第34話 違和感
ヴィーベも――
その昔、金の採掘をやった事があったみたいだが、大した金が見つからなかったようだ。
「もっと下の階層じゃないとね?」
リニが、そう言う。
だが――
夢を見る人々が、一生懸命ツルハシで岩をガシガシと。
採掘に――
夢中だ。
金を求めて――
必死に掘っている。
そんな中――
なんだか、視線を感じる。
気のせい?
俺は――
振り返ってみる。
だが――
こちらを見ていそうな人は、見つからない。
だけど――
視線を感じる。
確かに――
誰かが、見ている。
「リニ、どうだ?」
ヴィーベが、小さな声で聞く。
「わからないけれど、見られているわね……」
リニも――
同じように感じたようだ。
どうやら――
ヴィーベとリニも、視線を感じたようだ。
「デルク、気をつけろ。誰かしらねえが時々こちらの様子を見ている」
ヴィーベが、俺に言う。
「俺もなんだか視線が気になったんですよ。で、周りを見ても誰もいないんです」
俺は、答える。
「だからこそだ」
ヴィーベが――
真剣な顔をする。
いつもの――
ふざけた表情じゃない。
緊張している。
「ちょっと場所かえよっか?」
リニが――
先頭になって、進んでいく。
俺は――
リニの後を追いかけたはずなのに……
盛大に、こけてしまった。
いてて……
どうやら――
何かに、つまずいたようだ。
後ろにいた、ヴィーベが――
「デルク、何もない所で躓くとか、ある意味才能……」
ヴィーベの言葉が――
途中で、止まった。
何だ?
俺は――
何に躓いたのか、見てみる。
え?
こんな石っころに、躓いた?
まさか?
こんなのに――
躓かない。
そして――
拾おうとすると……
え?
持てない?
重い。
かなり、重い。
「ヴィーベさん、重くて持ち上がりません……」
俺は、ヴィーベに言う。
「ちょっと待て! まさかと思うが……」
ヴィーベが――
手に取る。
だが――
「おも! 何この重さ?」
やっぱり――
重たいようだ。
「なあ……これまさかと思うけど……金の塊なんじゃね?」
ヴィーベが――
驚いた顔をする。
金の塊?
まさか――
「ええ? まさか? こんな低階層でこの大きさの塊……聞いた事ないよ?」
リニが、信じられないという顔をする。
「いやデルクだしな……あり得るかも。まあ……ちょっと今はそれどころじゃねえし……これ収納できるか?」
ヴィーベが、俺に聞く。
「あ、はい、まだ入ります」
俺は――
収納カバンに、金の塊を仕舞った。
重い。
だが――
カバンに入れれば、重さを感じない。
便利だ。
「じゃあ仕舞っとけ……それとこの階層、もう移動するぞ」
ヴィーベが、言う。
先程からなんだか――
嫌な視線を感じる。
なので――
俺は、ヴィーベに従い移動する。
そして――
9層。
ゴブリンと――
コボルト?
何やら2体で、移動しているようだ。
2体で――
襲い掛かってくる。
ただ――
やはり、弱い。
俺は――
剣を振るう。
簡単に――
倒せた。
だが――
嫌な予感が、消えない。
視線――
まだ、感じる。
誰が――
見ているんだ?
俺は――
警戒しながら、9層を進んだ。




