第286話 セシル19歳
セシルが17歳の時、つまりデルクが18歳の時2人は結婚をした。
この世界では男女ともに15歳で結婚する事はよくある事で、20歳になると女性は焦りだし、25歳になると行き遅れと言われてしまう。
10歳で婚約はよくある事で、実際13歳で結婚、という事もよくある。
尤も15歳未満での結婚は主に貴族と富裕層。
15歳以下の場合、両親の許可及び多額の金を国に納める必要があるからだ。
そんな中セシルが17歳で結婚したというのはこの世界の常識からすればごく普通の年齢。
デルクにとっては信じられない話だが、これがこの世界の当たり前なのだ。
因みにレイナウトとロースは17歳になるかならないかで結婚をしている。
そんな彼女は今何処にいるのかと言えば……。
「ねえセシルちゃん、ここっていつも思うけれど、何でも有りよね!」
ここはダンジョン100層。デルクがダンジョンを修復した時のお礼にと貰った家というべきか拠点というべきか。
「デルタさんに言えば何でも用意してくれるから、本当はいけないんだけどずいぶん楽させてもらっている。」
ロースとセシルである。
それぞれ子供を産んだのだが、今は手元にいない。
「ねえねえこれ貰って来たよ!」
何故かリニがいる。
「こうして女性だけで集うのもいいわね!」
彼女はかつて修道院でセシルと共に過ごした事のあるユスティネ。
ダンジョンでの遊び人の選定を行って以来こうして4人でよく集まったりしている。
そして子供の年齢が近い事もあり、今では毎日のように4人で過ごしている。
そして子供はデルタの指揮の元、乳母が預かっていたりする。
「しかしユスティネさん、何故私達は子育てを積極的にしては駄目なの?もっと赤ちゃんと触れ合いたい。」
セシルがユスティネに問い質す。
「それは仕方のない事なのよ、セシルちゃん。」
ユスティネがセシルを諭すように言うが、
「こんな事なら貴族にさせるんじゃなかった!」
ロースの不満が爆発。
今この4人に何が起こっているのか?
それは各々旦那の立場に起因している。
ユスティネの旦那はトゥーニス。身分は公爵。そしてユスティネは公爵夫人。
次にリニ。旦那はヴィーベ。彼の身分は男爵。当然リニは男爵夫人。
ロースの旦那はレイナウト。身分は子爵。ロースも子爵夫人。
で、セシルだが、当然ながら旦那はデルク。身分は伯爵。セシルは伯爵夫人なのである。
「この国ではね、貴族の幼子は基本乳母が育てるのよ。」
このメンバーで一番こういった事に詳しいユスティネが話始めるが、やはりすぐに不満が漏れる。リニだ。
「どうしてなの!子育てが終わってから貴族になるんだったわ!」
「王様に訴えても無駄よ?」
「貴族やめる……」
「それも無理ねセシルちゃん。分かるでしょ?」
「わからない!」
「そうは言ってもこれは私達が産んだ子供の為でもあるのよ。」
「どうして?貴族限定で乳母ってのが意味分かりません。産んだからには自分で育てたい。」
ロースもリニも、セシルも不満。
4人共同じ気持ちなのだが、ユスティネだけが事情を知っているという状況もなんとも気の毒だ。
「貴族の妻には別に役目があるからなのよ。あ、誰か来たようね……って王妃様?」




