第291話 求婚 その1
あれから数ヶ月が経ち、俺はセシルと共に遊び人のレベリングを手伝ったり、貴族としての振る舞い等を学んだり、それなりに充実した日々を送っていました。
しかしながら最近、セシルの様子が明らかに違うんです。
いつもよりこう、何というか触れ合う機会が多くなったり、中々握った手を離さなかったり……。
分かってはいるんです。
俺は他人の事は分かるんですが、自分の事は……。
だけど……。
セシルの周囲の女性、つまりロースやリニさん、ユスティネさん達が俺の事を鈍ちんとかセシルちゃん可哀想とか鈍感とか言っているのは知っているんです。
うん、俺はセシルの事が大好きなんです。
大好きというか、一人の女性として、け……結婚したいというか。
だけど駄目なんです。
俺はセシルを幸せにするだけの資格がない。それに自信もない。
セシルはダンジョンで俺に助けられ、俺の事を好きになった……と思っているはず。
だけど違うんです。
つり橋効果。
好きと勘違いしているだけ。
だからセシルが本当の気持ちに気付くまで暫く待っていようと思っていたんです。
そしてつい最近、トゥーニスさんに相談したんです。
……
「……デルクはそう思っているのか。」
「ええ。セシルは勘違いしているんです。つり橋効果で俺の事を好きになったと思い込んでいる。彼女のような素晴らしい女性にはもっとふさわしい人がいるはず。それをあんな事があったから俺の事を好きと思い込んでしまい、そのまま結ばれてしまっては彼女が不幸になる……何とかセシルには我に返ってほしいんです。」
俺は胸の内を伝えました。
するとトゥーニスさんは、
「……また後で連絡をする。」
そう言って去っていきました。
どういう事なんだろう?
何か策を考えてくれているのかな……少し不安ですが、信じるしかありません。
……
Side セシル
「デルクが勘違いしている。私はデルクが好き。結婚したい。だけどデルクはつり橋効果とか言って私の気持ちはそのせいだと言っている。」
私はセシル。
デルクが勘違いをしていて、本当に私はデルクを好きなのにそれをつり橋効果と言って本気にしてくれない。だからユスティネさんへ相談する事にした。
「まあセシル。あのデルク君は相変わらずつり橋効果とか勘違いしているのね。」
「私がデルクを好きともう知っているのに、何故かつり橋効果と思い込んで受け入れようとしてくれない。」
「可哀想なセシルちゃん。わかったわ。何とかしましょう!そして近日中に必ずデルク君からプロポーズさせてあげるわ!」
頼もしいユスティネさん。
トゥーニスさんとの間に子を成してからは女として母として、さらに憧れの存在になった。
私もああなりたい。
但し背と胸も……到底無理だが。
私は背が低い。そして……胸も他の女性と比べ小さい。
だけどデルクはそういう事は気にしないようだ。
幸い私の顔はデルクに好ましく映っているようなのが救いだが。
注:デルクにとってセシルはまさに理想の女性像です。
そんなある日、何故かアンシェラ王妃様がやってきた。
そしてメルヒルトさまも。
ユスティネさんは当然ながら、リニさんとロースさんも居る。何故?
すると今日はトゥーニスさんの所へ行っていたはずのデルクがトゥーニスさんに率いられやってきた。
何故かヴィーベさんとレイナウトさん、そして認識阻害のアイテムを使っている?見知らぬ2人……あれきっと国王様と宰相閣下だ。
何故?




