第284話 デルクのやり遂げた功績はとんでもないんです
陛下が風になって飛んでいく……。
あれ?確か宰相閣下もそんなだった気が?
最近の流行ですか?
「ああ!なんて事ですか!この期に及んで逃げるとは!」
王妃様が何かとんでもない事を言った気がしますが何でしょう?
……
「陛下、お待ちしておりました。」
「ロルフよ、其方の言う通りこうして逃げ……ゲフンゲフン、何とか抜け出してきたのじゃ。あれはどうなのじゃ?」
「デルク殿ですが、本人は自身がこの世にどれほどの影響を与えようとしているのか、わかっていない様子。単に選定で皆が遊び人となればもっと有意義な人生が送れる、そんな認識なのでしょうな。いい意味でも悪い意味でもまだ子供ですな。」
「やはりそうか。あのような重大な事柄を惜しみもなく余に伝えるのも考え物と思うが、あ奴は躊躇わずに余に伝えた。いや、躊躇いはしたのかもしれぬが結果教えたのじゃ。」
「そのようですな。しかしながら……デルク殿はこの後、どのような影響があるのかどこまで考えておるのでしょうな?陛下、私が今回の事柄で一番危惧しているのは何だとお思いですか?」
「其方の事じゃ。選定そのものではあるまい。3つのジョブを全て遊び人にし、同じジョブを育て上げれば結果軽くレベル10を超えてしまう……これも今まで一切知られていなかった事柄なのじゃがな……じゃが仮に全てレベル7にしてもレベル21じゃ。このダンジョンの100層はドラゴンが20体と聞き及ぶ。たとえレベル21になっても仕留めるのは至難の業じゃろう。それよりも魚エリアを普通に攻略できるとは思えぬ。余はレベル10の剣聖じゃったが全く歯が立たなかったからのう……司祭のジョブか。」
「やはりお気づきでしたか。」
「当り前じゃ。あれだけはデルクにしっかり釘を刺し……いや、デルクとそのパーティーメンバー全員にじゃな。司祭に関しては今後……つまりは選定に司祭レベルが影響をしておるという事柄に関し、国家レベルの機密事項となる旨を伝えておかねばな。ロルフよ、これで揉むぞ。」
「や!陛下何故揉むのですか?そこはこれは揉めるのではありませぬか?」
「……先ほどまで両手でこう……」
「折角の大事な話が台無しですな。」
「其方も楽しんだのであろう?」
「そこは否定は致しません。」
「そうであろう……うわ、不味い!この話はまた後じゃ!」
陛下がそう言い終わるか終わらないうちに空間が裂け、そこにはアンシェラ王妃の姿が。
「流石は王妃様、もうここを見つけるとは。」
「一体何を話していたのかはわからぬが、教会と一戦交えるつもりか?」
「正確には皇国ですな。かの国は、教皇はやり過ぎました……遊び人部隊の準備が整い次第教皇には退場して頂きます。」
「出来るのか?」
「勿論勝算はございます。」
「そうか。宰相の事故勝ち筋も見えておるのであろう。任せよう。してあれは何処に消えたのだ?」
「さあ、わかりかねます。」
……
こんな事が話し合われているとはつゆ知らず、デルクはデレていた。
相手は勿論セシル。
「デルクあーんして。」
「セ、セシル恥ずかしいよ。」
「あーん。」
「あ、あーん……パクッ……お、おいしい!セシルの手作りだったっけ?」
「うん、デルクの為に頑張った。」
今セシルはデルクの胃袋を掴むべく攻略中。
胃袋を制すればもはや攻略したも同然。
これはユスティネさんからの教えらしい。
どうやらトゥーニスをこうして攻略したとかで、それをセシルへ伝授したとかしなかったとか。
【デルクは鈍感のようだから、気付くかはわからないけれど、胃袋を掴むのは大事なのよ?】
経験者の話は重みがある。
そしてそんな2人を目の当たりにして、遊び人部隊の一部は、
【リア充爆発しろ!】
と言ったとか言わなかったとか。
そしてそれは自身に跳ね返ってくる。
「あら?私と言う者がいながらあなたはリア充ではない、と言うのね?」
「い、いやそうじゃない!見ろあんな甘いの!甘すぎて砂糖が嫌になるぞ!」
「そう?セシルちゃん精一杯鈍感君にアピールして、微笑ましいわよ?それとも私にああしてほしいと?」
「し……してくれるのか?」
「してもいいけれど……わかるわよね?」
違う意味でも周囲に影響が出ているデルクだった。
【模擬戦とダンジョンの章】 終わり
次回より新章に突入いたします。




