気でない。
俺は――
周囲を警戒しながら、走る。
木々の間を――
縫うように。
しかし――
何とか、12層へ下る階段が目の前に。
「急げ! 追いつかれるぞ!」
ヴィーベが、叫ぶ。
俺が――
先に下る。
次に、リニ。
そして――
ヴィーベがやってくるが、背後で――
「うぎゃあ!」
と声がする。
何の声だ?
「階段に油をまいた。すぐに消えるが、追っ手に対して暫くは有効だろう」
ヴィーベが、説明する。
油――
滑って、転んだのか。
「畜生! こんな所に油まきやがって……ぶっ殺す!」
追っ手の声が――
響く。
うわ!
殺気が――
増した。
12層は――
根菜?
本当なら――
お野菜の収穫なのだろうが……
収穫する時間は、ない。
「行くぞ!」
ヴィーベが――
先頭を走る。
突っ切る。
そして――
13層。
確か、銅鉱となっていたような。
「ヴィーベ、足が痛いわ」
リニが――
辛そうに言う。
「我慢しろ! もう少しだ!」
ヴィーベが、励ます。
俺も――
横っ腹が痛くて、これ以上は走れそうにもない。
息が――
苦しい。
足が――
重い。
そして――
またまた、何かに躓く。
いてて……
いったい、何が?
これは――
何やら、銅とは違う輝きを放つその何か。
時間がないので――
そのまま、収納する。
後で――
確かめよう。
「くそ! 仕方ない、歩くぞ! もう少しなんだ!」
ヴィーベが――
ペースを落とす。
何とか――
先に進むが、14層への階段付近に――
何人かの冒険者が、陣取っている。
待ち伏せ――
されている。
ど、どうすれば?
俺は――
焦る。
だが――
あ、そうだ。
認識阻害のアイテム――
確か、カバンに入れていたような。
俺は――
歩きながら、カバンを確認。
あった!
ありました。
「ヴィーベさん、認識阻害の腕輪があります」
俺は、ヴィーベに言う。
「え? 持ってきていたのか?」
ヴィーベが、驚く。
「ええ。これを使い、あとはスキルで騙しましょう!! そうすれば突破できるのでは?」
俺は、提案する。
「そ、そうだな、今は考える時間もない。それでいこう」
ヴィーベが、頷く。
俺達は――
遊び人だ。
一応――
大抵のジョブになる事ができる。
で――
詐欺師を選択。
スキルに――
変装というのがある。
これで――
別人に成りすます。
こんなので――
上手くいけばいいのだが。
俺は――
腕輪を装着した。
そして――
【ジョブチェンジ】
詐欺師へ――
なる。
【変装】
スキルを、発動。
姿が――
変わる。
顔が、変わる。
これで――
騙せるか?
俺達は――
覚悟を決めて、階段へ向かった。




