第287話 呼び出し
時は少し戻り、2年前。
デルクが18歳の時まで遡る。
デルク達4人はヴィーベとリニに連れられ、王都でトゥーニスと会っていた。
「よく来たなお前達!」
そう言って破顔するトゥーニス。
ユスティネとの間に子を得てからのトゥーニスは、第一線から身を引き、城の近くに公爵邸があり、公爵邸で公務を司る事が多くなった。
そして本来行動的なトゥーニスがあまり外へ出向く事が無くなり、かつて引き締まっていた身体は……。
「これ以上はいけませんわよ?」
「う、そうは言うがなユスティネ、最近王都で評判の鉄板焼きがなあ、これがかなり旨くてな!つい食べ過ぎてしまうのだよ。」
何がいけませんかは、察してほしい。
「トゥーニスさん、どうしましたか?」
デルクは急に呼ばれたので何事かと思って駆け付けたのだが、2人のやり取りを見る限り切羽詰まった事ではなさそうで、少し安心している。
「何だよデブ親父!あああすっかりお肉が付きやがってよ!だらしねえぜ!」
相手が公爵だろうと関係なしにヴィーベがトゥーニスに毒突く。
「……ヴィーベよ、お前も10年経てばこうなる。」
「そんなの嫌だああ!!!!」
「うるさいヴィーベ!子供が起きたらどうするのよ!」
リニさんは手押し車に赤ん坊を寝かしたまま連れてきています。
手押し車というのか、デルタさんの資料を基に作った、赤ちゃん用の車輪付きで手押しをする乗り物。
デルタさんは【ベビーカー】と呼んでいましたが、これはなかなか便利そうです。
持ち手を移動させる事ができるので、この車を動かす方向が簡単に変更できるんです。
この【ベビーカー】は王都で爆発的な人気が出て、常に品薄状態。
商会を通して独占販売しているので俺の所には結構な大金が入ってきます。
まあ今更お金は一生贅沢して尚有り余るほどあるのですけれど。
何せ数年前のダンジョンブレイク、つまりスタンピートが起こった時に仕留めた魔物の素材がまだかなり残っていて、それにダンジョンで相当ドロップアイテムを確保していたので、これらを売れば大金が得られるからもはやお金の心配はしなくていいんです。
それに収納かばんのレンタル。あれのお金がもう訳が分からないほどの収入だったりで。
だけど今後何があるか分からないので、貰えるなら貰っておきましょう。
脱線しました。
「トゥーニス公爵、俺達を呼んだのは一体どういう理由でしょうか。」
レイナウトがトゥーニスさんに質問をしてくれました。
「おおそうだった。今から城へ向かい、父と……陛下に会ってもらう。」
「また厄介事ですか?」
「たぶんそうじゃない……と思う。お前達まだダンジョンでのレベリングの件、あれの【褒章】を受け取っておらぬであろう?陛下としてはそのままという訳にはいかぬと言ってな。何せ国王たるものが褒美も取らせぬとあっては色々とあるらしくてな、なんとしても褒美を取らさねばならぬと言っているのだ。まあそういう訳だから諦めて貰ってくれ。」
トゥーニスさんがそう言うと、ヴィーベさんが明らかに嫌な顔をする。
「なあ帰っちゃあ駄目なのか?」
「陛下からの名指しでの指名だ。勝手はゆるさん。」
うわ、何やら面倒な予感がします。
まあ断れないのなら仕方がないですね。




