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「遊び人×3を引いた10歳の俺、ジョブ統合で規格外になる」  作者: よっしぃ@書籍化
第一章:職業選定

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3/9

第3話 職業 遊び人

 職業【遊び人】――

 外れスキルの代表格とされている。

 遊ぶ事に長けたスキルであり、ごく稀に貴族のボンボンがなったりもする、どうしようもない職業。

 生産職の役にも立たず、冒険者としての活動もほぼできない。

 間違っても前衛での戦闘は期待できない。

 役立たずの職種の代表格。

 ただただ残念な職業。

 それが――

 俺の職業だった。


「そ、その方がよさそうじゃの」

 司祭様が、俺に言う。

「儂も遊び人を選定で見るのは初めてじゃが、何でかの? その方まじめで何事も積極的にしておるのは知っておるし、街の住民も其方に色々してもらって感謝しておるのだ。まあこういう事もある。ではセカンドジョブを」

 司祭様の言葉に、俺は少しだけ安心した。

 そうだ――

 司祭様は、俺のことを知ってくれている。

 俺が遊んでいなかったことを、理解してくれている。

 今度こそ――

 ちゃんとした職業になるよね?

 俺は、内心で遊び人を選定してしまって焦っているけれど、まだ次があるからと心を落ち着かせる。

 大丈夫だ。

 次こそは――


 周りの子供たちが、ひそひそと話している。

「わ、遊び人って街中に居るよね」

「ああ、どうやって生活してるか知らないが、確かにいるな」

 遊び人――

 俺も、何度か会ったことがある。

 今この街にいる遊び人の大半は、おおよそ10年前に選定を受けた人々らしい。

 一癖も二癖もある人々だった。

 中には――

「何でこんな人が遊び人?」

 と思うような人もいた。

 真面目そうな人、礼儀正しい人、街の人々から尊敬されている人――

 遊び人と聞いて想像する「遊んでいる人」とは、全く違う人たちだった。

 まさか――

 俺がこの人たちと接触したから、遊び人に選ばれた?

 いや、それはないだろう。

 だって、他の街から流れてきた遊び人も結構いる。

 実際には、5年前の選定でも遊び人は一定数存在しているはずだ。

 もし接触が原因なら、10歳になっていない子供には、遊び人と接触させないようにするはずだ。

 でも、そんな規則はない。

 ということは――

 遊び人になるのは、接触が原因じゃない。

 じゃあ――

 なぜ俺が?


「デルク、準備はいいか?」

 司祭様が、俺に声をかける。

「は、はい」

 俺は、深呼吸をする。

 大丈夫だ。

 次こそは――

 俺は、震える手を選定板に置く。

 セカンドジョブが何になるか――

 目を凝らして見守る。

 頼む――

 戦士でもいい、魔法使いでもいい。

 せめて、冒険者として活動できる職業を――

 皆が、固唾を飲みながら見守っている。

 誰も、声を出さない。

 静寂の中――

 選定板が、光り始める。

 温かい光が、俺の手を包む。

 そして――

 カードに、文字が浮かび上がる。

 俺が引き当てたセカンドジョブは――

【遊び人】

 だった。


 え?

 また?

 俺は――

 言葉を失った。

 周囲も、静まり返っている。

 誰も、何も言わない。

 ただ、俺を見ている。

 その目は――

 驚き、困惑、そして――恐怖。

「おいおい! セカンドジョブも遊び人って、何でファーストジョブとセカンドジョブが同じなんだ?」

 誰かが、叫んだ。

 その声で、教会がざわめき始める。

「いや、儂も驚いておるのじゃよ? 何かの間違いじゃないかのう? 3つまで選定できるジョブなのじゃが、これらは複数選定しても同じジョブにはならぬはずなのじゃ」

 司祭様が、また選定板を調べさせる。

 神官たちが、慌てて選定板の周りに集まる。

 何度も何度も、調べている。

 だが――

「む。特におかしな所はないのう?」

 司祭様が、選定板を机の上に置く。

 異常なし――

 つまり、これは間違いじゃない。

 俺は、本当に遊び人を2回引いた。


 俺は――

 混乱していた。

 同じ職業を2回引くなんて、聞いたことがない。

 本にも、そんなことは書いていなかった。

 確か選定で得られる職業は、同じ職業にはならないと記載してあった。

 そう聞いていた。

 でも――

 現実は違った。

 俺は、同じ職業を2回引いてしまった。

<職業:①遊び人Lv0:②遊び人Lv0>

 カードに、2つの遊び人が並んでいる。

 これは――

 なんだ?

 俺は――

 正常な判断ができずにいた。


 周囲の声が、聞こえてくる。

「遊び人×2とか……」

「あいつ、本当に遊んでたんじゃね?」

「デルクって、実は……」

 違う。

 俺は、遊んでなんかいない。

 街のあちこちで、色んな仕事を手伝ってきた。

 真面目に、一生懸命やってきた。

 なのに――

 なぜ、遊び人なんだ?

 しかも、2回も?

「これは困ったのう。国に確認を求めるか――っておいデルク、やめろ!」

 司祭様が、俺を止めようとする。

 だが――

 俺は、もう選定板に手を伸ばしていた。

 3度目の正直だ。

 次こそは――

 次こそは、違う職業を。

「デルク! 待て!」

 司祭様が止める間もなく――

 俺は、選定板に手を触れた。

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